第163話セイシール諸国(東・北諸島エリア)
レイの作戦は大成功で、3種類の丸薬と回復促進水の効果は絶大で、診断の魔道具で判定して、薬を回復促進水と一緒に飲ませると、暫くしてすぐに効果が現れ淡い光が現れその光が少しづつ身体全体にゆっくりと広がって行く。
やがて光は身体全体を包むと暫くして消えていく…
すると今まで高熱でうなされてた者達、顔色が悪く苦しそうにしてた者達、
呼吸が不安定で苦しんでいた者達が症状が消え皆顔色が戻り安定した呼吸になる。
薬を与え見守っていた者達は、その奇跡的な出来事を目の前で見て感動する。
『凄い…幼い女神様の奇跡だ…』
その後更に高速艇が5隻、10隻と完成する度待機していた者達が乗り込み、レイが祈りを捧げ出発して行った。
30隻の高速艇が出て行った時点で待機チームがいなくなる。
アイムは緊急用の少し大きめの高速艇を作る。ベッドを備え重傷者も運べる高速艇だ。
この船は、残ってる陛下と長老達に運転して貰う。
30チームの者達から次々と報告が入る。
アイムは作業を終えメルティアさんに抱かれた状態で連絡通信に対応する。
そして対応できない重篤者の知らせが入る。
「こちらレイヤル島担当ホタル症状診断判定で薬では対応出来ません。
至急対応お願いします。患者は、6歳少女です。」
それを聞いてボクが動こうとすると、アイムやクシャラ陛下達に止められる。
「パパは動いたらダメ!まだここに人員がいるの。」
「そうじゃ!まだ私達長老衆やメイド達がいる。
レイちゃんは世界の最後の希望なのよ。貴方にもし何かあったらこの世界は終わりなのよ。
まだ緊急高速艇の乗員私達も含めて2チームできるわ。」
「そうよ。だからレイちゃんは大人しく待ってて、操舵する者は魔力回復ポーション飲みながら、診断する者も回復させる者も皆慎重にやってるわ。
彼らを信じてレイちゃんは足らないポーションや丸薬を作ってて下さい。」
長老さん二人とメイドさん3人が緊急高速艇に乗り込みレイヤル島に向かった。
暫くして今度は、シルフィー王女から連絡が入る。
「こちらオリオン島担当シルフィー症状が複雑で対応できない小さい幼女が3人共に重篤です。
至急対応お願いします。」
これで対応するチームが全て出て行ってしまう。
クシャラ陛下が釘をさす。
「レイちゃん。貴方は絶対動いてはダメよ。運んで来た重篤者をアイムちゃんだけに任せるの?私達を信じて運ばれる重篤者を治療してあげて下さい。」
クシャラ陛下は、ボクの頬にキスをして行って来ると言って残りの者とチームを組んでオリオン島に向かって行った。
船に残ってるのは、ボクのサポートしてくれるメイド一人と、メルティアさんとアイムだけになった。
暫くしてまた緊急連絡が入る。
「こちらネメルナ島担当マリ手に負えない患者1名至急搬送求む。この島にはまだ他にも要救助が5名いる。
私達は動けない。」
恐れていた事が起こる。
メルティアさんがボクの手を握り優しく諭してくれる。
「レイちゃん。みんなあなたの気持ちわかってるから…大丈夫よ。
動いてる仲間を信じて待ちましょう。」
ボクは祈るような気持ちで待っていた。
すると次々連絡が入る。
「こちらアイラ!ネメルナ島はここから近いから私達が向かいます。こっちは全て回復したから以上。」
「こちらグランアリスこちらも全て終了した。丸薬と促進水もまだ余裕がある応援に向かう。」
「こちらホドラナ島担当サテラです。症状が高熱系の者が数十名います。手が空いたチームの応援を求めます。」
「こちらソリアラ島ミズキ全て終了した。応援に向かう。」
「こちらシオンメラニール島全て終了丸薬の補給に戻る。次の指示を頼む。」
ボクがみんなの通信を聞いて感動していると、メルティアさんが微笑みながら話してくる
「レイちゃん皆何も言わなくてもわかってるから、連携の取れたいいチームじゃない。
これでわかったでしょ。貴方はここにいて、運ばれる重篤者を治療してポーションや丸薬を渡してあげればいいのよ。」
「うん。」
アイムはボクに気合いを入れてくれる。
