第199話妖精都市モルトン

二組のダンジョン攻略組が出て行ってアイムは次の攻略ダンジョンの情報を集めていた。


ミザリーはモルトンに連日大勢の人が押しかけるようになり、このままでは町の機能が麻痺すると判断しエレミアと相談し町を大きく造り変えることにした。


ミザリーはレイにその事を伝えると自分に任せてほしいと言われレイに委ねる事にした。


その事は帝国の聖女ホーリアにも伝わり帝国としても協力させてほしいと言われエレミアは了承する。


エレミアは作り変えるならその時是非教会を建てさせてほしいと懇願される。


「エレミア様教会建設の件了承いただきありがとうございます」


エレミアも教会の中に女神グランシア像と可愛いミユミレイア像が設置されると言われてその見本を見せられる。エレミア達もその出来栄えに驚く


「本当にミレイちゃんね。」

「ほんとミレイ可愛いわ。」



教会の中には女神グランシア様と女神ミユミレイア像が設置され特にミユミレイア像は訪れた人が触れることができるようにするというので了承した。


エレミアとミザリーはすぐに街の外に住人全ての仮設住宅を建て町は改造が終わるまで封鎖することにした。

町の者達も詳しい説明を受け素直に従い街は封鎖される。


レイは動ける眷属たちを集めアイムに任せることにした。


眷属のアイム達は能力とスキルが相当上がっているため凄いスピードで町が作り変えられていく。


レイの知識をフルに使いレイの眷属達の能力をふるに使えば5日間で町を造り変える事が出来るとアイムが伝える。


レイはそれを聞いてまず町の外に街に住む全ての住民の仮設の住宅を建設する。


そして5日間町を封鎖しエレミアに協力して貰い町民を仮設住宅まで誘導して貰った。住民には改めて町の状況を説明して貰う。


エレミアが集った町民を前に説明する。


「国王陛下に変わって私エレミアが皆に説明する。このモルトンは知っての通り妖精屋台の販売の影響で町から人が溢れるくらい多くの人が集まって来ている。この先もさらに増え続けるだろう。

そこで妖精様が私達の町を新しく作り替えてくださる。それまでここで我慢して欲しい。」


住民は妖精が町を作り替えると聞いて素直に受け入れる

数日で大きな混乱なく住民の移動が完了して、レイはアイムに作業を始めるように指示する


「アイム町の人はちゃんと外に出たから作業始めてなの。」


アイムはレイの知識とそれぞれの眷属達の能力を見て指示を始める。


「ミルム、エルム、ポルム、ティム、リンナ情報渡したからその通りに作業始めてなの。」


アイムの指示で眷属達によって街は大きく作り変えられる。


モルトンの町は居住エリア、商業エリア、生産エリア、に別れ町の面積も以前の3倍に広がる。



アイム達の大規模魔法を駆使し、レイの知識を取り入れ完全に造り変えられた町は、衛生面を考慮した上下水道が整備され、町の建物は白に統一され美しい街並みに変わった。


居住区の建物は、3階建て、5階建ての集合住宅が建ち区画整備された住宅街になった。


住宅の中も魔石ランプ、魔石コンロ、水洗トイレが装備されるなど王城より最新の設備が整えられていた。



生産エリアも各工場、建物の区画も大きくとられ、ゆったりしたエリアになっていた。


生産エリアは、製粉工場、製塩工場、製糖工場、等食品工場エリアと、製錬金属、ガラス、木工、鍛冶金属工場等工業エリアに別れていた。


商業エリアには各食品販売店舗、薬販売店舗、食器販売店舗、服販売店舗等販売店舗区画と宿泊施設が立ち並ぶ区画、商業、薬、鍛冶、冒険者等の各ギルドがそれぞれ特徴のある建物で同じエリアに建ち並んでいた。


道幅も広くとり道はサイズを統一した凹凸のない綺麗な石のブロックが敷き詰められた土埃もでない美しい道に変わった。


町の中央に今までの倍以上の広さの公園とその一部の場所に露天屋台の場所も設けられていた。


町の中は馬車が廃止され代わりに新しく開発された馬のいない車、10人乗りの魔石バスが定期的に巡回する新しい交通システムも導入された。


そしてモルトンには妖精特別区として領主官邸、妖精の孤児院、妖精の舘が建っていた。


こうして以前とは全く違うモルトンに変わった。


新しくなった町に移り住んだ住民は皆大いに喜んだ。

新しい町の機能とルールになれた住民は益々働くようになり町の総合生産力も上がった。


そしてモルトンの噂は広く大陸に広がり、さらに人が押しかけるようになった。


エレミアも町の変化に驚きメルティアと共に真剣にモルトンに移り住もうかと相談するほど新しい設備に魅了され二人ともここに慣れてしまったら王城には戻れないとブツブツ言っているほどだった。


それは二人の世話をするメイドが一番実感していて


キッチン、洗面、風呂、トイレとついている蛇口をひねるだけで綺麗なお湯、水がたっぷり出て、炊事、洗濯、掃除と魔道具が充実しているこの舘は便利過ぎて戻るのが嫌になる充実ぶりなのだ。


王妃二人は寝るときや王城で面会など執務のない時はほぼモルトンの妖精の舘に来ていた。


ミザリーは領主の執務室で毎日上がって来る町の報告に危機感を募らせる

エレミアも執務室に詰めミザリーのサポートをしている。


「レイの屋台の効果と妖精の町モルトンの噂で人の出入りが激しいわね。それに移住申請の数が半端ないわね。」


「確かに王都でもこれほど入退出は無いわね。それに移住申請もきちんと調べて審査しないと、大切なミレイに害が及ぶ恐れがあるから、こちらは私の方に任せて、王都から諜報部の者を呼び寄せるわ。」


ミザリーはエレミアの諜報部の者を呼び寄せると聞いて不安がる


「大丈夫?エレミア殿下、こんな田舎みな嫌がるわよ。」


エレミアは微笑みこのモルトンの王城でのメイドや私の部下たちの噂聞かせてあげましょうか?


