第186話ポンコツミレイと屋台の食べ物

アイムはミレイに頼まれた魔道具を作りながら、ミレイの残念な行動にため息を吐く


ママは何でもう少し考えないの?


狐耳を作ってほしいって言われた時、子供達と遊ぶのかなって思ったのに…

まさか装着して外に出るなんて…


ママのバカぁ!


銀狐獣人なんて絶滅したって思われてる超貴重な種族なのに…


ママはただでさえ目立つ容姿してるのに、さらに目立つ姿に変装するなんてほんと馬鹿なの


はぁ…


今度は何をするつもりなのママ…

言われた通り作ったけど、お願いだからこれ以上目立つことしないでねママ


☆・☆・


その頃レイは孤児院の食堂で小麦とトウモロコシ、砂糖等を入れたコーンを一生懸命作っていた。


アイムにお願いして冷却の魔道具作って貰ったから後はあれを入れる容器のコーンを作るだけ


この世界は食べれる容器なんてないと思うから驚くかもだけど、ゴミもでないしいいよね。


レイが食堂の厨房でごそごそしてるのがララ達に見つかる。


「ミレイちゃん何をしてるのかな?」


ギクッ


え?


もうみんなご飯も食べて部屋に戻ってるはずなのに何で?


何とかごまかさなきゃ


「ちょっとおやつでも作ろうかなぁ…ってアハハ」


すると女の子達がぞろぞろと厨房に入ってくる


ララがミレイの態度を見て冷ややかに対応する


「ふーん私達に秘密にするんだ…あっそ」


ギクッ


何?みんなの態度が明らかにおかしい…

なんか怖いんですけど…


でもこれは知られるとまずいし何とかごまかさなきゃ


「違うの。み・みんなのおやつ作って驚かそうと思ったの。」


ネネが作ってる物を指摘してくる


「でもミレイちゃんその量ちょっとおかしくないかな?

何を作ってるか知らないけど…」


じー


うわーみんな見つめてくる


ど・どうしょう…


ユユが何も言わずつかつか厨房の中に入って来て手伝いだす。


「ミレイお姉ちゃんユユが手伝ったげる。何も聞かないよ。」


それがきっかけで様子を見に来てた残り8人の子供達が厨房に入って来て何も言わず手伝いだす。


ネネがボクに手伝いながら話し出す


「ネネはミレイちゃんの気持ちわかってるから、帰って来て母様たちに孤児院からでたらダメって言われて、引きこもって気持ちが落ち込んでただけでないでしょ。

暇って思う気持ちも何もする気がなかったからでしょ。あの人がいないから・・」


「・・・・・そんなこと ナィ」


作業の手を止めて下を向くレイにネネは確信をつく


「ミレイちゃんが急にこんなこと始めたの大好きなエレン先生がいないからでしょ!」


「・・・・」


さらにネネは完全にミレイを打ちのめす言葉を伝える


「エレン先生ベルーナスの町の孤児院にお手伝いに行ってるの。向こうの院長先生前ここに来た時凄く熱心にエレン先生とお話してたから、今回呼ばれたのってエレン先生と結婚するためかも」


