第44話ミザリーの涙

お母様がなんで?


ぅぅ…会いたかったお母様が、すぐ近くにいる。

ボクは、高ぶる気持ちをぐっと抑え込んで鎮める


落ち着け… ふぅ…

連絡したけど来るの早すぎるよ…


ほんとだったらエレンさんに全て任せて、ここにいない予定だったから、心の準備が…


今は髪型も服装も違うし、森でのボクの状態アイラたちから聞いてるはずだから、死んでると思ってるはず・・


送った手紙も、孤児の救済のお願いと、洗剤の製造販売許可の事しか、書いてないし、ミレイも珍しい名前じゃないから


それにライム達が、ボクを完全に女の子にしてくれてる。


たぶん大丈夫だ…


ボクは、追放の身だから、陰から支えるって決めたんだ。


ガチャ


ドキドキ・・


オリビアさんが立ち上がり、挨拶をして、フラーテルさん達を、紹介する。

フラーテルさん達も挨拶をしていく、そしてボクが紹介される



あれ?今お母様ボクを見てるよね。

反応ない…

それにあの暴走アイラも、何もしてこないメイドのメリル、ヤエ護衛のサテラ、ノエルもボクを見ても反応ない・・


これってレイってばれてないの?


よし!お母様の元気な姿も見れたし、アイラも元気そうだし、ボクはここのまま対応して、タイミング見て孤児院に戻るのです。


「冒険者のミレイです」


お母様は、ボクの手を握り話しかける


「あなたが孤児院を救ってくれたミレイちゃんね、ありがとう」


にこり


ボクは、お母様に優しく声をかけられ、嬉しくて泣きそうになった。

ダメだ!我慢するんだ…


ぅぅ…ぐっ


「あなたから手紙を貰ってから、すぐ私の諜報部の者達に調べさせたわ、それでいろいろわかった事あるから、協力してくれるかしら」


「え?」


お母様は、ボクから離れると、アイラ達に目配せをすると、ボクの元護衛のサテラが、扉を開けると数名の冒険者が入って来る


え?何が始まるの?


冒険者が入ると、サテラが再び扉を閉めそのまま扉の前に立つ


入って来た冒険者の一人が何か詠唱を始めると部屋全体に魔法がひろがる


「ミザリー様障壁を張りました。」


「ありがとうケイト」


突然の出来事に、ボクもオリビアさん達も驚いている


なにが起こるの…

これは退散した方がいいかも、ボク協力するって言ってないし、お母様の部下の人達優秀だから、ボクいなくても大丈夫でしよ。

ボクは、オリビアさんに挨拶して帰ろうとした。


「あのオリビアさん、私孤児院でやることあるので今日はこれで失礼します。」


ボクが歩き出したら、すぐにアイラに腕を捕まれる


ガシッ!


「ミレイちゃん!どこへ行くつもりですか?」


え?なんで?

