第152話漆黒の女神クロノラナの助言と警告
「はい。ここにミレイがいると聞いて来たのクロノラナなの…」
対応した姫騎士イリアナは、少女を見て感じる。
『何この子凄くヤバい感じ何ですけど…対応誤るとまずい気がするんだけど…』
そこに孤児院の子供ララとユユがやって来る。
「お姉ちゃんどうしたの?」
イリアナは、クロノラナに少し待ってくれるようにお願いして、中に駆けて行った。
ユユは、クロノラナを見て話しかける
「女神様は、ミレイお兄さんを助けに来てくれたの?」
クロノラナは、自分が女神だと言った少女に驚く
『なんじゃこの子は妾の隠蔽を見破るとは…真鑑定持ちか…凄い子供じゃのぉ…』
それを聞いたララがクロノラナの前で正座をして床に頭をつけお願いをする。
ユユも同じ様に真似をする。
「女神様お兄ちゃんを助けてください。お兄ちゃんは、たくさんの子供の命を助けてくれたの。私もユユも助けてくれたの。私が身代わりになるから助けてください。」
「お兄ちゃんを助けてくれるならユユの命をあげます。」
「ララの命もあげます。お願いします。」
クロノラナは、二人の発言に驚く
『こんなに小さな子供が、自分の命と引き換えにミレイを助けて欲しいと思われるほどなのか…』
クロノラナは、子供たちを見て考え込む。
『妾も復活してからいろいろ思いだし情報を集めた。
妾を復活させた者達は、かなり深い闇を持つ人間ばかりじゃった。
あの者に少しばかり復活させてくれたお礼をしたが、無駄じゃったようじゃが…
闇が多い者達ばかりと思っておったがそうでもないのか…
この子達は、ソレイユ様の愛し子ミレイの影響なのか…
少し様子を見てみるか…
ミレイを慕う者達を…』
姫騎士イリアナがグランアリスと剣聖ホタルを連れて来る。
クロノラナは、それを見て微笑む
『ほぉ…中々の強者のようじゃが…どれ試して見るかのぉ…』
クロノラナが少し闇の魔力を放出すると、グランアリスとホタルが剣に手をかける。
それを見てララとユユが両手を広げクロノラナを隠すように前に立つ
「駄目なの!この子は、今お友達になったから!」
「ユユのお友達なのミレイちゃんのお見舞いに来たの。怖い事しないで!」
クロノラナは、二人の子供が自分を庇う行動に出た事に驚く
『なんじゃこの子達は、命が惜しくないのか!それほどミレイの事を慕っているのか…妾なら助けてくれるかも知れないと思って…』
クロノラナは、二人の頭を撫で安心させる言葉を伝える
「ララにユユありがとうなのじゃ。二人のためにミレイの事で妾にできる事があるなら助けるからの。」
クロノラナは、二人を自分の後ろに下げ、グランアリスとホタルと対峙して二人に告げる。
「妾は、クロノラナじゃ!女神ソレイユ様の愛し子ミレイに会いに来たのじゃ」
グランアリスとホタルは、女神ソレイユの愛し子と発言したクロノラナに強大な魔力を感じ躊躇う
クロノラナは、それを感じ二人に話しかける。
「二人共妾の強い魔力に警戒しておるのじゃろ、心配せずともよい。
この子達とも約束したし、何より妾の弟が心配で見に来たのじゃ。暴れたりせぬわ」
二人はクロノラナの発言に驚き、グランアリスは質問する。
「ミレイちゃんの事を弟とはいったいどういう事なのか…
それに貴方からはかなり強力な魔力を感じるので、他の者が退避せねばならないので、少し溢れる魔力を抑えて欲しい。」
クロノラナは、魔力を体内に留めるように制御する。
そして自分の事を話す。
「こんなもんかの。妾は、創造神ソレイユ様より闇を司る女神として、生まれた漆黒の女神クロノラナじゃ。お前達の大切にしてるミレイは、ソレイユ様の愛し子じゃろ。
妾の弟も同然じゃ。だからそなたらに危害など与えん。」
グランアリスとホタルは女神と聞き跪く
「失礼しました女神クロノラナ様。確かに今の私達では、クロノラナ様には、全員で挑んでも抑える事は出来ないでしょう。
案内します。」
クロノラナは、グランアリス達に名前を省略して普通に接するように促す。
「これ妾の事は、クロノでよい。後この子達と同じ様に普通に話せ。」
二人は、頷きミレイの眠るハウスに向かう。
グランアリスは、歩きながらクロノラナの事を念話で伝えハウスに着いた時には、全員が1階に集まり、エレミアもミザリーも応接室に待機していた。
クロノラナもそれは感じ何も言わず案内された応接室に入った。
まずエレミアが挨拶し、ミザリーテレサラートと挨拶していく。
クロノラナもこの世界の高位の聖属性魔法の使い手が集まってることに驚く
「ほぉ…大陸の聖女に帝国の聖女かそれにそなたまで…なるほどミレイは、これ程の者から慕われてるって事か…」
エレミアは、女神クロノラナ様と呼び、跪こうとするのをクロノラナは止める
「妾は言ったはずじゃ、この子達と同じ様にと。だから敬称も不要じゃ、クロノでよい。普通に話せ!」
エレミア達は立ち上がり言われた通り普通に話し始める
「それではクロノちゃん…」
「うむそれでよいのじゃ。ここでは身分は不要、年上を敬えばよい。妾は見た目通りでよいぞ。」
