第162話セイシール諸国(クレタトルタ島)
ここがクレタトルタ島か…凄い海までジャングルが迫ってる。
この島の人達ってこのジャングルの中に住んでるの?
だったら大変だよ。虫とか対策先にしてあげないと…
ボクはラニーニァの指示に従って船をゆっくり島に近づける
「レイちゃんちょっと止まって!」
どこに船停泊させるところあるの?全部木々に覆われてるから無理だよ
ん?ラニーニァさんが方言?聞いたことのない言葉で叫んだ
「ウラー・テラー・・・・・・・」
すると木々の間から小船が出て来て近づいて来る。
ラニーニァさんがデッキに立ち手を振る。
それを確認した男たちは何か叫ぶ、暫くすると、海面まで垂れていた木々が動き出し水路ができる。
小船に先導されついて行くと小さな入り江になったところに入って行く。
へぇーこれ隠れた小さな港だ。クルーザーの後ろなら何とか接岸できるかな・・
クルーザーを港につけた後、ボクたちは島の案内人に、この島の責任者長老のいる所に連れていかれる。
高床式の木造の大きな家に着くと、身体に模様を描いた肌が真っ黒に日に焼けた男の人が数人出て来てクシャラ陛下に挨拶をする。
島の人達の挨拶って違うんだ。
出て来た島の人達は陛下の前で、右手でを広げ手で左胸を隠すようにして軽く膝を折り頭を下げる。
部屋に通された後陛下とラニーニァ、ボクとアイム、メルティアさんと護衛として剣聖の二人とシーリアが島の長老たちと話し合うためにの会議室に向かう。
ボクたちが席に着き長老達が挨拶をしてくる。
あの長老の腕の模様みんな少しづつ違うけど何か意味あるのかなぁ
それに長老と言ってもたぶん40代くらい?
それだけ寿命が短いって事?港からここまで子供の姿見なかったのも気になるし、弱い魔力をあっちこち感じたんだよね凄く気になる。
挨拶をした5人の長老はモルデント、フロマルテ、ジェレミー、システィア、ユリアナ男性2人、女性3人だった。
話を聞くとここ数年で諸島の人口は激減していて、大小200の島に点在していた島民を少しでも管理できる大きな島に移しているが減少は止まらない。
特に子供は昨年180人生まれたが今生きているのは10人ほどだと、しかもほとんどが病気で危篤状態だと。
成人の島民も5年前は8000人いたが現在は4000人ほどだと、しかも1000人は病症に臥せってると。
5人の長老が報告をした後陛下から少し離れた場所に座るボクとアイムにの所まで来る。ボクとアイムも椅子から降りる
多分挨拶かなと思ってたら、5人は床に座り頭を床につけ懇願する
「貴方様は我々の島を救うために来られたと聞いています。
我々は手を尽くしましたが病に倒れた者を救う手立てがありません。
どうかお力をお貸しください。
特にここでは小さき者は生きる事が出来ません。
お願いします。
あなた様のお力を・・・」
ボクみたいな子供に、長老の人達が土下座して懇願するって、ほんとに島の事大切に思ってる人達なんだ・・
ボクとアイムは頷き答える
「長老さん頭を上げて下さい。ボクたちはそのために来たんです。
病気で寝込む人達を救うために…
その代わり
島の元気な人達にも協力してもらいます。
ここにいる王女様、王子様護衛騎士も全員で協力します。そうしないと救えないから、皆さんボクたちの言う通りに動いてください。」
長老さん達はボクたちに感謝を述べる
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「皆さん席に座ってください。今からその事でお話します。」
長老たちが席に着き島の周辺の状況、病気の症状、生活状況を聞いた。
長老たちからの話しは予想通りで、毒虫、環境悪化、高温多湿環境、食糧等が主な原因だった。
ボクが作った薬を症状に合わせて飲ませれば効果が早いはず。
状態異常回復薬エックスシールはあるけどさすがに数がない。
だから症状に合った薬なら、数も用意できるし小さい子供も負担が少ない。
問題は時間だ。薬の効果も即効性じゃないからできるだけ早く飲ませないと、幼い子供は死んじゃうかもしれない。
クルーザーで移動する?
