第51話ブライトン準男爵

ブライトンは商業ギルドからの情報で孤児院で新しい洗剤を作り販売する予定だと情報を得て、孤児院で作る洗剤を自分が独占販売するつもりでいたため、それが上手くいかず怒り狂っていた。


「それで領主婦人の名前を出されて、大人しく引き下がって来たという事か!」


あの女めクソ!誰にたてついたか思い知らせてやる!だいたい領主婦人がこんな辺境に来るわけないだろうが!使えん奴らだ!


孤児院の運営資金も毎月領主から送られて来るのも儂の商会の資金にしてこの町のために安く仕入れ高く販売してやってるのだ!


それに商業ギルドにも金を渡してるから儂の商会の邪魔になるような商会や商品は、町長の名を使い排除するようになってるのだ。


この町では誰も邪魔できんのだ!フハハおかげで随分と貯えができたわい。


これで孤児院の洗剤がバカ売れすれば、あの方の新たな資金源になるからさぞ喜ばれるだろう。


孤児の労力はパン一枚与えておけばいいから安く済むから、もしバカ売れしたらあの方にお願いして孤児か奴隷を融通して貰えばいいじゃろ。


ただ動くにしても上手くやらないと、こんな金の稼げる案件を領主に報告されたら必ずモルトンに乗り込んで来る。それだけは避けねば、今のうちにいろいろ対策する…


ブライトンは数週間後いろいろ対策をしてついに動きだす。


お前達準備はいいな!さて儂自ら出向いて見てみるとするか。


「おいお前たち!先に孤児院に行け!儂も後からいく。」


監査官は一応注意をする


「ブライトン様あの土地も建物も領主様の持ち物です、私たちに口出しする権利はありませんよ。逆に運営資金が支払われてないことを領主訴えられたら終わりですよ」


「心配する必要はない!対策はしてある。それに領主の調査官に金を握らせれば問題ない!儂に考えがある余計な心配をするな行くぞ!」


すると一人の調査管がブライトンに進言してくる


「お待ちください!孤児院の監査はマギラトとタフデトから聞きました。孤児院には危険な要素はなかったと聞いてます。」


ブライトンは管理管の発言に激怒する


「うるさい!オプトス。孤児院は今からこのブライトンが管理する!」


オプトスはブライトンの横暴さに呆れ、注意する


「ブライトン様!そのような行動お止めください!孤児院は土地も建物も領主様の持ち物ですよ!領主様が知ればただですみませんよ!」


するとブライトンが、1枚の書類を見せる


「黙れ!ここに国土管理局に申請して受理された書類がある。

これはモルトン孤児院の所有権をモルトン町長の儂に変更された者じゃ!これで文句はあるまい!」


オプトスは書類を見て怪しむ


「ちょっとお待ち下さい。孤児院の所有権変更はベルモルト辺境伯領主の領主のサインと、子供の保護管理をされてるメルティア王妃殿下のサインが必要なはずです。その書類本物ですか?」


ブライトンはオプトスに怒る


「何を言っておる!本物に決まっておる。いいから貴様は黙って儂の言うとおりすればいいんだ!」


「結構です!私が黙って頷くとでも?ブライトン様その書類もそうですが、貴方が行って来た数々の不正は目に余るものがあります。私はこれで失礼します。マギラトとタフデト、あなた達はどうするのですか?よく考えて行動しなさい」