エレミアは一人のメイドを呼ぶ


「クレア来なさい。」


ミザリーは呼ばれて来たメイドを見て驚く


「あら随分若いメイドね。まだ見習いじゃないの?」


エレミアはクレアにミザリーの質問に答えるように促す


「クレア正直に教えてあげなさい。この方は私の親友だから心配いらないから」


ミザリーはクレアに質問する


「貴方は随分若いようだけど見習いかしら、どうしてそんな貴方がこんな田舎の町に来たのかしら?辛くない?」


クレアは嬉しそうに答える


「ここはホントに凄い町です。今王城では一番行きたい町がここモルトンなんです。

妖精様の癒しが受けられ、便利な道具や静かに走る車、魔法のキッチンと魔法のトイレ綺麗な町等もう一杯あり過ぎて・・


私達エレミア様やメルティア様のお世話係もここに来るのは抽選なんです。

さっき殿下が諜報部の方を呼ぶとおっしゃってたから、今頃たぶん諜報部の方もし烈な争いしてると思いますよ。」


ミザリーはそれを聞いて安堵していた。


エレミアは微笑みながら周りに指示する


「あなた達メイドは私がここに来ることが多いから何人かは常駐にしてあげてもいいわよ。しっかり働きなさい。但し無理はダメ!」


それを聞いてメイド達は元気に返事をしキビキビと動き出した。


エレミアは町の人口が増えてることを気に留める


「それよりミザリー町の人口が急激に増えてるからそろそろ孤児院の畑だけでは賄いきれなくなるわよ。」


ミザリーはその事はメルティアが手を打ってる事を告げる


「その事はメルティアが真っ先に気にしててアイムに話してたから問題ないと思うわ」


アイムは最近毎日メルティアが来てくれるのでご機嫌で楽しそうにしている


アイムはこの前メルティアに言われた事をレイに伝える。


「ミレイママこのままでは食糧が不足するのね。

ゴルトバトスダンジョンのミカンにお願いして、できたら階層を増してもらい階層ごとに生産物を変え小麦、砂糖、柑橘類、根菜類を植えて生産数を増やして欲しいの。」


レイは頷きすぐ行動に移してダンジョンのミカンにお願いする。



ミカンも最近毎日のように来るミレイに嬉しそうに答える


「わかったぁーミレイママここにも精霊さん来るようになったからいっぱいできると思うから」


ミカンの言う通り精霊も集まって来ている。


精霊達は レイの喜ぶ顔が見たいからと、品質と収穫量、スピードも格段に上がっていた。


こうなると全てに人手が不足し、今まで育てて来た孤児の応援では足りなくなりミザリーにお願いしダンジョンでの生産収穫を信頼のおける人を捜してお手伝いしてほしい事をお願いする。


「ミレイの畑をダンジョンの奥に作ったから収穫手伝ってくれる人派遣してほしいの行く方法はミレイの魔力込めた腕輪渡すの。それでここに作った転移場所から転移出来るから」


ミザリーは頷き了承する。


モルトンの町はレイとアイムによって大きく変わりこの世界では考えられないような最新設備の整った都市に生まれ変わった。


こうして未来都市に変わったモルトンにエレミアはハートレイを連れてくることにした。

ハートレイにレイの力が人族の者でないことを知ってもらうためだった。


ただハートレイは転移ゲートを通れないため陸路で来てもらう事にした。


数週間かけ馬車でモルトンに到着したハートレイは町の変貌に驚き暫くあ然と町の入り口から眺めていた。


モルトンの町は白で統一された建物、綺麗に形の整った石畳の道、区画整理された街並み、道路わきに植えられた街路樹、等間隔に設置された魔石灯、各建物にはめ込まれた透明ガラス等、全てが最新技術の物ばかりだった。


町中を走るのも馬車ではなく魔石を使ったバスと言う20人は乗れる乗り物だった。


中世より古い時代の町から20世紀の町に来たようなものだからハートレイが驚くのも無理はなかった。


近代都市モルトンを見たハートレイは時間をかけ街並みを見て回り、数日滞在するも、エレミアとメルティアはハートレイにミレイとアイムを会わせることはしなかった。


二人はまだハートレイを信用していなかったからだ。


この町の状況を見て後に王都もミレイたちに作り変えてもらう提案をしたがハートレイはすぐに拒否した。


ハートレイはミザリーに近いうちにミレイを王城に連れてくるように命令して王都に戻って行った。


☆・☆・・


レイはエレミアの配慮で、ハートレイに会う事無く平穏に過ごしていた。


レイは暫く町で様子を見て住民が落ち着いたのを確認して、前から計画してたまだ訪れていない町や国の子供達の様子を調査に向かう事にした。


この事は当然ミザリーにも報告しミザリーも護衛にダカーポと眷属の誰かを連れて行くならと条件を出し了承した。


レイは訪問した町の子供達や孤児院が問題なければそのまま寄付だけして他に行くつもりで訪問することにした。


レイはミザリーとエレミア達に手を振り護衛のダカーポ、ティム、エルム、ミルムを連れ旅だった。


「じゃ母様たち行ってきます。アイム町の事よろしくね。」


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