ララもそれを補足するように話す


「そっかあの院長先生は背も高いしイケメンだし凄くエレン先生に優しくしてたもんね。」


それを聞いたミレイは崩れるように床にへたり込みポタポタ涙をこぼし呟く


「ボクは意地悪な事いっぱいしたし、ずっとほったらかしだったし背も小さいし・・グス」


ネネ達は落ち込むミレイを静かに見守る


暫くしてミレイが立ち上がり何も言わずもくもくと作業を続ける


ネネがそんなミレイに話しかける


「はぁ・・ほんと素直じゃないんだから!エレン先生取られても知らないよ」


ララがミレイの手を握り話しかける


「ミレイちゃん!教えてあげる。エレン先生は明日転移ゲート使って帰って来るよ。その時エレン先生にミレイちゃんが帰って来てること教える。

ミレイちゃん明日何するつもりなのちゃんと答えて!大事な事だから!」


レイは顔をあげララ達を見て答える


「明日は中央広場で今作ってる物を屋台で販売するの。ただ母様たちに孤児院出たら叱られるから変装して行くの。」


ララは頷きレイに考えを伝える


「ミレイちゃんはエレン先生がいないと元気でないのわかってるのに、気が付くの遅すぎます。

エレン先生はミレイちゃんが頑張ってる姿が凄く好きなはず。だからどうすればいいかわかるでしょ。」


ミレイはすぐに答えず下を向く


それにしびれを切らしてネネが喝を入れる


「ミレイちゃん!しっかりして!エレン先生はミレイちゃんの事好きだと思うよ。

でもよく留守にするミレイちゃんより優しい男の人が側にいたら気持ちも揺れると思うの。

だからエレン先生にミレイちゃんが頑張ってる姿見せて、もう一度好きになってもらうの。」


ララもミレイに問いかける


「ミレイちゃんにはお嫁さん候補が沢山いるよね。エレン先生はお嫁さんになれないの?最初に好きになったのに?ダメなの?」


ミレイは首を振り顔をあげる


「ネネ、ララありがとう。多分これ販売すると町の人達喜ぶと思うからボク頑張る。エレン先生にボクが頑張ってるところ見てもらう。だからみんな協力して!」



集まった子供達は嬉しそうに返事をしネネが考えた作戦を伝える


「ミレイちゃんは明日予定通り変装して屋台で販売をして、じゃないと見つかったら連れ戻されるからね。

ネネがエレン先生を連れて中央広場に行くね。そこで屋台で販売の仕事してるミレイちゃん見たら先生も自分の気持ちわかるはずだよ。」


レイは自信なさげに呟く


「でもボク変装してるのにわかるわけないよ・・」


一番小さいミミがボクにくっついて スンスン と匂いを嗅ぐ


「ミレイお姉ちゃん変装してみてなの。」


ボクは言ってる意味が分からず戸惑っているとネネも変装するように言って来る


「そうね。私たちも知っておく必要あるしミレイちゃん変装してみて」


ボクはそう言われて耳と尻尾をつける

耳と尻尾は身体になじむようにうっすらと魔力が身体を覆っていく。


「つけたよ」


ボクは耳と尻尾を動かしてみせる。


すると厨房は大騒ぎになる。


「「「「か・可愛い~」」」」

「「「キャァー可愛い~触らせてぇー」」」


えー--!


「ちょっと待ってみんな落ち着いて!こんなに騒いだら大人の人来るから静かにしてなの。」


ネネが周りの子達を鎮めミミに確認するように促す


「ミミ確認してみて」


ミミが再びボクに近寄り スンスン と匂いを嗅ぐ


「うんミレイちゃんの匂いだ!変わってないってか匂い強くなってるの。」


ユユも漂う魔力も変わってないと言う

え?そんなのもこの子達わかるの?


