第164話セイシール諸国(ザザンクロス諸島)

あの断崖攻略しないと…

強風と潮流で小型高速艇では危険過ぎる…


となると空?


風は強いし小型高速艇はある。

ならパラグライダーを島の近くまで引っ張り島の上空で切り離しパラグライダーを操作して島に降下して貰う。


帰りは崖から飛び降りて貰えばあれだけ島に向かって吹く風に乗れば空に浮かび上がるはず。


荷物ほリュックにすれば問題ないしパラグライダーの素材になる丈夫な布も大量にライム達が収納してくれている。


後はアイムにボクが伝える情報だけど、降下したり上昇したりする仕組みがいまいちわからないけど、おぼろげでも解ればアイムが何とかしてくれる。



アイムに相談してみよ。


ボクは、アイムのところに行き島に行く方法を話した。


「……というやり方でパラグライダーさえできれば、みんな身体能力高いから問題ないと思うんだよね。」


アイムは驚きボクに抱きついてくる。


「レイママ凄いよ。その方法なら作るの難しくないし、畳みやすく広がりやすくすれば問題ないのね。

1チーム操舵手一人パラ部隊2名で動いて回収移動まで行えば問題ないのね。」


アイムがママ呼びになってる…これって何かあるのかな?気分?

まぁどっちでもいいけど…


ボクは、アイムにパラグライダーの実物を作って貰い、みんなに今回の事で作戦を伝えるからと、食堂に集まって貰った。


ボクは集まったみんなに今回の作戦を話す。


「みんな次は船で近づくのはかなりの犠牲が出るので別の方法にします。」


周りがざわつくもすぐに静かになる


「皆さんには空から島に向かって貰います。」


え?驚かないの?アイラが立ちあがりボクに言ってくる。


「お兄様みんなこの状況でもお兄様なら絶対何とかしてくれると思ってたんです。それが空からって素晴らしいです。」


全員が頷いている。


ボクはパラグライダーについて説明する。


「一人が高速艇でこの大きな布状のパラグライダーを引っ張りこのクルーザーから飛び立ちます。

パラグライダーは風を受けて広がり空に浮かび上がります。

飛び上がったらこのコードを操作して進む方向を変えて島に向かって貰います。


パラ部隊は上手くコードを操作しながらパラグライダーの操作に慣れて下さい。



島の上空に着いたらワイヤーを切り離して、自分で操作して降下して着陸してください。

着陸するときは、身体強化と着陸姿勢を維持してください。


戻って来る時は、崖に向かって走り思い切り飛び出すか、急斜面があればパラグライダーを広げ走って降りれば勝手に身体が浮かびます。


高速艇は戻るパラ部隊を回収して次の目的地に向かう時は、着水状態からもスタートできますが、上手く飛びあがれないかもしれません。その時は戻って来てください。」


一通り説明して実物を装着して貰って説明していく。

パラ部隊には冒険者、護衛騎士にお願いするとアイラと王女4人が文句を言ってくる。


「レイお兄様何故私達を外すのですか!家族として、妻として、夫を補佐するのは妻として当たり前の事です。アイラも行きますから!」


アイラの発言に刺激され4人の王女も参加する発言をしてくる。


「私も第二婦人として、旦那様のお手伝いを致します。」


はぁ?何言ってるの


「お母様が第一婦人で、お姉さまが第二婦人、ではアイラさんが第三婦人かしら、私は六番目でもお慕いする旦那様のためにがんばります。」


「私はアイラ様の次に旦那様とはお会いして大好きになったのです。何番目でもレイをサポートするために向かういます。」


え?ちょっ…


「家族として一番末っ子ですが、お慕いする思いは負けません。私もレイ兄様のためにがんばります。」


はぁ…アイラはともかくシルフィーやセレスティアにフェリアスにチェリアスまで、何かあったらどうするの!


しかも5人共にボクと結婚したつもりで話してるし…

もう好きにして、たぶん言っても止まらないし…


ボクは王女達の事は諦め好きにさせる事にした。


パラ部隊に伝える。


「皆さんは初めて空を飛ぶ事になります。トラブルが起こっても全て初めての事です。

慌てず対処してください。

着陸する時も同じです。もし失敗して落下しても大丈夫です。皆さんにはボクが作った守りの指輪を渡します。」


するとパラ部隊の女性達は歓声をあげ、高速艇部隊からは文句がでる。


「「「「やったぁーー!」」」」

「「「婚約指輪だぁーー」」」

「「「結婚だぁーー」」」


いやいや何言ってるのぉー


「「「私達もほしいぞぉー」」」

「「「不公平だぞぉーー」」」

「「「ずるいぞぉー!」」」


うわー収集がつかない…


「わかりました。高速艇の部隊にも渡します。」


そしたら船で待機するメイドも騒ぎだす。


「「レイ様私達もこの作戦に参加してるのです。酷いです。」


うぅ…結局全員に作らないといけなくなったのね。


『レイママが悪いのね。みんなママの事好きなのに最初から全員作るべき』


アイムにも叱られた。


ボクは全員に守りの指輪をわたす。


みんな嬉しそうに指につける。


グランアリスが全員に気合いを入れるように叫ぶ


「皆これで私達は、レイの妻だ!旦那様のために成功させるよー!」


「「「「やぁーー!」」」」

「「「「「はい!」」」」」


えーー!みんなそんなんじゃないのに…

ただの守りの指輪なのに…


何かわからないうちに皆それぞれ準備し、パラ部隊は1階と2階デッキに別れ、高速艇部隊も横一列に並びパラ部隊のハーネスにワイヤーを掛けていく。


1階デッキにいるグランアリスがクシャラ陛下に声をかける


「クシャラ陛下準備整いました。いつでも出れます。」


クシャラ陛下は、頷いて命令を下す。


「全員無事戻って来なさい。パラ部隊テイクオフじゃ!」


「「「「やぁーー!」」」」




陛下の合図とともに高速艇がスピードをあげパラ部隊が引っ張られタイミングよくクルーザーから飛び立っていく。


長老達も次々飛び立つパラ部隊に声をあげる


「ほぉーこれは……」

「凄い…」


パラ部隊の声も聞こえる


「「「気持ちいいーー!」」」


パラ部隊は全員が無事飛び立ちそれぞれ担当の島に向かっていく。


パラ部隊は、それぞれ無事島に降りる事ができ、予定通り病床の者達を処置していく。


終わったパラ部隊は斜面や崖を利用して再び飛び立ち高速艇部隊と合流して、次の島に向かう。


こうしてパラ部隊は大きな事故もなく無事作戦は終了する。


後は濾過装置とかをどうするか…

後あの断崖をどうするか…


島の人達は、あの断崖を削り作った道を海岸まで降りて船に乗って移動している。

島の人達は、風とか潮流とかいつ変わるかわかってるから、船を出せるって長老さんは言っていた。


それに人が住んでる島は、20くらいらしく大きい島で、前世の奄美大島とか、淡路島くらいあるみたい。


結構大きいんだ…

でもほとんどの島が切り立った断崖って船から見ても異様だもんね。


高い所で100m以上で低い所でも10m以上ある。


これって風と潮流の影響でこうなったんだろうなぁ…

凄いね自然の力って…


ここに住む人達はそれを受け入れて長い間生活している。


島から島への移動の大変さ食糧調達、水調達の大変さも改善してあげないと…


ボクがいろいろ考えてその事もアイムと相談した。


そしてボクとアイムは長老さんの操縦する船に乗り込み一番大きな島の桟橋に降ろして貰ってそこから二人で錬成と土魔法を駆使して崖を削りトンネルを掘り水路を広げた。


大型のミレー号でも入れる空間を崖を削って作った。


その後アイムとボクの膨大な魔力を使って地下桟橋と島の上を結ぶトンネルを掘り、階段と昇降機を作った。


アイムの能力は生産・製作に特化してるからとんでもないスピードで全て完了させた。

ボクは、魔力タンクとしてアイムに魔力を供給しただけだけど、ほんと古代種の能力は凄いと改めて思った。


島地下の桟橋を幾つか作りボクとアイムは地上に出て、島の主要箇所に次々濾過装置と浄化装置を設置し井戸を各主要箇所に掘りポンプも取り付けた。


ボクとアイムが畑を作ってると、回復した島の人達がやって来てボクとアイムの前で両膝をつき祈りを捧げるように話してくる


「女神様妖精様私達の命を救い、この地に女神様の魔道具まで設置してして頂きありがとうございます。」


「女神様私達にも手伝わさてください。」


「妖精様私達も手伝います。」


回復の早かった島民達数十人が声を揃え懇願してくる。


ボクとアイムは、畑を整地して種を島民に渡して植えていって貰った。


島民の人達にボクが作った設備を説明して、後を任せ次の島に向かった。


こうしてボクとアイムは数日かけて人の住む全ての島に装置を設置して、安全な通路と港を作って行った。





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