第62話 子3 ★
オニトが奥へと入ると現れた小部屋には透明なカプセル。酸素カプセルを立たせたようなものがあった。
そのカプセルの周りにはこれまた強力な魔法がかけられており。カプセルの中には透明な液体が入っている。
さらにさらにその液体の中には――暗めだが綺麗な透明感のある青い髪をした10代くらいの少女が生まれたままの姿で眠っていたのだった。
「……」
さすがのオニトも予想していなかった光景に、何度も目の前の光景を見直すが。変わることなくカプセルの中には人が眠って――?いる。
まさかまさかの光景にさすがのオニトもしばらく行動を起こせなかったが。すこししてゆっくりと小部屋の中に、そしてカプセルを確認する。
「マジかー。あいつら――人を人質にしていたのか?これ――どこの誰だ?人質にしているくらいだから。どこかの国の――姫か?でも身元が分かりそうなものは何もなさそうだし――っか、そもそもこれ生きてる――か?生きている――な。でもどこかで姫。王女とかそういう人が魔王に攫われたとか聞いてないしな。俺のところにそういう情報がくればすぐに飛んでいってまずコネ作るはずだし。王女とコネとかそりゃもう手に入れたも同然――うんうん。だから……近くの町の子どもか?まあ魔族ではないってことだよな。魔族のセンサーには反応しなかったし」
オニトは呟きつつ。ぐるっとカプセルの周りと室内を確認する。
ちなみに途中でろくでもないことを言っていた気がするが。他に誰もいないため誰も突っ込むことはなかった。
ということはさておき。カプセルは特に何か操作できそうなボタンなどはなかった。そのため誰かの魔力で維持されているとオニトは考えた。
なお、室内に関してはこの場所より他に進めるところはなかった。一応すべての壁を触ったりしたがここが最深部らしい。ということは、このカプセルが一番大事なものということである。
オニトは再度カプセルを見る。
「――っか、ガキのすっぽんぽん見てる俺ってやばいな。いや、もしかしてもう大人か?いや、ガキだな。ちっせーし。まあどっちにしてもあまり見ていてもか。俺にはメアが居るからな。浮気はもちろんしないし――しない。ちょっと相手するのはセーフだよな。でもとにかくメアは最高だ。こんなガキ?には目も行かん。って、でも本当に人か?なんか髪色からして――でも人の反応だよな。魔族なら魔族で反応するし。つまり――人は間違いないと。こりゃまた変わった人も世界にはいるもんだ。って、もしかして俺の知らない種族?いうのかなんだ?知らない部族が居るのか?いやそれなら会いに行きたいな。このガキも成長すれば今はぺったんこのチビでもべっぴん――って、マジでこんなところメアに見られたらやばいな。メアがここに来るわけないが。でもどうしたもんかね。どこの誰かもわからんし。このままだとこの場所ぶっ壊せないしな。さすがに無関係のガキは殺せないな。ってことは――俺が引き取る?いやいや、メアに説明が面倒というか。隠し子とか言われて喧嘩になっ――うん?隠し子……おいおいまさか」
その時オニトはとあることに気が付いた。
「こいつ。魔王が人間と作った隠し子じゃねぇか?いや、まさか――でもそれなら魔族の反応も出るよな。いや待て、突然変異みたいな感じで混ざっているが人のみしか反応しないパターンとか聞いたことないがあるのか?いや、考えてもわからんが。っか、起きてくれると助かるが」
カプセルの中に居る少女を見つつオニトがつぶやく。もちろん返事。何か起こることはない。
「うーん。それだと――なんだ?俺みたいな魔族を探せる能力をすり抜けれる魔族を作れる。いや現に完成している?他にもあるのか?あー、なんか面倒な感じだな。おいおい。邪魔する人間の見た目をした魔族とかまだいるのかよ。それもかわいい見た目――なるほど、だから女か。これで男を落としていけば――まあ俺は大丈夫――――――だが。引っかかりそうな奴たくさんいるな。いるいる。まあグイグイ言い寄られたら俺もわからんが――普通にかわいいしな。って、そんな事より。どうするかだな。殺すのが一番無難。こういう謎なのは後々の災いの種になるかもしれないしな。でももし俺の仮説が外れていて、これが単なる人質の子供だと、俺の評判が悪くなるからまた歴史変えるのを頑張らないとになるだろ。それはそれで面倒だからな。でも俺が引き取るとメアと喧嘩は間違いない。俺が別の女とあんなことやこんなことしたとそれはそれで世界が終わるかもしれん。不毛地帯が出来てもおかしくないからな。あとが面倒だ。うーん。どうするか」
しばらくオニトはカプセルの前で考える。
もちろんその間にカプセル内で何か起こるということもなかった。
そしてしばらく考えた後、オニトはパチンと指パッチンをした
「――あっ、記憶変えればいいじゃんか。なんでさっき思ったのに俺それしないんだよ。一番の得意分野じゃん。ってことで、とりあえず――」
パリン。
オニトはあっさりとカプセルを破壊する。
たとえ強力な防御もオニトの前では薄いガラスのような物。カプセルが割れ床に液体が流れる。少女はカプセルの中で倒れたり浮かんだりしないように固定されていたようでカプセルの中に生まれたままの姿でまだ立ったままである。
「――とりあえず今起きられると面倒だから冬眠でもしてもらうだろ」
そのあとのオニトはテキパキと動いた。
少女が起きないようにし。少女の固定を破壊と同時に少女を布でぐるぐるに包み。毛布を運んでいるかのように見えるようにした後。少女が居た部屋を後にした。そしてお決まりとでもいうべきか。
ドゴーーーン。
地響きと共に先ほどの部屋。通路を綺麗に破壊。
今度こそ壊れたことを確認すると。オニトは布に来るんだ少女を担ぎ。蒸気機関車へと戻り。依頼を受けた町に戻るのは後にして――杜若。という地を目指すことにしたのだった。
ヴォォォォォォォー。
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