でもクルーザーは水深が浅いと入れないし点在する島が多いから間に合わない。
どうしよう・・
ボクが考えてるとアイムが提案してくれる
『レイママ小型高速艇作ればいい。アイムの収納している材料で作れる。レイママの知識あれば大丈夫なの』
おぉ・・・
アイムの案は1日あれば10艇は作れるらしい船体だけなら100くらい作れるらしく、難しいのが小型船外動力らしい。
ボクのイメージは船の後ろに小さなエンジンとスクリューの付いた小型の船外エンジン。
これを魔石の魔力で動かす仕組みにするのが大変らしい。
ボクは長老さん達にまず人命を優先にすることを告げる。
まずこの諸島の中心にクルーザーを持って行き、そこから小型高速艇で各島に薬を運ばせて病気の者に飲ませる。
傷のある重傷者は、薬を飲ませず高速艇でクルーザーまで運んで貰いボクが治療する。
症状についての判断は、診断の魔道具で判定して貰って薬を飲ませて貰う。
用意した薬は、3種類、高熱系、嘔吐腹痛系、脱水発熱呼吸系
診断の魔道具でわからない場合はクルーザーまで運んで貰う事にした。
ボクは説明した後椅子の上に立ち会議に参加してる人に重要性を告げる
「皆さん!時間がありませんので、すぐに1チーム操舵手、護衛、案内人の3人から4人のチームをできるだけ沢山作ってください!
ボクとアイムは先にクルーザーに行きます。」
ボクとアイムはクルーザーに戻りアイムは1階後部デッキで小型高速艇を作り、ボクは3階キャビンで3種類の薬を作る。
ボクとアイムは集中して作ってると、メルティアさんに準備ができたと言われ作業を中断する。
船には5人の長老まで乗っていた。
クシャラ陛下も並べられた丸薬と小さな小瓶を見て驚く
「レイちゃん薬だけではないのか?なんじゃこの小瓶の数は…」
アハハ…まぁこの数は驚くよね。
「これは後で説明します。それより陛下も長老さんも参加されるのですか。島で待っていても…『何を言うのじゃ!女神様がこの諸国のために動いておるのに私達が島で大人しくしてられん』…え」
レイの事を知らない人達がクシャラ陛下の発言で騒然となる。
えーー!何でバラスのぉー
「皆落ち着きなさい!女神様は態度を変えられるのを嫌がる。
今まで通りするのじゃ。レイちゃんはそう言う女神様じゃ。
ただ皆に知ってほしかったのじゃ。私達のために尽くしてくださる女神様の事を…」
ボクに跪き頭を下げるセイシール諸国の人達
ボクはそんな人達に、みんなで助けるんだと言う意識をつけるために、仕事を割り振る
「みんな跪いてる場合じゃないですよ。みんなでこの危機を乗り越えないとダメなのです。
陛下と長老さん達はこの3種類ある丸薬と回復促進水をセットにしてここにある袋に入れて行ってください。」
ボクの前に跪いてた人達全員に仕事を割り振ると、皆戸惑っていたが、アイムの一言で皆嬉しそうに返事をして動きだす。
「女神ミユミレイア様は、絶対この危機を助けるの。貴方達はそれを信じれないのですか?
女神ミユミレイア様は、みんなで助ける気持ちが大切だと言ってるの。わかった?」
「「「「「はい!」」」」」
長老達は指示通り動きだす。
ボクはユリアナ長老の案内で諸島群中央海域に向けクルーザーを進める。
ボクは薬を作りたいから誰かに船に魔力を注いで貰らうようにお願いしたが、一番魔力量の多いメルティアさんで30分で魔力枯渇になり、他の人では5分しかもたなかった。
ボクは仕方なく操縦を続け1時間ほどで目的地に着いた。
するとチームに別れて出来上がった小型高速艇に乗り込んで行く。
出来上がった10隻の高速艇に乗り込んだ10チームにクルーザーのデッキに整列したボク達を見る。
ボクは高速艇に乗り込んだ人達に注意とお願いをし祈りの言葉をかける。
「皆さん説明した通り薬を飲ませる時は、必ず回復促進水を使ってください。
皆さん一人でも多くの人達を救って下さい。皆さんの道中の安全をお祈りします。」
ボクの身体から魔力が抜けて10隻の高速艇に乗ってる者達が僅かに光る。
「可愛い女神様の祝福じゃ。道中の心配は無用じゃ。皆宜しく頼むぞ!救済部隊出発せよ!」
クシャラ陛下の合図で一斉に高速艇が割当てられた島に向かって走り出す。
アイラとチェリアス王女も乗り込んで出発して行く。
「お兄様行って来まーす。」
ボクとアイムは見送った後、シーリアに出発して行った者達の海域を守って貰うようにお願いして。
「この周辺海域にシーリアの魔力流して魔物が近づかないようにできる?」
シーリアは嬉しそうに頷く
「やっとシーリアも役に立てるのね。任せなさい!
女神様との契約で以前の10倍力が上がったから、この周辺海域をマーキングすればもう誰も近寄らないわよ。」
えーー!そんなに強くなったんだ。
海域の監視をシーリアにお願いしてボクとアイムは作業を続けた。
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