クロノは眠るミレイの所に案内され、ミレイに触れる。
「なるほどのぉ…これは深い闇じゃ…辛かろうミレイよ…待っておれお姉ちゃんがここにいる皆に助けるアドバイスをするからの…」
クロノがミレイに話す言葉を聞いていた者達は、ミレイが中々戻らない理由がわかった事に驚く
ミザリーは、不思議に思う
『この女神様の力を得た信者達が、暴走してミレイを闇に落としたのに、何故私達に協力するのかしら…』
皆それぞれ同じ様にクロノラナの事を思いテレサラートは、クロノに質問する
「クロノちゃん、ミザリー様がミレイちゃんを助けるために、言霊を送り続けて1年半以上たつのに、まだ何も変化がないの。どうしてかわかりますか?」
クロノは、あっさりと頷き答える
「うむ。わかるぞちょうどよい機会じゃ。さっきのところより広い場所に人を集めよ。そこでお主達に伝える事がある。」
エレミアは、かなり重要な事だと思いサリアスはじめ、ミレイに関係する重要人物を転移ゲートで呼び寄せた。
孤児院の食堂には、ミレイが立ち寄り拠点を作った。孤児院やギルドの代表者が集まり、ナンバーズ冒険者、フラワーガールのメンバー等が集まった。
クロノは、集まったメンバーを見て満足するように何度も頷く
集まった者達には、クロノが漆黒の女神であることは告げてある。彼女達も皆ミレイの回復を望んでいたから直ぐに集まった。
クロノが集まった者達に語り始める
「まずここに集まった者達が、心からミレイが目覚めるのを望んでいる。これで間違いない?」
皆が頷き返事をする。
クロノは一呼吸置く。そして指を3本立て説明を始める。
①ミレイが目覚めない理由
②目覚めさせる方法
③復活後の注意点
①目覚めない理由…
『ミレイがここにいた事は、自分が作った物語だと。つまり夢だと思い込んでる事。』
②目覚めさせる方法…
『私達が今呼んでるのは、ミレイが夢の中だと思ってる名前だから反応しないと…
向こうで閉じ籠ってる真名で、ここにいる全員が、ミザリーの言霊に上手くのせれば、向こうの闇が壊れると…』
③復活後これが大事じゃと言って語りだす。
『妾は、漆黒の女神じゃから多くの人間の闇を見て来てる。
人は、負の感情が積み重なると、感情が制御できなくなり闇に堕ちる。
闇に落ちた者達は、闇魔法が使えるようになり威力も格段に上がる。
ミレイが目覚め回復したら、そなたらがしっかり守らぬと、再びミレイが闇に堕ちたり、深く傷つくような事態になれば、私達の最高神でもある女神ソレイユ様の命令で、この世界の管理する女神グランシア様が、ミレイを強制回収するはずじゃ。
そうなればどうなるかわかるであろう。』
エレミアは頷き呟く
『精霊の加護は全て消失する…』
クロノは、集まった者達に神力をのせて語る
『小規模な闇の氾濫はこれからも起こるであろう。
しかし国家間の欲にまみれた戦争は大量の闇が溢れる。
回復したミレイは、力が弱い…と言うより敏感になっている。
大規模な闇が溢れれば、ミレイは間違いなく感情を乱し再び堕ちるぞ。
妾から警告する。国家間のつまらぬ争いは辞めよ!
ミレイを失いたくないなら、よく話し合い解決するのじゃ。』
集まった者達、セイシール島諸国連合、マリーラ帝国、アリメリアル公国、バイスル王国、メルヘルト女王国の代表者、また助言できる者達は、クロノラナの言葉を聞いて、この場で話し合い仮の条約を結び、後日正式に国家間で締結する事を話し合った。
エレミアがクロノラナにその事を伝える。
そしてミレイを守り、闇の影響を与えないように誓う。
エレミアは、クロノラナの溢れる神力を感じ跪く
「それで女神クロノラナ様、ミレイを救うための真名を教えていただけないでしょうか…」
クロノラナは、跪くエレミア達を見て自分から神力が溢れてる事を悟り、そのまま話す。
『妾の可愛い弟の闇の世界の真名は、瑞樹美玲じゃ。正しく発音しないと伝わらぬから皆がしっかり覚えて、ミザリーが言霊魔法を使ってる時に、正しい発音で真名で呼ぶのじゃ。これぐらいは問題ないじゃろ』
クロノラナはミザリーに歩みより頭に手をかざす
『これでこの館の中に入ればミザリーが言霊魔法使ってるのがわかり、祈るように各々が心の中で正しい発音で呼びかければ、ミレイの閉じ籠ってる夢を壊す事ができるじゃろう。』
ミザリーがミレイの真名を言って見る
「ミズキミレイ…」
クロノラナは首を振り駄目だと教える
『全く違うぞ。瑞樹美玲じゃ』
その後集まった者達も何度も口にしても正しく発音できない。
そんな時
「瑞樹美玲」
「瑞樹美玲」
クロノラナが聞こえた方向を見るとララとユユが嬉しそうにクロノラナを見つめていた。
『おおララとユユ綺麗な発音じゃ。凄いのじゃ。これで問題はないの…
妾は、少し眠くなったから帰るのじゃ。
ミレイの事は任せたのじゃ。
妾の警告忘れるでないぞ…』
そう言ってクロノラナはその場で消えていった。
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