第70話ミレイのお願い

ボクは孤児院からギルドに戻り、依頼の完了報告をした。


「ローズさん孤児院の掃除完了です!」


ボクは書類を渡し報酬の大銅貨1枚を受け取り、ローズさんと少し孤児院の事で話をした。


「お疲れ様でした。どうでしたか、孤児院は?」


「子供達は元気で、みんないい子でしたよぉ♪

掃除も手伝ってくれたので、お礼にクッキー焼いてあげましたぁー」


「はい?クッキー?ミレイちゃんお菓子とか作れるの?」


ボクは調子にのりベラベラしゃべってしまった。


「はい!お菓子だけでなく、料理も得意ですよ♪お菓子なら、クッキーにケーキ、アイスクリームにプリン何かよく作るの♪」


ミレイとローズの会話を、受付業務をしながら必死に聞き耳を立てるソフラン。

更にそのとなりにいたルシアもそわそわしながら聞いていた。


二人は、聞いたことのないお菓子の名前に興味深々で、ローズが仲間だけにわかるベルを鳴らした。


リリーン♪リリーン♪


あ!綺麗な音色のベルだ!


ボクは報告も終わり帰ろうとすると、フラワーガールの人達に捕まり、食堂に連行される


「連行!」


「「「やぁー!」」」


「え?何でなのぉー!」

「あたいは関係ないのじゃぁー!」


食堂に集まったフラワーガールは半分くらいで後はクエストに行ってたり、ギルドで仕事中だった。


「あのー何ですか?ボク何もしてないですよね?」


「そうじゃ!あたいらは何もしておらんのじゃ!」


二人の冒険者が、自己紹介をして話しかけてくる


「私はクロル、こっちがリンテア私達はCランク冒険者だ!よろしくミレイちゃんポルムちゃん」



二人はリーダーがクエストに行ってるので代わりに話を聞きに来たらしい


「ミレイちゃん、女性はお菓子の話しには敏感なの知ってるよね。

さっきさぁ、聞いたことないお菓子の名前言ってたよねぇー」


みんなニコニコしながらボクたちをみてる


はぁーそういう事ね、プリンとアイスクリームは前に沢山作ったからある。

クッキーも材料はあるから、ここの厨房借りたら作れるのね


うーんどうしょう…


ワクワク

ワクワク


なんかみんな期待してるんだろうなぁー


はぁ仕方ない…

ちょうど、明日から素材集めで森に数日こもるつもりだったし

その報告もしとこっと


「あのぉ今日夜フラワーガールのメンバー集まりますか?」


そう言った瞬間、女性達から歓声が、上がる


「「「きゃー!やったぁー」」」


そして数名が席を離れ受付と外に出て行った。


なんか凄い連携しているですけど…


ボクたちは、先にギルドの宿舎に向かい、クエスト中のメンバーは、後から遅番のギルド職員と、宿舎にくる事になっているみたいだ。


ボクは、早番のギルド職員コスモスさんに許可をもらって、厨房に入り食事の準備を始めた。


「ミレイちゃん手伝わなくていいの?」


「はい!大丈夫です。ポルムお姉ちゃんがいるから」


ボクはポルムと二人厨房に立っている。さぁ始めるかな


ミレイとポルムの〇分クッキング♪


タララタッタ♪タララタッタ♪

タラタラタラタラララ♪ララ♪


「ミレイよ何を踊ってるのじゃ!」


「アハハ何となく、頭の中に音楽が流れて来たような気がしたから」


ポルムが手伝うから、早く食材を出せと、言っているけど、ほとんど手伝ってもらうこと、ないんだよね


ミルムの空間収納は、時間も止まる収納されてるから問題ないんだよね


孤児院の子供達に食べさせるつもりで沢山作ってたから…


「ポルムはボクが作ってあるのを盛り付けしてくれればいいから」

クッキーのストック無いからそれだけでも作るかな。


バタークッキー90枚それだけあれば足りるでしょ


砂糖180g(貴重品、特に白い砂糖は精製技術がない)

バター300g(貴重品)

卵黄3個

薄力粉450グラム(貴重品、ここまでの製粉技術がない)

