第63話 子4 ★
ひょんなことから少女?を拾ったオニトは現在全速力で蒸気機関車を走らせていた。
現在は自分1人だったこともありオニトは運転席に拾った少女とともに乗り込み。少女は邪魔にならないところ。そして周り。外から見えない位置の運転席の壁にもたれさせており。自分は蒸気機関車を走らせていた。
ちなみにすでにいくつかの町を無事に抜け、先ほどポイントを切り替え普段はほとんど人が立ち入らない古い線路へと入りそのまま走り続け。今は周りの景色が草原となっていた。
なお、普通なら古い線路へと入れば、線路の状況なども気になると思うのでスピードは落としそうなものだがオニトは全く緩めていない。
それは無茶苦茶な運転をしている。わけではなく。ちゃんと線路の状況を知っていたからだ。つまりほとんど人が使わない古い線路だがオニトは知っている使っている線路であるということだ。
そしてまもなく目的地である。
古い線路に入ってからは本当に人っ子1人。生き物すらも見ないようなところを走って来たのだった。
キィィ……ガッタン。
古い線路に入ってからも快調に走り続けてきた蒸気機関車は古ぼけた駅で止まった。
そこは全く人の気配がない場所で、駅舎がかろうじてあるだけ。
線路もその先少し行くとY字のように分岐した後。どちらもの線路がどんつき。簡易的な車止めが置かれているだけだ。
この場所は以前オニトが国中をまわっている時に見つけた場所。
どのような目的で駅があったのかはわからないが。駅舎と小さなホーム。そして分岐があり。両方少し行くと車止め。
ちなみにその先に線路が隠してあるとかそいうことはなく。本当にどんつき。行き止まりである。
また、片方の車止めの先には以前は巨木が倒れていたが。今は朽ちており少しだけしか残ってない。
「このあたりは人が居ないし。近くの町もまだ復興途中。ほとんど人も居ないからこんなところまでわざわざ手を伸ばすやつもいないだろうからここがいいだろ」
少しぶりにやって来たオニトはとりあえずホームへとまず1人で降りる。古い駅なので、オニトの乗って来た蒸気機関車とはホームの高さが違うため降りるのには問題はない。
ちなみに今オニトが走って来た町の駅はすでにほとんどが新しくなり。オニトの乗っている蒸気機関車と同じ高さに駅を改良。そして新しく作っている車両も同じ高さにしているため。このように高さが違う駅はもう珍しくなっている。
ホームへとオニトが降りる。オニトはそのまま駅舎の中へと入る。
駅舎の中は、以前は駅として利用されていた名残がまだある。
改札のところも残っているし杜若のいう駅名もちゃんと書かれている。
そして窓口らしきところには動物の駅長でも居たのか。人が使うには小さなスペースの囲いが台の上にあったり。ドアのところにも何か名前?らしきものが書かれていたような名残があるがその文字はほとんど消えてしまい読むことができない。オニトが以前来たときは昔々のこの駅には猫や犬の名物駅長が居たのではないかと勝手に想像したりしていた。
とにかく駅舎の中ではそんな名残があちらこちらで見られる。
「前に来たときはそのうちなんかに秘密基地にでも使えれば――だったが。まさかこんな早く使うことになるとは。さすが俺。ちゃんと見て回った結果だな。って、とりあえず、ちゃちゃっと綺麗にしたらいいか」
駅舎内を見つつ。パチンとオニトが指パッチンをすると。古ぼけていた駅舎が瞬く間に綺麗になっていく――が。
「あっ。しまった。何気なくきれいにしちまったが。これだと、目立つな。誰かいるように見えるとたまたま来たやつが使う――って、いつ通り結界でもしとけばいいか。って、でもさすがに綺麗にしすぎも周りと合わないか。だな。よし。普段はボロボロの駅舎で自分が使うとき綺麗にすればいいか」
綺麗にしてからちょっとしたミスに気が付いたが。そこはオニト。チートの自身の能力をバンバン使うという解決策を使うことにした。
その後オニトは、わざとボロボロの駅に見えるように細工をした後。別の作業を始めた。
「さりげなーく。作っておくのが面白いってもんだろ。よし。パチッと切り替えってのもいいな。で、多分これをこうして――こうで――」
カチッ。
そして駅舎の中の窓口へと入るドアのところに小さくシンプルなスイッチを新設した。それは上下に動くタイプの電気を付けたり消したりするスイッチとほとんど同じものだった。
これはオニトがこの場所へと来るときに向こう側で見つけたものの対誰かに説明を受けたわけではないが。なんとなくオニトはこれで良いと直感でわかっていた。
そして本当はまだまだこちらでやることがあるので、使うつもりは全くなかったのだが。見つけてしまった先ほどの少女のためにオニトはこれを使うことにしたのだった。
「よし。これでよし。どれどれ」
ガチャ。
スイッチを取り付け操作した後。オニトが窓口へのドアを開けると。そこは――何もないボロの部屋があった。
どういう仕組みかはオニトもわかっていないが。現在どこか別の場所へと繋がったらしい。
オニトは本来なら窓口の中へのドアを開けているが。駅舎内の窓口には入れない――という不思議なことが起きている。
ちなみに改札の方からオニトが開けているドアを見るとちゃんとドアが開いている――のだが。何故かオニトの姿は見えないけれどドアは開いており。その先には駅舎内が見える。ほんと不思議な状態だ。
しかしオニトはというと予想していた光景なのでほとんど驚いてなかった。
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