第42話フラーテルと薬師たち

☆・私は薬師・調合・錬成師スキルを持つフラーテル王国一を自負するポーション職人だ、モルトンの町は、バイスル王国でも有数の薬草の採取される場所だ、私は、多くのポーションを、できるだけ安く作るために、このモルトンに移り住んだ。


今薬師や、我々ポーション職人の重要な問題が発生している。ここ数年薬草の採取量は減少している事だ。それはモルトンだけでなく、どこも同じ状態だった。


ギルドから、もう低ランク冒険者が入れる森では、薬草は乱獲され採取が難しく、高ランク冒険者が入る場所でないと、採取が難しいと言われた。


そうなると、薬草の入手金額が上がり、ポーション価格も、上げないといけない・・

低品質なら、まだ一般の町民でも手に入るが、仕入れが高くなると販売価格も上げないといけない、そもそもこうなったのも、薬草採取の時の手順方法を正しく教えないから、雑に乱獲され、薬草が再び生えて来なくなったのが原因だった。


私達バイスル王国薬師協会は、冒険者ギルドに、薬草採取の時ちゃんと教育をするようにと、何度もお願いするも聞き入れられず。

このような状態になったのだ。


私は諦め依頼料を上げて、高ランク冒険者でも受ける金額を提示し、薬草依頼をするつもりで数か月前、この冒険者ギルドを訪れた。


そして、そこで今まで見たことがない、ヒルシル草を手に入れた。

私は、夢でも見てるのではないかと思うほどだった。

しかも、持ち込んだのは、まだ小さい少女だと、それを2週間も、廃棄場所に捨てていたと、私はそれを聞いて倒れそうになった。


専用の保管場所でなく、廃棄場所に捨てられてた?

ヒルシル草は、私が手にした時点でも高品質だったのだ!

それがもし、保管場所で品質が維持されてたなら・・

最高品質だったのではと、確認のため査定した職員に聞いてみると、薬草全体から、魔力が溢れる現象だったことがわかり、最高品質のヒルシル草だと、私は確信した。


その後、ギルドで話し合い!その少女を是非保護してほしいと、この事は薬師協会にも報告した。

協会からは、重要保護対象者として扱うように、モルトン冒険者ギルドに協力を依頼


この情報は、薬師協会内で広まり、現在このモルトンの町には、最高ランク薬師とポーション職人が数名来ていた。

そして、ギルマスのオリビアから、保護対象者が、近日中にギルドを訪ねて来ると、知らせが来て、私達高ランク薬師たちが毎日ギルドに足を運んでいた。


場所がわかってるから、直接会いに行けばいいのだが、それは協会からの指示で、直接接触する事は禁止されていた。


そのため毎日歯がゆい思いをしていた。なぜなら、協会からは、超貴重薬草を採取できる幼き少女は、扱いを間違えれば、へそを曲げて、2度と手に入らなくなるかもしれないと、全薬師と調合錬成師に通達していたからだ。


「フラーテル!今日で1週間だほんとに来るのか?」


みんな焦るよね気持ちわかるわよ


「リデア焦る気もわかるけど、直接行って機嫌損ねたら、大変な事になるのわかってるでしょ?」


高ランク薬師仲間が、フラーテルに食い下がる


「フラーテルは、超貴重なヒルシル草を手に入れ、中級の高品質ポーション作れたからいいわよ!

そのおかげで、リーダーになれたんだから」


少し幼い容姿の、森族エルフのアルメルテは、うらやましそうに同じ言葉を連呼する


「フラーテルは、いいなぁ…高品質のヒルシル草触れていいなぁ…

ボクも触ってみたいなぁ…いいなぁ…」


「ほんとうらやましいわ!私もそんな高品質見て見たいわよ!」


フラーテルは、自慢げに騒ぎになることを話してしまう


「モルチェ残念だったわね。

ヒルシル草は、私が触った時は高品質だったけど、査定したギルド職員が見た時は、最高品質のヒルシル草だったから、あの子の薬草は最高品質なのよ、それにまだ他の薬草も、持ってるような感じだったそうよ」


