第206話バイスル王国の二つの派閥

ミレイと別れた後ミルムは転移でモルトンに来てすぐにエレミアのもとに向かう。


エレミアはとセレスティアとシルフィーを伴って面会する

メルティアもアイムを伴って部屋に入る


エレミアがミルムに尋ねる


「状況はどんな感じ、ミレイは大人しくしてる?精神乱れてない?あの子が乱れるような事があるならすぐに対処していいから責任は私が取ります。」


ミルムはミレイの状況を説明する。


「エレミア母様旅の途中ミレイは一時乱れてけど私達が気持ちを静めた。

でも今いる町はダメ!あの町の魔力の穢れは酷いのね。


町の代官が屑みたいなのね。ミレイの精神がかなり乱れたのね。準男爵が町の顔の整った女性や子供を無茶苦茶な理由つけて、連行して、奴隷にしてると聞いたのね。


ティムからミレイの精神状態が悪いから、先に捕らわれてる人達を助けると連絡あった。


準男爵はエレミア達に任せるのね。至急調査するのね。

準男爵はミレイを狙ってると連絡もあったから…」


エレミア達はそれを聞いて驚く


「えっ?何ですって!情報だけでも爵位剥奪なのに、その上でミレイを狙ってる?絶対許されないわね。確かあそこはアドラド侯爵領ね。」


メルティアがすぐに諜報部と貴族監視院に連絡する。


するとすぐに二人の女性が入って来る。


「メルティア様お呼びと聞き急ぎ参りました。諜報部副部長のラニーナです。」


「貴族監視取締官ルキーナです」


二人は挨拶した後メルティアから話を聞き怒りすぐに部下達に連絡をしてから部屋を出て行く。


「ラニーナだ!至急調査隊を編成!メローナに向かう。メルティア殿下ミルム様すぐに戻ります。」


ルキーナは一言言って部屋を出て行く。


「メルティア殿下すぐに戻ります。少しお待ち下さい。」


ミルムはメルティアの行動の早さに驚く


「メルティア母様凄いのね。ミレイは認識阻害施したローブ被ってるから大丈夫だしダカーポが常にミレイと一緒にいるから心配ないけど、ミレイの心が乱れるのが心配なの。早く処分した方がいいのね。」


