第151話衰退していく世界の者達の焦り

☆…☆…ミレイが闇に沈んで半年後に、漆黒のモルドバル率いる漆黒信者達とミレイ眷属達との激しい戦いがあった。


結果漆黒信者とモルドバルは、ミレイ眷属達によって消滅した。


そしてこの大陸に平和が訪れるはずだった。

しかし精霊の加護消失で、今世界規模で食糧不足が起こっているがその問題は更に酷くなっていた。


そう精霊の加護の消失は止まってるはずなのに土地は痩せたままなのだ。

農地を持つ者達は、土をいじりいろいろ工夫するも痩せた土地は回復しないのだ。


更に野菜等の食糧不足が原因で、新な問題が発生している。

野菜等の食糧が不足し多くの民は、魔物等の肉を多く食べるようになる。


魔物以外の野生動物の肉はあるが、圧倒的に少ないのだ。

それに肉質味等、魔物肉が断然美味しいのだ。


ただ魔物肉は微量だが毒素があり、食べ続けると毒素は蓄積し人体にさまざまな影響を与える事をほとんど知られていない。


魔物肉を多く食べ始めた民は、魔物の毒素蓄積でさまざまな病気を発症している。

それ以外にもビタミン不足が原因の病気の発症等、世界は危機的状況になっていた。


その状況に追い討ちをかける暴動が各地で起こる。

ミレイの野菜を食べて回復した者達が、この病気はミレイの野菜を食べれば治ると噂を流したから、国で管理しているミレイの野菜を奪う奴らが現れ各地で暴動が起こってる。


確かに魔物の毒素は、ビタミン成分が豊富な野菜を取れば毒素は分解される事が

わかっていた。


それでその知識を知った商人が野菜を高騰させるために噂を流したのだ。


国王陛下はこの事に頭を悩ませ今後ミレイの野菜をどうするか話し合っていた。


現在ビタミンが豊富なミレイの野菜は、国で完全に管理配給されていて、孤児や病気の者と言った弱者優先で配給している。

その余りは、国家承認されている商人に引き渡されてたが、その商人を襲う者や、商人から買い付けた者が高額で売り付ける。

その事で購入者から不満が噴出。略奪行為まで発展する事態も起こっていた。


余剰分についてどうするかも国王達は、頭を悩ませ都度対策をしていた。



そして聖戦と呼ばれた戦いから半年の月日が流れた…


エレミアは、食事のため食堂に集まったミザリーとテレサラートに状況を聞いていた。



「ミザリーお姉さま、テレサラート様レイの様子はどう?」


二人共に目をふせて首をふる


ミザリーが現状を伝える


「今レイは、闇の球体の中にいて、球体は幾つも膜を張ってて神聖魔法言霊で少しづつ膜を壊してる感じよ。やっと僅かに光を送れたって感じかしら…」


テレサラートも頷く


「そうですね。私も聖属性魔法で支援をしていますが、消費が激しく全く闇の膜にミザリー様の言霊が浸透して行きません。

それほどレイ様の闇が深いのだと思います。

それとミザリー様が正式なお名前レイ様でお呼びしても反応無かったのですが、一度だけミレイ様とお呼びした時だけ、僅かに変化が見られました。


何故かはわかりませんが…


後せめてもう一人聖属性魔法レベル8以上の方がいれば…もう少しミザリー様の精神負担も減り言霊を浸透させる時間が延びるのですが…

このままでは…レイ様をお救いするのは…」


エレミアは、それを聞いて落ち込み呟く


「せっかくモルドバル達漆黒信者を、レイちゃんの眷属のライムちゃん達とナンバーズ冒険者で完全に倒したのに…

このままもしレイちゃんが、闇から目覚めなければ、精霊の加護が全てなくなるのは間違いない。

そうなればこの世界は終わりね。」



ミザリーは、頷きエレミアに話す。


「漆黒信者の大量の闇魔力を使ったモルドバルの閻魔核の大爆発から、ライム達ミレイの眷属は、MPとHPを大量に消費した多重防御結界で私達を守ってくれた。

しかし、大量消費したMPそしてギリギリまで削られたHP…

であの子達は、深い眠りについてしまった。

幸いアイムとリアナは眠りが浅く1週間ほどで目覚めて、ライム達の状況を教えてくれたからわかったけど、回復薬は効かないとは…それに眠りは深いと…」


エレミアも回復薬が効かないのは驚いていた。


「そうよね。私も回復薬が効かないのは驚いたわ。種族の特殊性かしら…」


アイム達が言うには、ライム達は完全睡眠モードの少し手前だと言う。

どれくらいで目覚めるかはわからないと…


ちなみに完全睡眠モードは、今の形態が変わって、最低でも100年以上の眠りにつくらしい


ミザリーは、ライム達を撫でながら魔力を送る小さいリアナとアイムの横に来て同じ様に撫で呟いた。


『貴方達のおかげで、このミレイの眠るモルトンは救われたわ、ありがとう…

早く目覚めてミレイを救うの手伝って…』



………

………

………


更に2年の歳月が流れる…


レイが闇に堕ちもうすぐ2年になるが、レイの回復を誰も諦めていなかった。


しかし、この世界にある3つの大陸と大小1000ある島も全て土の精霊の加護が消えた。

バイスル王国のあるユーラシス大陸から始まった加護の消失は、他の大陸にも広がっていた。


各地で数年前より起こり始めた農作物の不作と質の低下は、深刻な問題になっていた。


……………


アトラス大陸にあるマリーラ帝国は、熱烈な女神グランシア信徒でもあった。

マリーラ帝国中央都市モレール大聖堂では、女神グランシアからの神託が聖女に伝えられていた。


聖女ホーリアは、皇帝陛下に神託を伝えた。


『この世界の危機的状況は、人間が女神グランシアの愛し子を闇に落とした。

それに激怒した精霊王が大陸から土の精霊の加護を完全に奪ったためだと…

そしてそれを解決するためには、愛し子を闇から救いだすことだと…』


クアトラ皇帝は、直ぐに動く聖属性魔法レベル8以上の者達を集めるため、通達を出す。


「このアトラス大陸全地域より聖属性魔法の使い手を集めよ!女神グランシア様の愛し子を救いこの世界を再び実りある世界を取り戻すのだ。」


数ヶ月後世界各地より、モルトンに高レベルの聖属性魔法を使う者達が集まる。


ミレイとして活動し助けた孤児達もここに来て毎日レイに声をかけている


セイシール諸国連合国、マリーラ帝国、アリメリアル公国より高位の聖属性魔法の使い手が集う


彼女達は、聖女ホーリアが女神グランシアからの神託を受け自ら連絡を取り集めたのだった。


集まった彼女達は、レイの眠るこの家の責任者エレミア王妃に挨拶をする


「マリーラ帝国より女神グランシア様の愛し子を救うために来ました。

マリーラ帝国聖女ホーリアと申します。」


ホーリア達も挨拶をし少し話し合った後、レイの眠る部屋に入り回復作業を始める。


しかし数日経過しても変化は見られず、言霊の言葉を変えても同じだった。


そしてさらに数ヶ月経過し皆に焦りが見え始めた頃ミザリー達の元に一人の少女が訪れる


護衛の姫騎士が対応する


「ここの孤児院に何か用かな?お嬢さん」


「はい。ここにミレイがいると聞いて来たのクロノラナと言うの…」

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