オプトスが出て行こうとするとブライトンが止める


「オプトスどこへ行く気だ!」


「そんなの決まってます。領都デルモルに行きます。」


ブライトンがにやりと不気味な笑みを浮かべポケットから笛を出し吹く


ヒュイー


すると扉から数人の黒装束の者達が入って来る


「おい!ここにいるこやつらを捕らえて地下に連れて行き閉じ込めておけ!」


オプトス達は数人の黒装束の者達に一瞬で捕らえられ地下に連行されていく


ブライトンは腹を立てながら集まった者達に言う


「今から孤児院に行く!孤児には手を出すな!まず大人の女を人質にして孤児を従わせるいいな!」                                                                                                                                                    


男達は静かに頷き姿を消す、ブライトンは部下数名と馬車に乗り込み、犯罪奴隷を数名先に向かわせる。


フフ前にギルメストに行ったときに奴隷商には、孤児院の成人前の年長の子供を数人引き渡す事、代わりのガキの奴隷をもらう事で話はついてる。

それに隷属の首輪も譲ってもらった。これで生意気な孤児院の女も儂の言いなりじゃ、女は綺麗になってると聞くしのぉ楽しみじゃわい


ゲスな笑みを浮かべながら馬車を走らせる事数十分、以前とは比べ物にならないくらい綺麗になった孤児院が見えて来た


「ガルムなんじゃあれは!」


ガルムは思う『てめえはどこに来たんだよって』


「あれが孤児院です!私も驚いたのですが、なぜあのようになったのかはわかりません聞いても教えてくれないでしょう」


近づくにつれその美しさがわかってくる


これは儂の屋敷よりきれいではないか!うーん中を見て考えるか、中も綺麗になってるなら儂が頂こう


「誰かおらぬか!町長のブライトンじゃ!話がある出て来ぬか!」


管理するエレンが中から出て来る


「はい!何でしょうか?」


な!なんじゃこの美女は・・ ブライトンは驚きエレンを舐めまわすように見る


エレンもその視線に気が付き少し後ろに引き下がる


「何でしょうかブライトン様」


「この者を覚えておろうトレスト」


エレンは対決姿勢を崩さず町長を睨みつける


「いえ存じません!ひょっとして役人の人が数名来てましたがその中の一人でしたか?領主婦人ミザリー様に報告するからとおっしゃったら逃げて帰ったからはっきり顔を見てません」


生意気な女め今のうちだ、町長権限で何とでもなる見ておれ


「ならここで作られてる洗剤と工場を見せろ!いくら領主婦人でもこの町の責任者は儂だ!文句は言わせん!」


「わかりました。お見せします。こちらですどうぞ」


エレンは子供に目配せをして合図を送る、それを見たララとネネが町長たちの隙を見て孤児院を抜け冒険者ギルドに駆けて行く


「ここが洗剤工場です、そしてこちらが私たちが開発して作った洗剤です」


ブライトンは洗剤とその器に驚く


『なんじゃこれはこんな薄い容器見たことないぞ!それになんだこの洗剤は、色も綺麗でいい香りがする、これはこんな奴らに販売させるのわけにはいかん!絶対バカ売れする品じゃ』


「この工場は監査官が安全とわかるまで使用は禁止じゃ!もちろんこっちの大きい建物もだ!」


フフさぁ泣いて詫びを入れろ!そしたらお前を連れて行きこの首輪をはめてやる


「納得できません!そもそもこの土地はミザリー様が管轄してるはずです!そのためにあなたに維持運営費が支払われてるはずです!使用禁止と言うのであればまずミザリー様に報告なさってから指示を仰いでください!」


ぐぬぬこいつなぜそんなに態度でいられるんんだ!クソ!こうなれば実力行使じゃ


「うるさいここはモルトンに建っているんだ!領主は関係ない!だいたいさっきからなんだ!貴族である儂にそんな高慢な態度を取って許されるとでも思ってるのか!こっちに来い!」


ブライトンは部下に目配せをしてエレンを拘束する


「お前はもう少し態度が素直になるように矯正してやる」


部下たちが動き周りエレンを拘束し、ブライトンがゆっくりと近づく


「貴様は儂がたっぷりと調教して素直になるようにしてやろうフフフ」


「やめて!止めて下さい!」


その時二人の子供が走って来てブライトンに体当たりをする


ダダダダダダ


ドン


グエ


首輪がブライトンの手から落ちるとそれを子供が拾い逃げていく


「なんてことしやがるこのガキ!」


ドカ!ドカ!ドカ!


ブライトンの力任せの蹴りでブライトンに体当たりした子供は血を吐き動かなくなる


「お前たち早くガキを捕まえろ!もういいガキは死んでも構わん首輪を取り戻せ!」


逃げる子供を仲間が邪魔をする


「ナナ逃げて!ミレイお姉ちゃんなら守ってくれるから!」


「私たちはお姉ちゃん来てくれるの信じてるから早く行って!」


ナナは泣きながら頷き必死で逃げて孤児院をでて冒険者ギルドに向かう


「うん・・グスン みんな絶対連れて来るから」


ブライトンは怒り連れて来てる者達に指示をする


「高い金払ってるんだ!早く捕らえろ!邪魔したガキは蹴り飛ばせ!」


次々蹴り飛ばされる子供達、それを見てエレンは泣き叫ぶ


「やめてぇーーーー!」


子供達も倒れながらつぶやく


「先生逃げて・・」


「うるさい!」

ドス!


うう…

バタ



ブライトンは、泣きながらへたり込むエレンの腕を掴み無理やり馬車に連れて行く


「お前は儂の屋敷に来るんだ!」


エレンは抵抗するも子供たちの惨状を見て抵抗する気力を無くしていた。


「酷い・・ 」


「儂は先に屋敷に帰る!首輪を持って逃げたガキは殺して構わん首輪は必ず持ってこい!」


ブライトンはエレンを見て下衆な笑みを浮かべ部下に拘束させ馬車に乗せ屋敷に戻る


「お前は今から屋敷でじっくり儂が調教してやるからのフハハハ」




ブライトンは、ガキを見られるとまずいから部下達に誰か来ても中に入れないように指示をする


「いいか町長命令だ中を見せるな!来た奴は全て追い返せ!」


ブライトンが出て行った孤児院の女の子のほとんどが蹴られ血を吐き倒れ、男の子はナナを逃がすために何度も男たちにしがみついてたため複数の骨が折られ重傷で出血もひどく酷い状態で転ばされていた。


ブライトンはエレンを馬車に乗せ屋敷に帰って行った。


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