第178話大陸の危機

メルティア達が帝国でどうやって大勢の民を避難させるかを連日話し合っていた頃

最初に連絡があったのがミザリーだった。


ミザリーはスロアニア国で町の責任者が、話し合いにも応じないでミザリー達を捕縛しようとしたためその者を抑え町を出る。

ミザリー達はその後王都まで移動、国王に面会を求め世界会議で話し合った内容を伝えたにも関わらず面会は断られるだけでなく、ミザリー達を国益を奪うために赴いた者として、王都から追放される。

ミザリー達は仕方なく周辺の町村を周り状況を説明し救出を求める者を集め移動した。


ミザリー達は現在合流地点まで50kmの地点で、先発してた諜報部隊からスローラルで救済部隊を待ち構えるような不穏な動きがあるため待機しているとのこと。


その数実に数8000人で大半が女性と子供と病人だと。現在ミザリーが大規模結界を張ってキャンプをしている。


エレミアも同様で国家交渉は決裂仕方なく周辺諸の町村に通達し救助者を拾いながら移動し約5000人の避難民を連れミザリーのキャンプに合流したとのこと。


サリアスはアルメリアル公国の王族派の貴族と救出を求める民約6000人を救助しスローラルが不穏な状態のため同じく手前50km付近で待機している。エレミア達と反対側の位置になるそうだ。


エレミア達からの情報を得て帝国から諜報部隊が出て調査に向かっている


クアトラは宰相のゲルハートに命令しすぐに難民たちの移動手段を講じるように命令する。

陛下の命令にすぐに反応した食糧庁を統括するマイヤー大臣が発言を求める


「クアトラ陛下発言よろしいでしょうか?」


クアトラは頷き許可する


マイヤーはメルティアからの情報にあった避難民約20000人の受け入れに難色を示す。


「クアトラ陛下現在帝国も食糧の備蓄は収穫前もあり全く足りていません。それに精霊の加護消失の影響が帝国にどこまで及ぼすかわかりません。そんな状況での難民の受け入れは難しいかと思います。」


国土管理官のフェルドアが発言を求める


「クアトラ陛下国土管理官のフェアルドアです。先ほどの避難についてですが、現状を申し上げますと帝国の領土の海岸線はほとんどが100m以上の断崖です。

断崖の裂け目のような場所に小さな漁村がある程度なので大規模な脱出は無理です。」


さらに軍部、開発部、運輸、と言った担当官が次々発言する


帝国は領土の地理的状況から海軍を持っていないしたがって大規模な海上輸送は無理だと。

それにアルメリアル公国のスローラルから帝国までの約20000人の避難民の移動に伴う護衛も食糧も用意できない。


避難民20000人帝国の国民150万人どうあがいても避難できる体制が整うのに最低2年必要だと。

必要船舶の造船、それなりの人員を運ぶための船を造る造船技術と物資全て帝国には無い事


「以上の結果から残念ですが、この大陸からの脱出は不可能です」


クアトラ皇帝は大臣たちの結論に項垂れる


「そうか・・・大陸からの出ることは無理か・・」


会議室が重い空気になる中メルティアが発言を求める


宰相が発言を許可しメルティアが立ち上がる


「皆さんよろしいかしら、私達の本来の目的お忘れですか?」


メルティアの発言で皇帝や大臣たちはざわつく


「私たちはこの大陸を救済するために来たのですよ。その中には幼い女神様とその眷属もいるのですよ。

帝国の自分たちで何とかしようとする気持ち素晴らしいです。こんな時こそ私たちを頼って下さい。」


メルティアはアイムをチラっと見る

アイムもメルティアの言いたいことを理解し頷く


「結論から言います。私たちなら数週間もあれば帝国の民と避難民全て脱出させることが出来ます。」


会議室に安どの声があがる


「「「おお・・・」」」


宰相のゲルハートがメルティアに尋ねる


「ほんとに可能なのでしょうか?食糧、造船、物資、港と問題が沢山ありますが、それをたった数週間でほんとうに出来るのでしょうか?」


メルティアに促されアイムが話す


「あたいは女神ミユミレイア様の眷属錬成のアイム、これを見る」


アイムは魔道具を出し起動させると映像が浮かび上がる


そこにはミレー号と高速艇が映し出されていた。


皆がその映像を見て驚く


「この大きな船は50人くらい乗せれる。中の構造が豪華設備になってる。これを最低限の設備だけにすれば200人は乗せれる。

資材も食糧もある。心配いらない。

女神ミユミレイア様戻って来たら、その知識でもっと大きな船も港も陸を移動する車も作れる。制作日数も凄く短く作れる。」


メルティアがアイムの後補足する


「今回馬鹿な他国の貴族が、私達と同行してたミユミレイア様を小人族と認識して拉致した!


しかも隷属するという暴挙!


女神様は人間で言う1歳でまだ幼く神族の力も弱いだから隷属されてしまった。

女神様を溺愛する精霊王ファンティー様がそれを知ったのだ!

ファンティー様の怒りは想像できる。


ここにいる者も信じられないだろうが、加護消失の被害は大陸全域に広がる。

帝国はグランシア様の信仰心があり聖女ホーリア様がいるから安心できるものでないのです。

例え帝国民が女神ミユミレイア様を助けたとしてもファンティー様の怒りは収まらないでしょう。

仮に大陸に残ったとして1年が限界でしょう。」


一人の大臣が立ち上がり質問する


「なぜメルティア様はそこまで言い切れるのですか?」


メルティアは大臣たちを見て静かに答える


「私たちは自らの国で女神様を傷つけてしまいました。その結果国内で一部の加護が消失し国に大変な影響をもたらした事を経験してるからです。その影響は今も続いています。」


ざわざわする会議室にメモを持って入って来た文官が食糧庁のマイヤー大臣に手渡す


それを見たマイヤーが表情がくもる


宰相がマイヤーに尋ねる


「何かあったのですか?」


マイヤーは文官からの情報を話す


「はい!アルメリアル公国との国境のサイトワールの穀物が全て枯れました。」


それを聞いてメルティアが陛下に進言する


「クアトラ陛下!すぐに調査団を派遣してください!サイトワールにアルメリアル公国の貴族が逃げて来てないか至急調べて下さい!

もし逃げ込んで来てたら、すぐに捕縛して国外に追放してください!


他の国境にも兵士を派遣して、アルメリアル公国からの者の入国を止めて下さい!

放置すれば帝国の加護の消失が加速します!急いで!」


それを聞いて一気にあわただしくなる。


軍部がすぐに兵士を編成しアルメリアル公国の国境に向かわせる。


宰相がクアトラ陛下に進言する。


「陛下スローラル手前で待機してる救助隊にすぐに連絡して、帝都に向かって貰いましょう」


陛下も頷く


「そうじゃのこれ以上女神様関係者が被害に合えばさらに酷い事になるやも知れん!すぐに護衛部隊を編成して向かわせろ」


メルティアは聖女ホーリアに話しかける


「ホーリア様ここは陛下達に任せて、私達は女神グランシア様へ祈りに行きませんか?こんな事態です。何か神託されるかも知れません。」


メルティアは陛下達に任せて、聖女ホーリアと共に教会に向かった。



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