第53話子供達の願いと回復魔法

ボク達が孤児院に着くと男達が数人立っていた。


「何だ!貴様ら!ここは立ち入り禁止だ!向こうへ行け!」


すると奥から子供達の微かな声が聞こえて来る


「お・ねぇ・ちゃ・ん・せ・ん せい ・つれて… 」


え?この声・・


「せ… んせ …た す・け・て」


ユユの声だ!


ボクは微かに聞こえて来た声の方向に夢中で駆け出した。


お母様が叫んでるが、ボクは子供達の事が気になってわからなかった。


「ミレイちゃん待って!」


子供達の声は、お母様達にも聞こえたみたいで、ボクが動くと同時にお母様やエミーアさん達も動いていた。


ミザリーが叫ぶ


「みんな絶対ミレイを守りなさい!」


エミーアもメンバーに叫ぶ


「ミズキ!シオン!絶対にミレイを傷つけさせないで!」


男達はボクを止めようと、長い槍で突いてくる


「ガキ!勝手に入るな!おらー!」


剣聖ミズキとアイラが、ボクを止めようとした男達の間に割って入り、男たちををあっさり倒してしまう


「お姉様に触らせるわけないでしょ!汚い顔をお姉さまに向けるな!」


キンキン!

ザシュ!

ギャー


「この汚らしい!お姉さまに近寄るな!」


ドカ!ドカ!ドカ!

ぐう!


「ミレイ様には、指一本触れさせません!」


ヒュンヒュン

キンキン


ザシュ


ギャー


「フン!腱を切りました。そこで這いずり回ってなさい!」


ドカッ!



ララもネネもボクについて走って来る


ダダダダダダダ…


二人はいつもよく遊んでた子供のところに行き泣き叫ぶ


「ミミ!嫌ぁーー!」


「リリー嫌だよぉー うわーん」


「ユユーー!ごめんね、戻るの遅くなって痛かったね、すぐに治すからね グスン」


ボクが、ユユを抱きしめて泣いていると、孤児院の中から、男達が走って来る


メリルとヤエが、ボク達の前に立ち腰に装備してた剣を抜き男達を威嚇する。


「てめえら!ここはブライトン様が管理する建物だ!勝手に入ることは町長への反抗とみなす!斬り捨てられても文句言えねえぞ!」


ボクたちに襲いかかって来る男たちに、お母様たちが対処してくれている


ボクがユユを抱いて泣いていると、ライムが話しかけてくる


ピキ『マスター泣くの後にするの、子供達まだギリギリたすかるの、ポーション無理だけどライム達とマスターの魔力あれば助けれる』


『グスン え?助かるの?』


ピキ『マスター時間無いの、早くしないと全員助けれないの』


『全員助かるの?ならボク頑張る』


ボクは、ユユを抱いたまま立ち上がりお母様達に向かって叫ぶ


「ミザリーさまぁー!エミーアさまぁー!

まだ子供達助かるのぉー!すぐにこの悪い男の人達を排除してーー!

早くしないと全員死んじゃうのぉー!」


ボク叫びを聞き、剣聖の二人はとんでもないスピードで動き周り!

男達を次々倒して、それをパンジーさんが石弾で、次々建物の端に吹きとばして行く


「ミレイ様了解です!」

シュン


「ミレイ様急ぎ対処します!」

シュン


「ミレイ様の前から排除します!ストーンバレット!」


ダンダンダンダンダンダン


男達は次々と倒されていく、アイラとシルフ、セレスは3人で連携して倒していく

その間、メリルとヤエがボクを庇うように立ち、建物の陰から襲いかかって来た男たちに、冒険者のケイトさん達が襲ってくる男達を殴り飛ばす


「ミレイちゃんに触らせるかあーー!」


ドカッ!ドコ!


「こんな可愛い子に、ゲスは顔を見せるな!

ぐぁー


殴り蹴り飛ばされた男たちに、パンジーさんが魔法を放つ


「あらここにも、ミレイ様の視界に触れてはいけないゴミがいるわね。

ゴミは廃棄場所に飛ばしましょう。

ストーンバレット!」


ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン


ドスドスドスドスドス



お母様とエミーアさんは、みんなが対処してる間も、ボクの直ぐ横に付き添ってくれている


剣聖のシオンさんが跪き報告をする


「目障りなゴミは、隅に処分しました。一応全員生きております。」


エミーアさんが、ボクに優しく話しかける


「ミレイちゃん言われた通り、ゴミは排除したから安心して・・」



ボクは頷き、お礼を言ってユユを抱き上げた。


「皆さんありがとうございます。グスン」



お母様もエミーアさんもアイラも惨状を見つめ何も言わない、めちゃくちゃ怒ってるのはわかった。そして子供たちの状態を見て、回復ポーションでは間に合わない事を悟る


『ポーションは、まず飲んで身体全体に回復効果のある液体に含まれた魔力が全身に行渡らないと、効果が出てこない。いくらミレイちゃんの、回復ポーションが優れていても、ここにいる全員は助からない・・』


ボクは、子供達を見て目立つとかどうでも良くなっていた。


ここで、ライム達の力借りないでどうする!


ボクはライム達にお願いする


『ライム、パルム、ミルム、エルムお願い子供たちを助けるために力を貸して!』


お母様たちは、ボクが念話で話してる間、黙り込んでるボクをずっと見守ってくれている。誰も何もしゃべらず、ボクを見つめている。


『ライム瀕死の子供達が多過ぎる!回復ポーションじゃ間に合わない!目立ってもいいから子供達を助けて!早くしないと死んじゃう!』


ピキ『マスターの気持ちわかる。

ライムも助けたいの、ライムのポーション飲ませてたら、酷い子供は間に合わないの。

だからライム女神様から、マスターを守るために授けてくれた回復魔法使う。

マスターの魔力と、ここにいるスライム全部の魔力混ぜれば、完全回復するの。

この世界での、最上級回復魔法なの誰も使えないの』


ボクの魔力と、スライム達全員の魔力つかえば子供達が助かるなら、ボクは迷わない!

目立ってもいい!ここにいる人達なら信頼してるし


ピキ『この世界の聖魔法の最上級回復使える人いないの。

どこかの教皇国の聖女様や、大神官でも、中級がやっとなの。

だからライム達の回復魔法は、絶対目立つの』


『この子達助けるためなら、そんなことどうでもいい!魔力もいくらでも使って!』


ピキ『わかったのマスター倒れてる子供達を集めて、中心に立って両手を水平に広げて、一緒に言葉を紡いでほしいの!ライムが、最初聖魔法発動のカギの言葉言うの。

マスターその後パルム達と一緒に、言葉紡ぐの』


ボクは頷くと、抱いていたユユを静かに寝かせた。


そしてお母様達にお願いする


「おか…ミザリー様、エミーア様、アイラ様、シルフ様、セレス様、サテラ様、メリル様、ミズキ様、他の皆様も倒れてる子供達を!私の周りに寝かせて貰えますか、お願いします!急いでください!」


お母様たちはは頷くと、テキパキ指示をする


「アイラ!サテラ!メリル!急いで!子供たちを集めなさい!ケイトたちも急いでミレイの周りに子供たちを集めて!」



エミーアさんも指示をしてくれる


「ミズキ!シオン!パンジー!カシア!急いで!特に酷い子供は丁寧に運びなさい!」



お母様達が、子供達を周りに寝かせてくれたのを確認して、お母様たちに一言お礼を言った。


「お母様エミーア様ありがとう」


ボクは倒れてる子供達を見て、その中央に立ち目をつむり両手を広げた。


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