第154話世界会議とレイのその後
レイが目覚め回復したことで、精霊の加護の消失は止まった。
精霊王ファンティーは、レイのすぐ近くで四大精霊を従え見守っている。
エレミアとサリアスは、聖女テレサラート、ホーリアと共に世界の主要な国々の盟主に呼び掛ける。
そして各国の代表者達は、聖女の呼びかけに応じ帝国に集まることとなる。
集まった者達に聖女は、女神クロノラナの警告を話し、女神の愛し子の状態も話した。
会議では、現在世界的な食糧不足に陥ってるのに争ってる場合ではないと…
各国の代表者をそう決意させたのが、四大精霊を祭りその加護を受ける国々の代表者の言葉だった。
風の精霊シルフを守護神とする森人族の国シーフラート国代表者シフィーリが精霊シルフの言葉を告げる。
シルフ曰く精霊王様が溺愛する子供が人間によって闇に堕とされた。
精霊王ファンティー様は激怒し、四大精霊に加護を止めるように命令された。
精霊王ファンティーは仮に子供が回復しても、暫く様子を見ると…
各国代表者はその言葉を聞いて愕然となり、先程の争ってる場合ではないと言う結論になる。
女神の愛し子であり、精霊王に溺愛されてる子供をしっかり保護する体制を整えるのが先決だと言う意見で一致する。
その結果精霊王ファンティー様に行いを見せるために、各国から2名が愛し子の護衛にあたる事で話し合いがついた。
レイの護衛は、大陸冒険者がいるから護衛は不要とサリアスが申し出たが、これは世界に暮らす者達全ての問題だとサリアスの申し出は却下された。
精霊王ファンティー様にこの世界に暮らす者達の誠意を示すためだと、各国の代表者がサリアスに迫り決まった。
更に各国代表者が愛し子と親交を持ちたいと言いだし、サリアスとエレミアを悩ませる。
そしてセイシール諸国連合国の代表者クシャラがミレイを招待して、その知恵をお借りしたいと言い出した。
「私達が調べた限り、バイスル王国は、愛し子ミレイ様の開発された水道、汚水処理、洗剤等のお陰で国民の死亡率が大幅に低下しているようです。
特に愛し子ミレイ様は、子供を特に大切になさると聞いています。
我が諸国連合国は、国民の死亡率は、他の国々に比べ著しく高いです。特に乳幼児の死亡率は、90%近くあります。
特に飲み水の問題は深刻で是非とも愛し子ミレイ様のお知恵をお借りしたいと思っています。」
その話を聞いて聖女ホーリアが思いを伝える
「帝国の聖女ホーリアと申します。先程のクシャラ様の話を聞いて思いました。
これはあくまで私の考えです。
私はつい最近最高神ソレイユ様とこの世界の女神グランシア様から神託を受けました。
こんな事は、過去の文献にもありません。
先程の話しから恐らく愛し子様は、この世界のあまりにも低い子供の生存率をあげるためにお二人の女神様が使わせてくれたのではないでしょうか…
それに子供が好きな精霊、その王が愛し子様を溺愛するのも多くの子供を救って来た愛し子様だからではないでしょうか…」
マリーラ帝国のクアトラ皇帝が頷き語る
「なるほどのぉ…そう考えれば納得する。
となると愛し子の知恵を借りるのにも慎重に対応せねばならんぞ。
絶えずお二人の女神様も見ておられるじゃろうし、それに精霊王様も側におるやもしれん。」
それを聞いて他の国々も頷きどうするかを愛し子の母ミザリーに尋ねる
ミザリーは、レイの現状と気持ちを伝える
「私は、この世界のレイの母ミザリーと申します。話の内容で、皆様のお気持ちはよくわかりました。
レイは、確かに子供を救うためならば喜んで動くと思います。
ただあの子は、回復してからも何故か身体が弱ったままです。満足に歩く事も出来ません。
ステータスも普通の人族の子供より低く弱いです。
ですからレイの体調を考えよくレイと話し合い決めたいと思っています。」
マリーラ帝国のクアトラ皇帝が立ち上がり宣言するように語る
「我々マリーラ帝国は、女神グランシア様を崇拝しているグランシア教徒じゃ。
そのグランシア様の愛し子の住まわれるバイスル王国と、永続的に不可侵友好関係を結びたい!
