第187話アイスクリンと行列

レイはギルマスたちの満足して食べる姿を見て売れると確信をし念のためもう一台冷却の魔道具を出して準備だけはしていた。


その様子を見てギスマスのルミナスが食べながらアドバイスをする


「ミユちゃんこのアイスクリンはとんでもない事になる!もちろんレシピは登録してほしいがその魔道具がないと難しそうだから後で相談するが、間違いなく言えることは、手伝いはいるぞ。数人は考えてた方がいい。ギルドでも考えておくから」


レイは頷き答え親切なアドバイスにお礼を言う


「ありがとうなの。ミユのお友達が後で手伝いに来てくれるのだから大丈夫なの。あ!それとその容器食べれるのでアイスクリンと一緒に食べたら美味しいから」


アイスクリンを食べるギルマスたちは容器が食べれると聞いて驚き半信半疑で一緒に食べる


「「「!」」」


「ほんとだ!美味しいー!」

「違う味と触感が加わって凄くいい」

「容器まで食べれるなんて凄いわ」


その様子を見てた女性たちがミユの屋台に並び始める。


「いらっしゃいませなのぉアイスクリン販売っ開始なのぉー」


レイはのんびりと容器にアイスクリンを入れ渡していく


「アイスクリン小は小銀貨1枚アイスクリン大は小銀貨2枚なのぉ」


高いかもだけど、冷たい食べ物は貴重だって聞いたからこれくらいの値段にしないと大行列になって大変な事になるしね。


値段も高いしそんなに売れないと思うから、作戦はサクサクビスケットも作ってるからこっちをメインに販売して、アイスクリンもついでにって感じだったのに・・・


サクサクビスケット並べる間もなくアイスクリンに行列ができはじめる。

噓でしょ?小銀貨だよ1000ジェルだよ?何で並ぶの?おかしいよ


「アイスクリン大2つ頂戴!」


え?大2つ?


「あ・はい!ありがとなの。長く放置すると解けちゃうので早く食べて下さいなの」



「わたしもアイスクリン大2つね。」

「あたいはアイスクリン大3つだ。」

「わたしもアイスクリン大3つ貰おう」


ヒーー!

そんなに?


必死にさばいて行くレイ


「アイスクリンです。どうぞ」


レイがアイスクリンの販売を始めて数十分ほどであっという間にアイスクリンのうわさが広まりレイの屋台に女性客が集中する。


「お待たせしましたぁ。はい!アイスクリン大3個です。」

「アイスクリン3個です。」

「アイスクリン2個です」


ひー--


レイは予想外の事に悲鳴をあげながら必死に冷却タンクからアイスクリンをすくってコーンのカップに盛りつけ渡していく


シャカシャカ


腕がぁ・・


販売を始めて1時間が経過した時には長い行列ができていた。


ララもそんなことになってると思わずレイと同じ獣人の姿に変装して中央広場に様子を見に来て驚く


「何あの行列は・・」


「ララお姉ちゃんあれ!ミレイちゃんの屋台だよ。早く手伝わないと!」


ララはユユに先に手伝いに行くように指示して自分は孤児院に応援を求めに走る


「ユユはミレイの屋台手伝いに行って!ララは孤児院に応援を呼びに行って来る」

「わかった。」


ユユはミレイの屋台に向かいララは孤児院に駆けて行った。


ユユが販売の補助に加わっても行列は減らず噂が広まり益々行列が伸びて行った。


ひー-


シャカシャカ


「はい!アイスクリンです。どうそ。」


「あはぁーこれがアイスクリンかぁ楽しみだぁありがとう」


ユユが手伝いに来てくれたのに全然行列が減らない・・

これ行列が伸びてるよぉ。た・大変だぁ・・



巡回に来てたギルド職員はその光景を見て驚く


何この行列は・・


クラシスは慌てて同僚に指示をする


「フレーム!急いでギルマスに報告して行列の整理する応援呼んで来てこのままでは問題が起こる。」


職員は頷き急ぎ戻っていく


クラシスは忙しそうに販売するミユに話しかけ行列の整理することを伝える


「ミユちゃん凄いことになってるね。このままでは混乱していろいろ問題が起こるから、ギルドに応援呼んで行列を整理するからミユちゃんは慌てず販売を続けて下さい。」


レイは頷きお礼を述べる


「ありがとうなの。お友達が来て応援呼びに行ってくれてるからもう少ししたら来るのぉ」


「わかったわ。私も応援来るまでこの行列の整理をするわ」


この行列が出来るのもただ単にアイスクリンが美味しく珍しいからだけではなかったのだ。

ミレイから溢れる癒しの魔力が大きく影響してこのような行列に至ったのだ。


その証拠に1時間以上は並ぶ行列にも関わらず、全く騒動を起こすような混乱が起きず皆静かに並んでいるのだった。


ミレイは並んでる人に申し訳ないと思う気持ちが並ぶ人達に癒しとして伝わり、並ぶ者達にミレイから溢れる魔力が癒しになっていたのだった。


(これが後にミレイにとんでもない効果がもたららすとになるとは、この時点では気が付かなかった。)