「パパもう少ししたら重篤者が運ばれてくる。今度はパパが期待に応える番だよ。
アイムも手伝うから、メルティアママもね。」
アイムとうとうメルティアさんをママ呼び…まぁ凄く嬉しそうにしてるからそうなったのかな…
よし!気合い入れて治療するのね。
ボクは運ばれた子供達をアイムの協力で全て治療した。
そして3日間かけてこの地域の病床にあった者全て治療できた。
次は東の端ドレイクラ諸島か、長老の話しでは1500kmの距離らしい。
急ぎたいけど、ボクの疲労と魔力量を考えると、巡行で走らせるのは少しきついかな。
みんなにも休息必要だし、アイムは休憩必要ないから3階のキャビンの部屋で濾過装置等の魔道具を作るって言ってメルティアさんと一緒に部屋に入ってしまった。
巡航速度以下で2日かけ東の端ドレイクラ諸島に到着した。
またここは全然雰囲気が違うね。
木が少ないし陽射しが強い…
これ症状が片寄ってるような気がするなぁ…
諸島の中心付近でクルーザーを止めると、アイムが収納していた小型高速艇を海に並べていく。
30挺の高速艇に乗り込んだ者達に陛下が声をかけボクも安全を祈りチームリーダーグランアリスが全員に声をかけ出発していく。
「よし女神様の加護もいただいた。皆一人でも多く救うぞ!」
「「「「おーー!」」」」
「「「「やぁーー!」」」」
30挺が整列して出ていく光景は圧巻だった。
到着した者達から症状の報告が上がってくる。
予想通りこの諸島は水を何とかしないとダメだとわかる。
さっきの諸島はジャングルが多い事から雨が多いのがわかるだから毒虫による高熱の者が多かった。
ここは雨が少ない…だからとても飲めないような水を無理やり飲んでの影響が多い?
後暑さの問題もあるかも…
ボクは先ほどの諸島の問題や対策を書き込んでたが、この諸島の問題や対策もメモしていく。
さっきの諸島での経験がここで更に連携に磨きがかかる。
事前に入る連絡でボクも対処がしやすくなり、さっき見たいに狼狽える事はなかった。
アイムとボクにも余裕ができ、アイムには冷却の魔道具は、魔石の問題で数が作れないが、風羽の魔道具なら装着も難しくなく魔石も問題ないからと、ボクのイメージを送り作り始める。
アイムはこうした製作に特化してるのでイメージや設計図があると、複製のスキルがあるので大量に作る事ができる。
こうして出来上がった濾過装置と風羽の魔道具をクルーザーで島の近くまで運び救済の対処が終わった者達が小型高速艇で運び込み設置していく。
無事病床の者達の対処も魔道具の設置の対処も終わったボク達は、北端のノストリーフ諸島に向かった。
そこでは、連携に磨きのかかった30チームによって病床の者達の対処と魔道具の設置は数日が完了する。
ボクは、みんなの連携が凄くなったので最後の最南端の諸島も楽だろうと思って話をしてたらクシャラ陛下の言葉で急遽対策を迫られる事になる。
「レイちゃん、悪いが最南端のザザンクロス諸島はほとんどの島が海から簡単には上陸ができんのじゃ。
だから私達でも島に入るのに毎回苦労してるのよ。
島からの定時連絡では、この諸島が一番症状の酷い者が多数いる。
島に乗り込むにも犠牲が出るやも知れん…」
え?そんなに厳しいの…
ボクは諸島が近づいてクシャラ陛下の言った意味がわかった。
何あの島…
周り断崖だ…
あの断崖に沿って道がある…でもあれ一人が通るのやっとだよ。
海は凄い岩礁だし落ちたら大怪我、下手すれば死んじゃう…
しかも潮流の問題で接近が難しい…
おまけに風が強いから難易度が半端ない…
どうする…下手すれば小型高速艇何か風に煽られ岩礁にぶつかり大破沈没する…
陛下の話しでは、島はほとんどが同じような感じらしい…
「レイちゃんよ。ここまでかも知れん…これ以上はかなりの犠牲が出る…島の者を救ってほしいが…まだ多少回れてない島もあるからここで無理は…「嫌です!絶対方法を考えて島の人達を救います。」…」
何か方法があるはず…
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