第86話ベルビューラ孤児院

一応大会の事はわかったから、ついでに孤児院の事も聞いてみよ


「アルメアさんこの町に孤児院ってありますか?」


「孤児院ですか?」


アルメアさんが暫く考える


「町長が変わるまであったのですが、今はレフレアと言う方が、孤児の子供達を面倒みてます。」


え?どういう事?


「今の町長に変わってから、町の美観を損ねるって、孤児院は撤去され、孤児たちは分散して、別々の所の孤児院に引き取られました。」


何それ!町の美観を損ねる?何ふざけた事言ってるの!


「私達も反対したんだけど、相手は領主に任命された貴族ですから、意見は通らなかったわ」


「それでそのレフレアさんが、今孤児の面倒をみてるって事ですか?」


「そうよ、孤児院の面倒を見てた彼女は、孤児院が撤去されてからも、いろいろ活動をしてたの。

また孤児がでるかもしれないからと、お金を集め、商業ギルドに安く借りれる家を交渉したりしてたの。」


凄い…そんな人いるんだ…

絶対あって協力したい!


ボクはその人の場所を教えて貰いそこに向かった。


暫く歩いて湖のすぐ近くにある小さな家に着いた。

ここかな?


コンコン


「こんにちわ!」


ガチャ


「お姉ちゃん達は誰ですか?」


「この孤児院の見学に来ました。ミレとポルです。」


女の子は叫びながら中に入って行く


「先生ーー!また子供がきたぁー!」

「わーい!仲間がふえたぁー!」


ダダダダ…


アハハ仲間って…


しかしこんな小さい家に子供が10人…

何とかしてあげたいなぁ


「あら?あなた達は冒険者かしら?でも依頼は出してないはずだけど…」


「はい!知ってます。ボク達に何かお手伝いができる事ないかと思って来ました。」


レフレアさんは優しく微笑んで話してくれる


「フフありがとう気持ちは凄く嬉しいわ、でも手伝って貰うにも何もないわ。

お金も食材もね…」


え?どういう事?


「あのどういう事でしょうか?できたらお話して貰えないでしょうか?」


レフレアさんはボク達を暫く見つめ頷き話してくれた。


前の町長様が、病気になり新しく任命されて来た町長は準男爵で、その町長がこの町を人が集まる町にすると言って造り変えられた。


町の美観を優先し、古い家や汚い場所は全て潰し新しく造り変えて、町の共同トイレも一週間に一度は綺麗に掃除され、当然指定場所以外で、排泄すると重い罰金が課せられた。


子供達はなかなか我慢ができず、すぐに孤児院の敷地ないで排泄していた。

それが処罰対象になり孤児院は解体、子供達は別々の孤児院に引き取られる事になった。


その翌年この町の農村部が収穫量の減少の影響で、農村部の者達は税が払えず、奴隷落ちする者が続出


子供は奴隷として扱えないので、他の町の孤児院へ移動になるはずだったが、他の町でも、ここ数年食糧不足により食糧が高騰これ以上の受け入れは無理と、受け入れを拒否された。


レフレアさんは子供達を引き取る事を決意して、町長に掛け合った。

しかし面会は拒否された。


レフレアさんは、いろいろ駆け回り、商業ギルドのギルドマスターが無償でこの場所を見つけ提供してくれたらしいし。


その後も商業ギルドのギルドマスターが定期的に食糧を援助してくれていたが、昨年病に倒れ、現在サブマスがギルドの運営を行っていて、食糧は有料になってしまった。


やむなくレフレアさんは商業ギルドと契約をして食糧を1年間援助して貰った。しかし、収入を見込んでた、孤児達で作った薬草茶は売れず、借金だけが残った。


「それでレフレアさん!返済期限はいつなんですか?」


「3日後…ちょうど、ルビーフィッシュ大会の終了する日よ!」


3日後の大会終了日か…


「3日で10,000,000ジェルなんて無理よ!」


子供達も、事情は知っているらしく、皆涙を流して聞いている


ポルムが立ち上がり、ボクに向かって叫ぶ


「ミレイよ!あたいらが大会で優勝すればいいのじゃーー!ねらうのじゃーー!」


おい!ポルム!お前はバカか!ギルドでボク達偽名使って、再登録したの忘れたのか!


「ポルムお姉さまちょっと来てください」


ボクはポルムを引っ張り部屋の隅に行く


ポカ!