だ・大丈夫このまま行くのです。


「私、孤児院に帰らないと、子供達が待ってるの」


「ダメよ!もう絶対離さないんだから…」


え?アイラさん、泣いている…

扉の前のサテラも涙を流してる…

メイドのメリルもヤエ、それにアイラの護衛ノエルも皆涙を流してる・・



あ!ばれたんだ…


そう思った瞬間涙が溢れてくる


ぅぅ…


ミザリーが、部屋の中にいる者に命令をする


「今から見聞きする事は、他言を禁止します」


レイは、涙を流したままゆっくりと、ミザリーに向かって歩いていく


ミザリーも涙を流しながら、レイに歩みより、二人は3年振りの再開をはたし抱き合った。


「レイ生きていてくれてありがとう…ぅぅ」


「お母様会いたかった… うわーーん」


ガバッ


その後ろから、アイラも泣きながら抱きつく


「お兄様よがっだぁーー生きていた うわーーん」


サテラも、歩みよりレイの腕をつかむ


「レイ様無事でよがっだぁグスン」


メイドもボクに近づき手で口元を抑え泣いている


「レイ様よかった… ぅぅ」


オリビア達はその光景に驚く


え?ミレイ様は領主様のご子息って事は… えーー!男の子ぉー


あの容姿で男の子?信じられない…


辺境伯家の者達が、レイと涙の再会を果たし、それぞれ抱き合い再会を喜びあった。


暫くして、ミザリー達とレイも落ち着き、メルティー達が席を用意していく


全員が席に着いたのを確認しオリビアが、ミザリーに説明を求める


「ミザリー様よろしいでしょうか?説明をお願いできますか?」


ミザリーは頷き立ち上がる


「ここにいるミレイは、私のほんとの子供です。

どういう事かわかりませんが、今は女の子になってるみたいですが、フフフ」


真っ赤になるミレイ、その隣ではずっとミレイの手を握る。

アイラ、そしてミレイのすぐ後ろには、護衛のサテラが、立ってミレイを見つめている


「レイは・・あ!ここではミレイだったわね。

3年前ミレイは、私達と一緒にベルモルト辺境伯領で、毎年行われる収穫祭に参加しました。

これは領主一家と領民との絆を深めるための行事で、毎年参加しています。


その年は、収穫祭直前に領主のバトラーが、急遽王都に行くことになり、私とここにいる護衛と他数名で、収穫祭に行くことにしました。

その年は、ラタネ村の番だったので、私を含めミレイとアイラも、ラタネ村の収穫祭に参加し、その帰りに計画された盗賊の襲撃に合いました。


そこでミレイは・・ 

盗賊の使役する魔物に、腹を串刺しにされ、ラタネ村近くに広がる、ネルメスト大森林の深い谷に、魔物と一緒に落ちて行きました。

調べた結果わかったのですが、あの襲撃はミレイをターゲットにした襲撃でした。

ほんと、よく生きていてくれたと思います」


ボクは、簡単に谷に落ちてからの事を説明した


「ボクは、バーストボアにくし刺しにされて諦めたけど、ここにいる大切な家族を守るために、ボアの視界を奪ってボアを谷に誘導して谷に一緒に落ちました。

でも何故か、奇跡的に助かりました。


それは女神様から頂いた、超レアスキルのおかげだと思います。

スキルの事は、明かせませんがおかげで凄い力を手に入れました。


その代わり、何度も死にそうになりましたけどアハハ…

でもおかげで、凄い能力を身につけました。

それに女神様にいただいた知識のおかげで、孤児院を助けることができました。

そして大改造もしました。」


みな驚いているね。前世の記憶があることは言わない方がいいから、女神様から頂いた知識の方が、みんな納得すると思う


「それで、皆様先ほど説明したように、ミレイを狙った盗賊には、依頼者がいたようでまだわかっていません。

だからレイは、ミレイとして容姿と名前を変えたのですね」


ミザリーは、ミレイを見るとミレイも頷く


「だから皆様には、この子を今までと同じように扱って下さい。

そしてベルモルト家は、冒険者ミレイを全面的にバックアップします!

冒険者ミレイあなたの計画を私達に教えて頂戴」


ボクは、お母様と一緒に活動できる事が凄く嬉しかった。


「はい!みんなにボクの調べた事を伝えます。

この世界は、多くの疫病が発生していて、人族はじめ多くの種族の寿命が、どんどん短くなっています。

現在人族の寿命は40年、子供に至っては5才までの生存率は30%です。

知ってましたか?」


人族の寿命が短いのは知っていたがそこまでは・・


「ミレイ、人族の寿命が短いの知っていたけど、そこまで詳しくは知らなかったわ」


さすがお母様知ってたんだ、他のみんなは首を振っている


やっぱりね寿命が短いと知ってる人でも原因はわからないはずだから


「今からそのことについて詳しくお話します。」


シーーーン


まぁいいかこんな小さい子供だし信用するの難しいよね

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