メルティアは一緒にいるアイムに尋ねる


「アイム。メローナはあの子達に任せてたらいいけど、私達はどうしたらいいかな?」



メルティアに抱かれて大人しくしてたアイムがメルティアに聞かれ答える


「エレミア母様もメルティア母様も覚悟決めた方がいい。奴隷制度全面廃止に反対した国王派が今回の件に絡んでる。アイムは沢山の眷属を王国全域に放ってるのね。

だからだいたいの状況わかるのね。


それとこの先世界の崩壊に繋がる原因になる事にも、ハートレイともう一つの国が絡んでる。

これはミレイしか止めれないからミレイの眷属達が何とかする。

エレミア母様メルティア母様あまり猶予はないのね。ハートレイの事どうするか決めるのね。」



二人はそれを聞いて覚悟を決める


「アイムに言われてよくハートレイを見てたけど、陛下は日に日に魔力が濁って来てたから…

あれだけ穢れるともう戻らないわね。ずっとハートレイと接してた者達の影響ね。」


エレミアもメルティアの言葉に頷き呟く


「そうね。私達も覚悟決めないとね。ハートレイかこの世界を救うミレイか…」


メルティアがミルムに話す


「こっちの上位貴族は私達に任せて。新たに体制を整えて整理します。エレミアが国を治める体制を整えます。

私達は以前ハートレイがミレイに取った行動からずっと様子を見てたの。

ハートレイの態度が悪くなる事も想定して、私達は聖女ホーリア様から伝えられた女神グランシア様の言葉に賛同する者達を集めたのよ。


私達も覚悟を決めました。


ハートレイに賛同する貴族達はこっちで何とかするから、ミルムは貴族取締官の彼女達が揃い次第すぐにメローナに向かってくれるかしら。」


「わかったの」


その後ラニーナとルキーナが部下を連れて集まりミルムは全員を連れてメローナに転移していった。


エレミアは女神の使徒の意見を聞くためミザリーを尋ねる


ミザリーもミレイがいるメローナでの状況を聞かされ、その背後の貴族を聞いて頷き答える


「今モルトン周辺はミレイの魔力の影響と精霊達によって以前の状態以上に良くなっています。

ですが王都周辺が変化なく逆にひどくなってます。さらに今言われた領地に関してはかなり酷い状態です。

陛下や問題の領主は状況をわかってないのかしら?あれほどミレイの精神が乱れる事をすれば精霊の加護がなくなる事を…


女神ソレイユの使徒として言わせて貰います。ミレイの精神を乱す子供や女性を奴隷にする行為はすぐに止めて下さい。

難しいならエレミアに賛同する貴族達で領地をはっきりと分断して意志を示めせば精霊達の加護が戻るでしょう。

全てエレミアにお任せします。私はここモルトンを離れる事は出来ませんから宜しくお願いします。」


エレミアは頷きモルトンにある別邸の執務室に戻りメルティアと話し合いそれぞれ分担して行動を起こす。



エレミアは剣聖シオンを連れ諜報部に向かう。

メルティアは娘で大陸冒険者のララノアとロロノアに以前ミレイに危害を加え死亡した貴族達の関連をさらに詳しく調べさせていた。

その結果を聞くため二人を呼び寄せる。



「ララノア、ロロノアそれで何かわかったのかしら?」


ララノアが答える


「はい!死亡した彼らは他国の貴族と繋がりがあることがわかりました。ブロキア国のラグラド伯爵とデサートル侯爵です。」


ロロノアが補足する


「お母様あの国は奴隷制度は現在も行われ最近国境のメローナと頻繁に取引がされてるようです。恐らく奴隷商人が絡んでるのではないかと思います。」


メルティアは呟く


「ブロキア国かまた厄介な国が絡んでるわね。あなた達は暫くモルトンに待機しててくれるかしら、またお願いすると思うから」


二人は頷き部屋を出て行く。


一方のエレミアは奴隷制度廃止に反対した貴族達の動きがおかしかったので前から調べさせていた件を諜報部を訪ねる。

諜報部の者達もいきなりエレミアが訪ねて来て部員達は驚くも対応をし、状況を報告する。


「エレミア殿下一連の件に関係する貴族は領主貴族が3名その関連貴族6名と…陛下です。」


エレミアが報告を受け尋ねる


「それで確証は得たのかしら?」


「残念ながら…館に忍び込めば掴めるかも知れませんが、さすがに我々ではそこまでのスキルは持ってないので…

連中も屋敷の警備はかなり力を入れてますのでなかなか難しい状況です。

陛下に至っては彼らとの接触が多くどこまで深く関わってるか私達ではわかりません。」


報告を聞いてエレミアが語る


「ハートレイがもし深く関わってるなら彼らを捕らえる時に反応があるでしよう。

疑わしき貴族達も本来なら確たる証拠を確保するのが当たり前だけど、今そんなこと言ってられないわね。

万が一ミレイに何かあれば今度こそこの国は終わる。ここはアイムちゃんに頼りましょう。」


エレミアは一旦執務室に戻りメルティアと話し合いアイム尋ねる



アイムはあっさりと答える



『アイムの召還したアサシンスパイダーに調べさせて証拠はつかんでるのね。だからお母様達は好きにするといいのね。』


それを聞いてエレミアは同じ思いを持つ貴族達に召集をかけるためにアイムの作った通信魔道具の場所に行き王国の半数の貴族に連絡をとる。


『こちらエレミア兼ねてより話してた件実行に移す時が来ました。

話し合いの会合についてはモルトン特別区にあるベルモルト辺境伯別邸に集合してください。


奴隷制度反対派のバカな男達が、メローナで私達の救いの希望ミレイを捕らえようとしています。


ミレイには強力な護衛がいるので心配要りませんが、この先も同じ事が起こると思う。

だから早急に例の件を取り決めたいと思ってる。

皆できるだけ早急に集まってほしい。』



5名の女性領主、実権を握る領主婦人15名は答え急ぎモルトンに向かう。


数日後エレミアが召集をかけた貴族達がモルトンに集まる。


数日で集まったのには遠方の領主や婦人をアイムが自ら移動し迎えに行き転移ゲートで連れて来たからだ。


集まった貴族女性達にエレミアがミレイが作ったクッキー、アイスクリン、ショートケーキ等をだしてお茶会会合を開く


「皆さんよく集まってくれました。疲れを癒すために皆さんに妖精の作ったお菓子を提供いたします。

どうぞ召し上がって下さい。少し談笑してから本題の話し合いをしたいと思います。」


女性達は貴族女性らしく走ることなく、静かに用意されたテーブルに集まり、それぞれミレイの作ったお菓子を食べ始める。


談笑が始まるかと思ったら、皆一口食べた瞬間動きが止まり、皆驚きの表情をする。


それを見てエレミアは声をかける


「皆さん遠慮なさらず沢山ありますから…あらどうされたのかしら?」


ナホトカ領領主クアーラが皆を代表するようにエレミアに尋ねる


「エレミア殿下私は少し前に妖精のクッキーを食べた事があり、その時初めて食べるお菓子に感動したのです。

今食べたクッキー何ですか!口の中いっぱいに幸せが広がって凄いですわ。」


他の女性貴族達もクアーラの言葉に頷き黙々とミレイの作ったお菓子を食べている。


エレミアはその状態を嬉しそうに見つめ集まった者達に告げる


「皆さん妖精のお菓子を堪能して下さい。その状態では後でと言っても無理だと思うので落ち着いてから話し合いを始めましょう。」


「「「「エレミア殿下ありがとうございます。」」」」


クアーラはお菓子を手に持った貴族女性達に言葉をかける


「さぁ皆さんエレミア殿下から許可も出たので、私達の妖精様のお菓子をじっくり堪能しましょう。」


貴族女性達は皆お菓子を一口食べては嬉しそうに呟き出された全ての種類のお菓子を堪能していた。



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