これらをボクの指示通り、ポルムに混ぜ混ぜしてもらう。


どうせなら出来立て、ふわふわバターロールパンも食べてもらうの。

この世界は、菌の事あまりよく知られてないから、発酵させて作る菌を作る事知られてないみたい



ボクは、ポルムに型を渡したクッキーを焼いてもらい、ボクはバターロールパンを焼いていった。


クッキーとパンが焼き上がる頃に、食堂にフラワーガールのメンバー全員が、集まっていた。


厨房から匂ってくる香りに全員興奮していた。


ボク達は、みんなの前に立ち挨拶をする。


「お姉ちゃん達、お仕事お疲れ様でした。

今日は、お願いもあったのでその報酬のつもりで、ご飯とお菓子を作りました。」


会の代表のイザベラさんが聞いてくる


「ミレイちゃん今日はありがとうね。

いろいろ用意してくれたみたいで、それでお願いって何かな?」


ボクは今日の孤児院の事を話した。

あまりにも汚いので少し手を加えた事

変な人達に狙われないか見ててほしい事をお願いした。



それを聞いた、フラワーガールのメンバーは大きなため息をついていた。


はぁー


『また何かやったな…』

『どうせまたとんでもない事してるよ』

『まったくこの子はもう・・』


イザベラさんは孤児院を巡回する事を約束してくれた。


「わかったわ、どうせまた変な事やったんでしょ!後で確認するわ」


「やったあーじゃ報酬のミレイの晩ご飯食べて下さい!」


ボクとポルムが作った物を並べて行く


「これがコンソメスープです。熱いから気をつけて下さいなの」


コト


「これがオムレツです。」


コト


「こっちがハンバーグです。」

コト


「これがミレイが作った野菜のサラダです。」


コト


「ミレイが作ったブドウジュースです。」

「ミレイが作ったフワフワパンです。」


並べられた料理を見て全員固まる


「どうぞ冷めないうちに食べて下さい」


その言葉で皆動き出す


「!!!!!」


「「ふぁーー!美味しい~」」

「「「うまーーーい!」」」

「「ほぉーー」」


みんな具が、何も入ってないコンソメスープに驚いていた。


その後も初めて食べる料理にみなさん驚き感動してるみたいだった。


『何これ!何も入ってないのに…

はぁわぁ…なんとも言えない深い味がするしむちゃくちゃ美味しい…』


『何これ!こんな柔らかいパン初めて食べるぞ!うわー柔らかくて美味しい~』


みんなが食べる度目が驚いてる

多分初めて食べるからビックリしたんだろうね。


みんなが食べ終わって約束のお菓子を並べて行く


「アイスクリームです。溶ける前に食べてくださいね」


みんなスプーンを取り一口食べて動きが止まる


!!!

!!!

!!!


「「「「冷たくて美味しぃー」」」」


みんな凄く満足してくれてボクも一安心これで孤児院は問題ないかな


ボクは明日から森に素材集めに行くことをイザベラさん達に伝えた。


「皆さんミレイとポルムは、明日から暫くツラギ大森林に素材集めに行きますので、暫く戻りません孤児院の事よろしくお願いします。」


イザベラさん達は止めるが、どうしても集めたい素材があるからと、譲らなかった。


「ミレイちゃん、もしかしてその素材もひょっとして孤児院に関係するの?」


ボクはイザベラさん達の前に孤児院の子供達が寝てる布団を出した。

布を2枚重ねたような物で、ダニとか小さな虫が沢山いる布団を見せた。


「ボクは前の町でも孤児院を改造して助けました。

この町でも同じです。

孤児には親がいません!

甘えれる人がいません!

みんな辛いのです… くっ」


ボクは、感情がこみあげて来て言葉に詰まる

でもみんなじっとボクを見てくれている


「… だからミレイは、孤児の子供達には、辛い思いさせたくないのです!

子供達が喜ぶなら、ミレイの能力出し惜しみしないのです!」


ボフン


ミレイは、みんなの前に作った布団とマットレスを出す


「これを作る素材を森に集めに行きます。

だから時間がかかりますの、その間孤児院を守って下さいなの、お金じゃないけど別途報酬渡すの」


コトン


ミレイはそう言って一つの小さな袋を置く


「さっきのご飯とは別の、特別報酬さっきミレイが焼いたバタークッキーなの」


イザベラ達は、ミレイの作った布団とマットレスに驚きぶつぶつ何か言っている


『何このふわふわ!

こんなの誰も体験したことないわよ!

何てものをこの子は作るの!

こんなの大金貨レベルの商品じゃない!』


『こんな素晴らしい寝具!私たちだってほしいわよ!』


『うわーなにこれ!こんな寝具で寝て見たいわ』


さらに報酬と言って出て来たクッキーに目が釘付けになっている


フラワーガールのメンバーは、ミレイが孤児に寄せる思いに心をうたれ、約束をする


「ミレイちゃん孤児院の事は任せなさい!私達が責任もって守るから、気をつけて行きなさい!」


「そうねミレイちゃんはどうせ止めても行くでしょうし、いい必ず元気で戻って来なさい!」


ミレイとポルムはフラワーガールのメンバーに満足するまで抱きしめられ続けた。


「やめるのじゃぁー」

「お姉ちゃんキスはもういいからぁー」


ぅう・・お姉ちゃん達孤児院ちゃんとみてよね・・

不安だぁ


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