ネネがボクに言ってくる


「これなら問題ないわ。変装していてもミレイちゃんの匂いや魔力変わってないしむしろ強くなってるなら、ミレイちゃんの事好きな人ならわかるわ。」



多分エレン先生ミレイちゃんに会いたいから広場に行くと思う。

ネネ達が先生を広場に連れて行く。もちろんネネ達もミレイちゃんの変装知らないふりするから先生に任せる。


『でもボクの変装完璧なのにわかるのかなぁ・・』


レイが不安がってると子供達が安心するように言ってくれる


「アハハミレイちゃん不安そうにしてる。エレン先生信じてないんだ・・」

「大丈夫なのね。先生はすぐにわかるのね。」

「うん大丈夫」


ほんとこの子達は・・グス


「みんなありがとう」


ネネ達は嬉しそうにボクを見つめネネが声をかけて来る


「ミレイちゃんは販売することに集中して、何を販売するかわからないけど、もし忙しくなったら私たちの誰かが変装して手伝う?」


「そうだね。多分ミレイちゃんが考えた物だから絶対大変な事になる気がするの。あたしアイムちゃんにミレイちゃんと同じように獣人変装グッズ作ってもらってくる。」


そう言って飛び出して行くララ


えー-!まだ売れるかどうかもわからないのに・・


ボクの思ってることがわかったのかユユがボクに言ってくる


「ミレイちゃんは考えがあまいです。あまあまなのです。準備は必要なのです。」


ムムもナナも頷いてボクに言ってくる


「うん。ミレイいつもバタバタする。考えなさすぎなの。」

「何も考えてないのミレイはバカなの。」


うぅ・・そこまで言わなくても・・



「わかったの。みんなに任せるから」


ネネが確認するようにミレイに言う



「ミレイちゃん!エレン先生が見つけてくれたらちゃんとミレイちゃんの気持ち伝えて!わかった?」


ネネ達の思いにボクは答える


「わかった。ちゃんと伝えるから・・」


この後ミレイは予定通りの数のコーンを作り、ミルクや砂糖等下準備も行い部屋に戻った。


次の日マジックバックに荷物を入れ認識阻害のローブを着て孤児院を出る。

勿論銀狐の獣人の姿で町を走る


中央広場に入る前にローブをバックに入れ屋台に向かう


屋台の前でギルドマスターのルミナスが数人の職員と待っていた。

屋台はすでに組み立ててくれていてテーブルも準備してくれていた。


『凄いすでに準備してくれている・・お礼言わないと・・』


「ミユちゃんおはよう」


あっそっかボク銀狐獣人だからミユなんだ名前間違えないようにしないとだ。


「おはようなのルミナスお姉しゃん。ギルドのお姉しゃん屋台準備してくれてあいまとなのぉ」


ぐふ・・

はぅ・・

はぅ・・


『相変わらずの破壊力だ・・』

『ダメ今すぐ抱きしめたい』

『なんなのこの子お持ち帰りしたいわ』


ギルマスたちは気持ちを抑えミユに尋ねる


「それでミユちゃん今日は何を販売するのだ?」


レイは微笑みながら答える


「これなのです!」


レイはマジックバックから冷却の魔道具とミルク、砂糖、香料のバニラに似た物等を並べる。

最後に袋に入ったコーンの容器も一緒に並べ重ねていく


ギルマスは考えるも全くわからずしびれを切らし何を作るのか聞いて来る


「んー-わからんぞ!ミユちゃん結局何を作るんだ?」


「少し待っててください今から準備します。」


レイは見本を作るために魔道具に材料を入れ起動させる。

半分手動のためある程度固まるまで時間がかかる。


シャカシャカ

シャカシャカ

レイが手で動かしだしてやっと固まって来る。

シャカシャカ

シャカシャカ

容器も冷気が漂っている


ギルマスたちはその様子を見つめひそひそと小声で話している


『あの子あの大きな容器にミルクや砂糖と何か液体入れて動かし始めましたけど・・』


『何をしてるんだ?まるでわからん!』


『それにあの色とりどりの容器は何でしょうか?凄く軽そうですが・・』


レイは嬉しそうにシャカシャカと冷却の魔道具の容器を動かし続ける


シャカシャカ

シャカシャカ


容器のふたを開け中を確認する


『おおーできてるのぉー』


レイはギルマスたちを見てできた事を伝える。


「できたのぉ今から盛り付けるので待っててくださいなの」


ギルマスたちも興味津々で見つめる


レイは並べてた容器を取り出来上がった物を容器に盛り付けて行く


「はい!ミユの手作りアイスクリンなのぉー」


コトッ

コトッ

コトッ


レイはテーブルに並べてギルマスたちに試食を進める


「どうぞ冷たいうちに食べてほしいの。美味しくなかったらちゃんと言ってほしいの」


ギルマスたちはアイスクリンが盛られた容器を手に取り木のスプーンで食べ始める


シャク

「「「!」」」


「ふわー--美味しいいー-!」

「なにこれ冷たくて美味しいー!」

「初めて体験する味ふあ~美味しいよぉー」


ギルマスたちは初めてのアイスクリンに顔はくづれ乙女のようになっていた


フフフやったのね。


Vなのぉ~










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