第153話レイの目覚め

女神クロノラナ視点…☆


女神クロノラナは、ミレイの生まれた場所ベルモルト辺境伯の生家に来ていた。


あの子に触れて妾の神力が戻って来たのじゃ。

でもまだ妾は神界に戻る力はない…

人間に肩入れし過ぎて、神力が弱まり人間に利用され封印までされた…

本当なら妾を封印した人族を滅ぼしてもよかったんだが、それやるとグランシアに怒られるから我慢したけど…


今は、妾の弟ミレイがいるからこれから凄く楽しみなのじゃ。


人族のあ奴らが、ミレイを救いだしどうしていくのか楽しみなのじゃ。


勿論人族がミレイを傷つけたら、今度は容赦しないのじゃ。

精霊王ファンティーは、人族があまり好きでないからのぉ…今回の事はかなり怒ってるはずじゃ。


ミレイが助けた孤児たちが、精霊王の怒りを爆発させずにずんだ事など誰も知らぬしのぉ…


この状態で助けた孤児に何かあれば全ての精霊の加護が消失するかものぉ…

まぁ自業自得と言うものじゃ


そうなれば妾は、ミレイを連れて神力が戻るまで籠るだけじゃ。


しかしミレイは、過去を思い出してもあの記憶だけは、封印しておるみたいじゃが…

さて真名を思い出してあの記憶がよみがえったらどうするかのぉ…


『お兄ちゃん…今まで守ってくれてありがとう…最後にお兄ちゃんを守れてよかった…

美莉愛はね死んだら神様にお願いして別の世界に連れて行って貰うの。

美玲お兄ちゃんが話してくれた夢の世界に…

だからお兄ちゃんが夢の世界に来たら美莉愛の事探して…そこで二人で楽しく暮らそう…

美莉愛待ってるから…ずっと待ってるから…』



さすがに今の神力では、美莉愛を探すことはできぬが、この世界にいるのは間違いない。


グランシアも粋なことしよるわい


ミレイが目覚めてこの子の事を思い出して、探す事ができれば精霊達もミレイの心からの喜びに影響され加護が完全に戻るじゃろ。


ファンティーも今回の事は、かなりの怒りようじゃからの…

ミレイが目覚めてもすぐには戻らんじゃろ…


ミレイが闇に堕ちたのは、妾を勝手に崇拝してた奴らが勝手にやったから知らぬし…

妾も被害者じゃし…あやつは鬱陶しいから中に溜まっていた禍々しい人間の闇の塊を凝縮して渡してすっきりしたわい。


あの男は予想通り使い方を誤って消滅したが、ミレイの眷属が犠牲になったのは誤算じゃったのぉ…


ミレイの様子を見に行って、集まってる仲間がミレイのこと大切にしてるのはわかった。

じゃがミレイが以前と違う状態ならどうするのか、見てみたいから妾がミレイの力を吸い取り弱くした。


意外じゃったのが、ミレイに神力が宿ってた事じゃ。

おかげで妾の神力も少し戻ったのは嬉しい誤算じゃ。

さて弱くなってしまったミレイをどうするのか見せて貰うぞ。


目覚めてる妖精族の二人には、妾の考えを伝えてあるから、ミレイを助けても人族を助ける事はしないじゃろ。


さてどうなる…


☆……☆……☆……

モルトン孤児院


ミレイの眠るハウスでは、クロノラナが去ってから毎日皆が真名を正しく言えるように練習している。


孤児の子供達は、数分で全員が正しく発音できるようになり、ミザリーが言霊魔法使った時に真名で呼びかけると、明らかに反応が違ったと…


それを聞いて皆が必死になり、数日で真名が正しく発音できるようになり、ミレイの思いが強い関係者全員で呼びかける


レイの母ミザリー、エレミア、メルティアの二人の王妃、サリアス陛下、バイスル王国のシルフィーにセレスティア王女妹のアイラ等ミレイを思う者達が集いミザリーの言霊魔法が発動すると皆が一斉に祈る。


それぞれの思いを真名に加え…


『皆行きますよ!神聖魔法言霊!』


……………


『瑞樹美玲あなたのいる世界はそこじゃないでしょ!戻って来なさい。』


『瑞樹美玲あなたが戻るのを大勢の子供達が待ってるわよ。早く戻りなさい!』


『瑞樹美玲みんなモルトンで待ってるわ早く戻って来て!』


『瑞樹美玲お兄様アイラはずっと待ってます。早く戻って来て下さい。結婚しましょう。』


『瑞樹美玲お兄ちゃんララだよ。ユユもナナもココもみんな待ってるから早く戻って来て!』


『瑞樹美玲よ。サリアスじゃ。早く戻ってこんと大人のキスをするぞ!』


『瑞樹美玲ちゃん早く戻ってチェリアスの初めてを貰ってください…』


闇の中に引きこもるレイは…



………

………

……

美玲…


瑞樹美玲…


あれ誰かが僕を呼んでる…


『誰なの…』


「おい!早くしろ!いつまで待たせるんだ!バシン!」


うっ…


鞭を手に持つお義父さん…これが現実なのに…

誰も救ってくれないのに…


『瑞樹美玲あなたのいる世界はそこじゃないでしょ…』


えっこの声聞き覚えがある…


でもあれは僕の作った物語の世界じゃないの…


「おい!いつまで………」


『サリアスじゃ。早く戻ってこんと大人のキスをするぞ…』


サリアス……


『お兄様アイラはずっと待ってます。早く戻って結婚しましょう…』


アイラ……僕の妹…


僕の妹はこっちで…うぅ頭が痛い…


『美玲私の愛する息子…貴方のいる所はそこじゃないでしょ!貴方の事をこんなにもたくさんの人が待ってるのよ。

ちゃんと聞いて戻って来なさい!』


お母様…たくさんの声?


『お兄ちゃんララだよ。ユユもナナもココもみんな待ってるから…』


『美玲ちゃん早く戻って来て…』

『大好きよ美玲…』

『美玲…』

『美玲…』


この声みんな知ってる…


ララ…

チェリアス…

ホタルさん…

フラワーガールのみんな…


あぁ…わかったボクのいる世界…


この瞬間ミレイの籠る闇が割れる


バリン…


………


「ミザリーお母様…」


ミザリーは、目を覚ました最愛の息子を抱きしめ言葉をかける


「お帰りなさいレイ…」





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