第180話大陸のその後と指導者たちの会議
帝国の民とその他の国の避難民の避難が完了してから半年が経過した大陸は…
レイに危害を加えたアルメリアル公国は、環境は大きく変わった。
土壌は痩せ作物は育たなくなった。
水も雨が降らなくなり井戸は枯れた。
風も止まり、環境がますます悪化していった。
その影響は他国にも及んだ。
サリアス達が警告をした国々も、アルメリアル公国と同じ状況になるのにそう時間はかからなかった。
各国は帝国が避難を始めたのを静観していたが、帝国の避難が終わると帝国の広大な領土を侵略し自国の領土にしていった。
加護消失のスピードの遅い帝国領土に侵略した国々は一時的に安堵し喜んでいたが、レイを傷つけた人間の関係者が侵入した途端、加護は消失、環境悪化は加速していった。
人間の住む環境が悪化する一方で、魔物達が住む大森林は魔素が濃くなり、魔物が強く繁殖しやすい環境になっていた。
食糧が減りその確保のために大森林に食糧と水を求め多くの冒険者が大森林に入ったが、そのほとんどが魔物の餌食になった。
船で脱出を試みる者もいたが、それが許される事はなかった。
大陸の状況を見届けたダカーポは転移魔法で戻り、サリアス達に大陸の状況を報告していた。
報告を聞いたサリアス達は、自分たちの大陸でもレイに愚かな事をする者が現れたら、同じ事になる事が十分にわかっていた。
そのためレイには行動制限をし出来るだけモルトンのハウスから出ないようにしてもらった。
定例会議に集まった各国の代表者及び関係者達の席で議長のサリアスは語る
「かの大陸は、ダカーポの報告書を見ての通り警告を無視した者達は、食糧と水を求め大陸をさ迷っている。彼らは脱出する事もできず滅ぶだろうと言う事だ!
だからと言ってこの大陸は大丈夫と安心できない!
知っての通り過去に愛し子ミレイを襲撃した者達の領地の加護が消失した事、今もその影響がある事を思い出してほしい。」
参加者達が頷く中エレミアが立ち上がり皆に警告を与える
「皆様聞いての通りかの大陸は滅びます。それは私達にも同じ事が起こるのです。
サリアス陛下がおっしゃった通り過去にもありました。
その影響は今も続いています。
ですから私達は、絶対ミレイちゃんに危害が加えられる事が無いように気をつけなければなりません!」
大半の者達はその事をわかっているため再び頷きマリーラ帝国のクアトラ陛下も深く頷く
エレミアの後聖女ホーリアとテレサラートが立ち上がり警告と希望を与える
「皆様今の状況は最悪です。一つの大陸が滅び、この大陸も危機にある状況です。
これ以上女神の愛し子ミレイ様に危害が加えられないように、私達はしっかり守り、大陸の者達に伝えなければなりません!
そうしないと我々は完全に滅びます。」
「しかし女神グランシア様は私達に希望を与えてくださいました。
女神グランシア様は、加護を消失した土地を復興させる鍵を与えてくださいました。
愛し子ミレイ様はモルトンのハウスにて滞在されしっかり守られてます。
鍵については手分けして捜索していますが、かなり時間がかかりそうです。」
ミザリーが立ち上がりレイの状況を報告する
「ミレイの地上での母ミザリーです。ミレイの今の状況をお知らせします。
大陸で大変な目にあったミレイですが、周りに心配させないように今は明るくふるまっています。
しかしその精神状態は不安定です。女神としては幼いミレイ様は少しの事で心を乱します。特に子供達の事となるとなおさらです。
なのでこの大陸の子供の保護は最優先でお願いします。
あの子に危害が及ばなくても心が大きく乱されればファンティー様が再び動きます。
ですから大国小国関わらず、孤児や子供の保護は必ず行って下さい。親による虐待もです。」
ミザリーの発言を聞いてハートレイが疑問を投げかける
「バイスル王国ハートレイじゃ。今の発言は借金奴隷になってる者も含まれるのだろう。それは省かれても問題ないであろう。
それに親による虐待と言うが子供はなかなか言う事を聞かぬのもおる。それをしつけるための体罰くらいは問題なかろう。」
ハートレイの発言がサリアス達女性指導者たちの怒りをかう
まずメルティアがハートレイをゴミを見るような目で睨みつけ叱責する
「ハートレイそれ本気で言ってますの?貴方何を聞いていたの?今までミレイちゃんが傷ついてどうなったか知ってるでしょ?馬鹿なの?」
エレミアも同じようにハートレイを睨みつけ意見を言う
「ハートレイだけではありません奴隷として子供を扱う国に申します。
今この世界は愛し子ミレイ様の心が乱されれば滅んでしまう事をもう一度考えて下さい!
そして制度を見直し奴隷制度の検討特に未成年の奴隷の廃止、未成年の子供の虐待者に処罰を求め取り締まりの強化を求めます。」
ハートレイと一部の男性参加者は反論する
「それはいくら何でもやり過ぎじゃ!」
「黙りなさい!ハートレイ!貴方は世界が滅ぶきっかけになるかもしれない奴隷制度や幼児虐待を許せとおっしゃるのですか!
一部の国ではまだ男どもを満足させるような制度がありますが、それもミレイ様の嫌う事です。」
サリアスがエレミア達をなだめる
「エレミアもメルティアも少し落ち着くのじゃ。ここに参加してる各国の代表者に伝える。今言ったように我々が生き延びるには愛し子ミレイ様のが心乱すことを止める事じゃ。
それが各々の国の制度に反するならばその制度を変えよ!それが出来ぬならこの場から退席せよ!以後国交も断絶する。
国境も閉鎖する。我々とて滅びたくないでの。
ハートレイ殿よく考えられよ!それらの制度が絶対なくてはならぬものなのかどうかを、今何が優先すべきことなのかを・・」
ハートレイは下を向いたまま考え込みブツブツ呟いている
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