第148話 成長している
少し駄々っ子の相手をしつつとなったが。今日も問題なく杜若へと移動できた悠宇たち4人。
もちろんだがどういう仕組みで自分たちが移動しているかなどわかっている者はいないが。移動できれば良し。というのが今の状況だ。無駄なことは考えるな。である。
杜若の方は今日も悠宇の家の周りと似た雰囲気――いや、それ以上ののんびりとした時間の流れる世界。草木が風に揺れその中にぽつんとある駅舎。そして遠くへと繋がっている線路――と、昨日来た時と変わった様子はない。と、思えたのだが――来るなり悠宇はちょっとした変化に気が付いていた。
(なんか――駅の周り草が一気に伸びた?)
悠宇はこちらへと来るなりそんなことを思っていた。
「あれ?ちょっと――駅の周り草木が伸びました?」
そして悠宇が感じたことは、隣のに居たちかもすぐに感じ取ったらしく。こちらは声に出していた。
「あっ、そういえば悠宇たちの世界では精霊いなかったんだっけ?なんか心配されてる?」
一方少し前まで駄々っ子。悠宇たちの世界に残ろうとしていたシェアトはこちらの世界へと戻ってくるなりそんなことをつぶやいていた。
なお、シェアトの能力。精霊との会話というのは今のところ悠宇もちかも。そして海楓も感じることができない力だ。
ちなみに、シェアトはその場で少しキョロキョロとした様子。
どうやら精霊たちと会話?突然こちらの世界から消えたようなものだったので、心配されているらしい。
また悠宇たちともちろん一緒にやって来ている海楓はというと――。
「――うーん。コールさんいない?ね。まだ帰って来てないのかな?」
意外というと失礼かもしれないが。今この場では海楓がこちらに来てまずすることをしていた。
悠宇とちかは駅の周りの草木の変化にまず意識が。シェアトは精霊?の方へと意識が――と、いう状況だったが。本来は、一度実りの町へと戻っているコールがこちらへと戻ってきている可能性もあるので、コールを探すというのがこちらに来て初めにすることが優先順位的には高かったのだが――海楓以外はそれ以外のことに意識がいっていた。
と、ちょっとそれぞれが違うことを思っているのだが――今この地へと悠宇たちが戻って来たのは。とりあえず悠宇たちの生活もあるため。一度シェアトを異世界の方へと返すことになったところである。
ちなみにこの後すぐに4人はコールを探し出した。ということにはならなかった。
そのあと悠宇たちが何をしたかというと。まずは悠宇とちかの気が付いた草木の成長に関してだった。
「絶対一気に伸びただろ」
「そうかしら?私は――覚えてないわ」
「私は悠宇先輩と同じでかなり成長した印象ですが――」
悠宇とちか、シェアトがそんな話をはじめ。少しその場。足元の草などを観察――という時間があったのち。
「ところで悠宇たちは精霊に関しては何も感じないの?」
「うん?えっと――全く?」
「私も全くですね」
「海楓は?」
「えっ?あー、私も特にかなー」
シェアトから精霊に関しての質問があり。それぞれ改めてシェアトのことを――と、なるかと思ったところで。
「ところで悠宇たち。コールさん探さなくていいの?」
「「「――あっ」」」
今のところ?一番落ち着いていたというべきか。こちらの世界へと戻って来てすべきことをわかっていた海楓の言葉により。悠宇たちもコールのことに気が付き。その後あたりを見回したが――。
「コールさんいないな」
「こっちも。コールどっかでサボっているわね」
「いや――それは……」
「あつ、でも――機関車はありますよ?」
「あっ、そういえば蒸気機関車だけは――戻っているな」
「駅舎の中も誰かいる気配はなかったよー」
杜若駅周辺。蒸気機関車の中などにもコールの姿はなかった。
ちなみに、当たり前のように杜若駅のホームに止まっている蒸気機関車は、この地では1か月弱ほど前にコールの乱暴な運転により脱線した蒸気機関車なのだが――そんなことに4人が気が付くことは微塵もなかった。
そりゃこの蒸気機関車の元持ち主が――であるからだ。
まあそのことに関しても悠宇たちは気が付かないことだが――と、とりあえず杜若へと戻って来た悠宇たちだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます