第142話漆黒の女神とモルドバル
モルドバル公爵は、女神信者に持たせた魔道具から、バイスル王国の謁見の間の様子を見ていた。
レイが完全に闇に落ちて動かなくなったのを見て喜んでいた。
『これで私の念願だった。大陸の掌握が大きく一歩前進した。生意気なガキは、闇に沈んだ。』
あとは、女神様を見つけてあのガキの居場所と交換に、女神様の加護を貰えば、闇の魔力が増大し、閻王になれるのだ。
フハハハ…
女神様が向いそうな所か…
恐らく孤児院で大勢いるところは…メルフェルト国ギマラスか…遠いがメリー湖を船で行けば3週間あれば着くだろ。
方角的にもそっち方面から強い闇の魔力を感じる。
よし向かうか、その前に戦力を集め力を与えないと大陸制覇が出来なくなる。
信者達に1ヵ月後に漆黒の女神様からの神託を伝えると指示して、私は漆黒の女神様の後を追いかけ補佐のトレイル伯爵を従えギマラスに向かった。
………
………
あれから3週間が経ち我々はギマラスに到着した。
さて、まずどこを探すか?
まず闇の魔力を探知しないと…
トレイルが噴水の方を指差す
「見つけました向こうの方角です。」
噴水広場の市場か…移動は徒歩で行けるか…
……
…
ここの魔力は……
見つけた!
あそこで男の子に話してるのが女神様か…
あの様子だと、上手くやらないと私が殺される。
漆黒の女神クロノラナは、噴水広場で楽しそうに男の子と話してる。
「ふんふんそれでその格好いい子の名前教えてくれる。」
「ミレイちゃんて言うんだ。女の子だけど本当に格好いいんだ!」
「そうミレイちゃんて言うのね。その子今どこにいるかわかる?」
「知らない…」
「そうなの…」
「お姉ちゃんボク孤児院に戻るね。またね」
落ち込むクロノラナを見てモルドバルとトレイルはニヤニヤしながら近づく
そしてクロノラナの前で膝まづき挨拶をする。
「漆黒の女神クロノラナ様、あなた様を眠りから覚ました。モルドバルでございます。」
「トレイルです。」
クロノラナは、ちらっと二人を見て興味無さそうに答える
「あぁ貴方ね。それで何か用なの?」
モルドバルは、クロノラナが気になってるミレイの居場所を交換条件に教える。
「クロノラナ様が気にしてるミレイという子供の居場所私は知っていますが、教えましょうか?」
女神クロノラナは、ブフブン首をふる。
そしてキスでもするかのように、モルドバルに迫る。
モルドバルは、素早く反応し、要望を伝える。
「クロノラナ様、居場所教えてもよろしいですが、私達もご褒美がほしいです。
出来れば漆黒の女神様の加護と闇魔法の強化して欲しいです。」
クロノラナは、頷き直ぐに動く。
「そんなのでいいの?変なの、じゃあ行くよ。」
クロノラナは、モルドバルとトレイル二人に手をかざし、言葉を伝えながら、モルドバルとトレイルに魔力を注ぐ
「これ耐えたら凄い事になると思う。頑張って!やぁ!」
モルドバルは、突然苦しみ出す。
トレイルも苦しみに耐えようとするが、魔力が許容を超え漆黒の炎に包まれ消滅する
それを見てクロノラナが呟く
『無理だと思ったんだ。醜い男だったからいいや』
「ぐあー!これが漆黒の魔力…儂は耐えて見せるぞ!」
モルドバルは暫く耐えた後、肩で生きをしながらお礼を言い、ミレイの居場所を教える。
クロノラナが感謝すると言って、どこかに飛んで言った。
それをを見てモルドバルは気持ちよく豪快に笑う
ついにやったぞ!フハハハこれが漆黒の女神の加護か凄いぞ!力が溢れてくる感じだ。
トレイルは残念だったが、まずテオラート国に集まる信者の元に行き、信者に能力を上げるために作った丸薬の核にこの漆黒の魔力を注ぐ。
おお!これは凄いですね。
これなら信者の能力も爆発的に上がるでしょう。
それにこれは魔物にも効果があるでしょう。
人を好んで襲うゴブリンやオーク等に上手く与える事が出来れば我々の助けとなり町を襲ってくれるでしょう。
そうですね。そのためにもあの忌々しい聖女の結界を何とかしないと行けませんね。
問題だった一つミレイは、闇に落とした。
残り一つ聖女も闇に落とせば確実にこの世界は、この漆黒の閻王モルドバルの思うままになるのだ。
今なら、あの忌々しい結界も、何とか出来るかも知れませんね。
そのためにも急ぎ戻り準備をしましょう。
☆・☆・☆・☆
モルドバルが漆黒の女神と会っていた頃、テオラート国聖都エメラート教会には、結界の中に熱烈な聖女信者と護衛の騎士に守られた聖女テレサラートがいた。
テレサラートは、教会全体に結界を張り熱心に女神グランシアに祈りを捧げていた。
そこに数百年ぶりに女神グランシアが降臨する。
突然の出来事に信者は、驚き殆どの者は、感動の涙を流し手を組み祈りを捧げる。
護衛騎士も剣を置き頭を垂れ祈る。
テレサラートも祈り女神グランシアを見つめ涙をためる。
女神グランシアは、テレサラートと信者に向け優しく語る。
『あなた方の日々の祈りは、神界に届いて、嬉しく思ってます。熱心な私の巫女テレサラートと信者に神託を授けに降臨したのです。』
テレサラートも騎士も信者達も女神グランシアを見つめ耳を傾ける。
女神グランシアもテレサラート達を暫く見つめる。
何かを調べるように…
『テレサラートとあなた達なら大丈夫でしょう。
今から話すことは、とても重要な事です。よく聞いて直ぐに行動しなさい。』
女神グランシア様から聞かされたのは、強力な闇の加護を受けた者が生まれ、聖女の命を狙ってるから、ヘルメルト国のサリアス女王を便りなさいと、言う事だった。
私は女神グランシア様に尋ねた。
「女神グランシア様神託ありがとうございます。すぐに行動に移しますが、お聞きしたいことがあります。」
女神グランシアは、テレサラートを見つめ話しかける
『テレサラートあなたの心配してる闇の加護を持った者の事は、心配の必要ありません。
私の母創造神女神ソレイユ様の愛し子の使徒9人がいるからです。
彼女達なら問題無く対処してくれます。
テレサラートには、漆黒の加護を持った者が、倒された後の事をお願いしたいのです。』
女神グランシア様は、漆黒の加護を持った者は、多くの信者に力を与え世界を混乱に陥れるために魔物を使い町や都市を攻めると。
それは、9人の使徒と、愛し子ミレイを慕うランカー冒険者が協力して対処するから問題ないだろうと。
それより愛し子のミレイが、漆黒の者達の攻撃で深い闇の中に沈み、眠ったままだと。
問題は、愛し子ミレイを溺愛してるのが他にもいて、その一人が精霊王ファンティーだと。
ファンティーは、愛し子ミレイが人間達の攻撃で闇に落ちてしまった事に激しく怒り、この大陸全ての土地から、土の精霊の加護を消したと。
一部の地域では、水の精霊の加護まで消されて、大変な状態になっていると。
女神はこの事に介入出来ないから、自分たちで何とかしないと行けないと。
それには、愛し子を闇から回復させるしかないと。
そのために愛し子の母ソレイユが地上のミレイの母に力を与え使徒に引き上げた。
しかしミレイの闇は深く、回復できたとしても、今度はミレイの母が、亡くなってしまうかも知れないと。
そうなれば再びミレイが闇に沈むと。
テレサラートは、理解し女神グランシアに話す。
「わかりました。女神グランシア様私は、そのミレイ様のお母様をサポートすればいいのですね。」
『そうです。お願いできますか?』
テレサラートはゆっくり頷き答える
「お任せください。この世界の復興のために全身全霊でサポートします。」
グランシアは頷きテレサラートの前に降りて手を軽く頭にのせる。
『では、貴方に私の加護と力を少し授けます。他の者達も影響があるはずです。
しっかりと受け止めるようにしなさい。』
テレサラートは、身体に流れ込んで来る暖かい神力に身体が震える
『はぁー何て気持ちいいのかしら…はぁー』
女神グランシアは、テレサラートを見て納得しテレサラートと信者達に言葉をかけ静かに消えていく。
『テレサラート愛し子ミレイをよろしくお願いします。
私の信者達テレサラートを絶対死なせてはなりませんよ。あなた達にも少し影響があったはずだから、以前より力が使えるはずです。
決して己の力のために使わないようにね。皆さんこの世界を頼みましたよ。』
女神が消え信者達も騎士達も自分の身体を触り確認している。
鑑定スキルを持った者が確認して全員に伝える。
テレサラートを含めた、信者19人は、女神像に膝づき誓いの言葉を述べる。
『我々は、女神グランシア様から頂いたこの力をこの世界を救うために使う事を誓います!』
テレサラートが信者達に声をかける
「皆さん急ぎ準備をお願いします。すぐに、ヘルメルト国に向け出発します。」
騎士も信者達も全員武器を身につけテレサラートを守るように教会を出て、ヘルメルト国を目指し出発した。
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