あら?みな黙っちゃったわ・・

しまったあーー

余計な事言ってしまった・・


「「「何ですってーーーー!」」」


「最高品質だとぉーー」

「他にもあるだとーーー」

「ぜったいその子に会いたいーーーー」


あちゃー

この子達に火をつけちゃった・・

ヤバい事になりそう…


そして、今日冒険者ギルドの来客用の部屋で待っていると、あの時最高品質を扱った、職員のメルティが入って来る


コンコン


失礼します。


私は、入って来たメルティを見て、この子達の刺激を与えるために、メルティーを皮肉ぽく紹介する


「ああこれは、最高品質のヒルシル草を査定して廃棄した、メルティーさんどうかされましたか?」


メルティーは、その言葉に落ち込み下を向いてしまう。

フラーテルは慌てて謝罪をする


「ごめんなさい!ちょっとこの子達に刺激を与えるために言ってしまったんだ。ホントにごめんなさい」


3人は驚きの目でメルティーを見る


「うらやましい…」

「あの手で最高品質を…」

「いいなぁーいいなぁー」


メルティーは、恥ずかしそうにしながら来た旨を告げる


「皆様お待ちかねの方、ミレイ様が来られました。」


その瞬間全員立ち上がる


「待ちかねたわミレイ様!」

「最高品質薬草採取者に会える」

「初の最高品質薬草見れるかなワクワク」

「やっと会えるんだぁどんな人かなぁ」


メルティーは、一瞬驚くもすぐ冷静に対処する


「皆様どうぞこちらです」


私達は、メルティーの後について行きそのまま応接室に入る


私達は、ワクワクしながらメルティーの後ろから、薬草採取したミレイを探した。


ギルドマスターの前のソファーに、ちょこんと座ってる可愛い少女…

え?

まさかあの子なの?


他の子達も口にこそ出さないが、恐らく叫んでるのだろ、目がビックリしてるもんね。


わかるわかる、しかし、ほんとうにこの子何だろうか?

どう見ても5、6歳だけど…

とにかく、メルティーが紹介してくれるのを待ってればいいか


そして、話の流れで薬草のことになりメルティーが私達に合図を送ってくる


『おお!薬草を持ってるらしい、それなら是非見てみたい』


私達はメルティーに頷く



「ミレイ様、今薬草はお持ちですか?

他にどんなのをお持ちでしょうか?

ミレイ様なら、他にも沢山持ってるのではないかなぁーっと思って、私達、見て見たいのですがいいですか?」


『おおいよメルティー!』


『うんうん見たい見たい!』


『ワクワクするよぉ』


『こんな小さい子どもが凄いよぉ』


私達は、目の前の子供に釘付けになっている


「わかりました、とりあえず5束づつ出しますね」


『え?5束づつ?他にもでてくるの?』


『え?ヒルシル草だけじゃないの?』


『嘘!他もあるの?マジかぁー!』


『うわー他の薬草もあるんだー』


『凄い凄いワクワク』


ドサ ポワ~

「これがヒルシル草です」

ドサ ポワ~

「これがアプラ草です」

ドサ ポワ~

「これがデルタ草です」

ドサ ポワ~

「これがマカマカ草です」

ドサ ポワ~

「これがデラナ草です」


「「「「・・・・・・・」」」」


「これでいいですか?あれ?」


私達は、出された薬草の種類と品質に固まった。


ちょっと待って!

なんだ!これは…

とんでもなく魔力を帯びているぞ!


ヒルシル草はまだわかる。

アプラ草もまだ入手できる。

しかし、デルタ草は、大陸の端にあるユーラシア国の、ヒマレスト地域でしか、採取できない希少な薬草だぞ!


入手が非常に困難で、私達は協会でまとめて商人から買っている。


しかし、運送時間の問題で、劣化防止の魔道具を使っても、魔道具の魔力維持ができなかった。

私達が使う時には、かなり品質が悪い状態だった。

この薬草を使う、状態異常回復薬は、低品質しかできない


それがなんだ!この薬草全て見たことない魔力を帯びている。

それにマカマカ草にデラナ草に至っては、超希少薬草で、協会でもなかなか手に入れる事ができない薬草…


『この子いったい何者なの・・』


モルチェやリデアも、並べられた薬草を見て、何やらぶつぶつ言ってるし!アルメルテなんかは、涙流してぶつぶつ呟いてる


『精霊様が、私達のために、この地に来てくださった…』


え?精霊って言った? アルメルテは確かに私達よりそう言うの感じる見たいだけど…


私も普通の人族じゃないのは間違いないと思うけど…

この子の扱い誤ると大変な事になりそう



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