これは勿論バイスル王国と不可侵友好を結ぶ国が他にもあるなら我が帝国とも友好を結んで貰いたい。」
それを聞いてバイスル王国ハートレイは顔にこそ出さないが内心喜んでいた。
ハートレイは、クアトラ皇帝に答え握手を求める。
「我が国がマリーラ帝国のような大国と不可侵の友好を結んでいただけるなら大歓迎です。宜しくお願いいたす。」
エレミアは、ハートレイの様子を見て思う
『本当うちの馬鹿陛下は、何勘違いしてるのかしら、レイちゃんがいるから帝国始め他の国々が友好を結ぼうとしてるのわかってるのかしら?
後で勘違いを正しておかないと、馬鹿だから、失礼な態度をとりかねないわね。』
こうした話し合いの結果、集まった国々が不可侵の友好条約を結ぶ事となり、この難局を、お互い不足部分を助け合う事で話がついた。
☆・☆・☆・☆
世界会議が終わり一ヶ月が過ぎレイは、まだまともに歩く事ができなかった。
闇に長い間堕ちていたレイは、精神的に不安定で自分で歩こうとするも足がすくみ動かなくなる。
毎日子供達が来ていろいろ手伝ってくれるも中々歩く事ほできない。
レイの毎日は、子供達とのリハビリとおしゃべり、ライム達への魔力供給、日替わりでミザリー、エレミア、サリアスやアイラ、王女、騎士達とのおしゃべりしたりと、レイが一人でいることはなかった。
レイが回復してからは、眷属のアイムとリンナが毎日一緒に寝てしっかり精神的ケアをしていた。
アイムは、レイが回復してからは自ら話すことはなく、ひたすらレイのサポートを行っていた。
☆アイム視点…☆
ミレイパパが目覚めて数日、満足に歩けないパパ普通にしゃべれないパパ、最初は深い闇の中の影響が残ってるのだと思っていた。
でも違った。☆成長阻害☆がパパのステータススキルの中にあったからだ。
たぶん2,3歳の子供くらいまで全てが下がってる。
そのせいなのか、こっちの名前で呼ばれても戸惑い反応している。
あたい達が美玲って呼んであげると嬉しそうに答えてくれる。
美玲パパは、大人の男の人が近寄ると身体が少し震えている。
必死に怖いのを我慢してる感じがするの…
これも闇の影響…
パパの周りにいる。精霊達も心配そうにして離れないの…
あたいも心配なの…精神も不安定なのに必死に誤魔化してる。
女神クロノラナ様が、パパを闇に堕とした人間は信用できないから暫く様子を見るからって、パパの能力を吸い取ってパパのステータスが初期に近い状態まで下がってしまった。
お姉さま達への魔力供給するためにMPだけ残してくれた。
あたいは、女神クロノラナ様が、昔人族に肩入れし過ぎて酷い目にあった事を聞いてる。
だからパパを守る事はいいけど、人族に手を貸さないように言われたのを守るつもりで、パパの事だけしている。
リンナも昼間は孤児の子供達と遊んだりして、夜はパパと一緒に寝ている。
この前この世界の偉い人達が集まって会議があった。
エレミアが参加して戻って来たけど、会議で世界の偉い人達がパパに会いに来るらしい。
美玲パパは大丈夫って答えていたけど、全然大丈夫じゃないのに…
・・・・・・
パパが目覚めて数ヶ月毎日あたいとリンナがパパの手を握り一緒に寝ている。
あたい達が、美玲パパにこの世界でのパパの活躍をゆっくり少しづつお話ししている。
そのおかげなのか少しづつ話す言葉が聞きやすくなってきた。
パパが以前のように走り回り、自分から話すようになるのは、まだまだ時間がかかりそう…
でも皆にパパの名前ちゃんと美玲って呼ぶように言わないと…
パパこの名前に凄く思いがあるみたいだから…
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