「痛いのじゃミレイ!」


「痛いのじゃ!じゃねえよ!お姉さまはバカなの?ミレイ達ギルドで偽名で登録したの忘れたの!」


「……あ!」


はぁー


「ごめんなのじゃ…」


ボクはレフレアさんと、子供達に事情を話した。


「レフレアさん!子供達もよく聞いてください!

ボクとポルムお姉さまは見ての通り双子で、悪い人達から逃げてこの町に来ました。

それで冒険者ギルドでは偽名を使って冒険者登録をしています。

名前はミレとポルです。

この事黙っててほしいの」


みんな頷いてくれる


「大丈夫よ二人とも言わないから」


「ありがとうございます!それで皆に提案があります。

ボクとポルムお姉さまは、大会にエントリーしています。みんなボク達と大会に参加しませんか?」


レフレアさんが慌てて止める


「ミレイちゃんポルムちゃん参加するのは止めないけど、まさか優勝を狙うつもりならダメよ!あなた達優勝狙うほどのルビーフィッシュ見たことないでしょ!ダメよ!」


まあ当然だよね、どうしょうか…

ちょっとパフォーマンスでも見せるか…


ボクはライム達にパフォーマンスの内容を言って皆に協力して貰う


「レフレアさん皆もよく見ててね」


ボクはまず皆の目の前で魔法でボクがすっぽり入る水瓶を用意して魔法を短く唱えて出現させる


次に魔法名だけ唱えて水瓶に水を満タンになるまでとなえる」


そして次に身体強化して貰って、軽々と大きな水瓶を持上げる。


子供達からも驚きの声が上がる


「「「「すっごぉーーー!」」」」


ボクは驚いたままのレフレアさんに話しかける


「レフレアさん、ボクはこう見えても凄く強いんです。だから大丈夫です!絶対優勝します!」


レフレアさんは暫く考えてお礼を言って来る


「ミレイさんポルムさんありがとうございます。でも無理だけはしないでね」


「はい!絶対優勝します!自重はしません!」


よぉーし絶対優勝してやる!まず船だね。どうせな、らここにいる全員が乗っても狭くないように、そして寝れるようにもしなきゃ…


どうする… ……!そうかクルーザーだ!

船のデザインは何とかなる。

材料のアルミニウムもある。

エンジンをどうする…

それに時間もない…


とりあえずルール通り1日目はゲートをくぐるだけにして、船とエンジン作りだ!


その前にレフレアさんと子供達に、食事作ってあげなきゃ!

たぶん少ない量の食材を全員で分けて食べていた?

聞くと辛くなるから、これからはボクが この孤児院を守る!


レフレアさんに、台所の場所を聞いて、ライムに食材を出して貰い、ミルムにコンロと鍋を出して貰った。


レフレアさんも子供達も、小さなバッグから、次々いろんな物が出て来るのを見て、驚いていた。


「マジックバッグ…凄い…」

「「「うわーすごぉーい」」」


みんなの健康状態から、いきなり肉料理は、やめた。

回復優先させるために、ミレイの野菜は栄養高いから、それを使う事にした。

ミネストローネと、ふわふわパンが今日のメニュー


食材を切り鍋に入れ煮込んでいく、ふわふわパンも、パン生地の状態で寝かせてたのを取り出し、コンロと一緒に作った

オーブンの中に入れて魔力を流していく。


出来上がったパンをバッグに入れいく。

ミネストローネも出来上がり、ボクは食堂のテーブルにクリーンの魔法をかける


みんなに席に着いて貰いボクが作った陶器の白い食器を並べていく。


これはミレイが作ったお皿とカップです。

この孤児院で使って下さい。


コトコトコト…


カップは動物の絵を書いて焼き上げて可愛く仕上げてるので子供達も気にいってくれると思う。


予想通りみんな凄く嬉しそうにカップを持って眺めてる。


みんなの皿にふわふわパンを乗せていき、カップにミネストローネを注いでいった。


「みんなパンもミネストローネも沢山あるから、慌てずゆっくり食べてください!」


レフレアさんがボクに深々とおじきをする


「ミレイさんポルムさんこんな素晴らしい食事を提供してくださり、ありがとうございます。グスッ」


レフレアさん泣いてる…


「じゃ皆さんミレイさんとポルムさんに感謝をして食事を頂きましょう」


「「「ミレイさんポルムさんご飯作ってくれてありがとうございます!頂きます」」」


「はい!召し上がれ」


子供達はみんな凄く嬉しそう…

ボクはこれだけで十分だよぉ…

この笑顔を守ってあげなきゃ

絶対大会優勝してやる!


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