ララが孤児院から応援を連れて戻りミユの屋台に加わる。

レイは販売をララ達に任せて自分はアイスクリンの追加を作る。


タンクに材料を入れ冷却の魔道具にセットして動かす。


シャカシャカ

シャカシャカ

シャカシャカ


魔道具を止め確認する。まだもう少しかな・・


シャカシャカ

シャカシャカ


数分動かし完成する


『よし!イチゴ味、バニラ味、ができた。これを保冷用タンクに入れて次も準備だけすれば何とかなるかな・・

今販売してる保冷タンクのアイスクリンが3つ・・ララ達6人で販売してるし何とかさばけるかも・・』


6人でアイスクリンをコーンに盛り付け販売し始めると徐々に列が減りはじめる。


「みんなありがとうやっと列が減り始めたよ。」


ボクが安堵していると広場の入り口に馬車が数台止まる。

馬車からは乗り合わせて来たのか貴族風の女性が数十人降りて来て嬉しそうに騒ぎ出す。


「皆様ここですわよ妖精のアイスと言うお菓子が売られてるのわ。」


はい?何いってるの?


「ローレル様急いで並びましょう。後からまだ来るのですから」


はぁー!うそでしょ


貴族風の女性たちは平民に混ざって並ぶという今までなら考えられないようなことが起こっていた。


貴族の女性が平民に混ざって並ぶって・・しかも文句も言わず何故か仲良さげに会話までしている。


嘘みたいだけどすごく嬉しい・・


しかし彼女たちが列に加わると再び行列が伸び始める。

えー-!なんで減らないの?


「ミユちゃんタンクのアイスクリン無くなりそうです急いで作って下さい。」

「ミユちゃんこっちもあと少しでなくなる」

「こっちもだょ」


ひー-


ボクはひたすら作り続け結果3000人に販売して材料がなくなり販売は終了した。


ボクは残ってる人に材料がなくなったことで販売が終了することを伝え明日も販売するからと伝えた。


さっきの貴族風女性が途中整理まで手伝ってくれてお礼にサクサクビスケットを渡した。


「あの貴族のお姉さん達の整理手伝ってくれてありがとうございますなの。これお礼なのね。

アイスクリン売れなかったら販売する予定だったサクサクビスケットなの。」


女性は喜び挨拶をして来る


「私ブレイニー侯爵家のスティアと言います。大した事してないのによろしいのでしょうか?」


レイは頷く


「はいなの。美味しくなかったら食べなくていいのね。」


ブレイニーは嬉しそうに渡されたビスケットを手に取り周りから隠すようにビスケットを口に入れる


「少しだけ失礼して・・」


サクッ


「!」


ビスケットを一口食べた瞬間ブレイニーの表情が変わる。


それを見ていた者達もブレイニーに感想を尋ねる


「ブレイニー様どうでしたかお味は、早くお聞かせ下さいませ!」

「そうです早く聞きたいですわ」


食い気味に感想を尋ねる令嬢たち


ブレイニーは満面の笑みで答える。


「先ほどのアイスクリンに勝るとも劣らない大変すばらしいお味でしたわ。

この様な美味しいお菓子は初めて食べましたわ。」


それを聞いてもう一人の令嬢がレイにお願いと注意をしてくれる


「私コルトン伯爵家のジェシカと申します。ミユさんお願いがあります。私達暫くモルトンに滞在しますので、明日も是非今日のアイスクリンとできればこのビスケットも販売していただけないでしょうか?


明日以降はこの噂を聞きつけた多くの者が押し寄せて来ると思います。

出来ればより多くの方に召し上がっていただくために準備をお願いいたします。


心配なさらずとも、後から来た者達もきちんと並ぶように言いますので、どうか明日以降はサクサクビスケットの販売も是非よろしくお願いします。」


この人達凄く礼儀正しいのね。ボクのような獣人でも丁寧に話してくれる。

ならボクはそれに答えるのね。


「わかったの。明日からサクサクビスケットもアイスクリンも販売するの応援も呼ぶのね。期待していいのね。」


ボクはブレイニーさんのお友達にもビスケットを渡してまわり、アイスクリンを食べれなかった人達にもビスケット1枚づつだけど、渡していった。



「みなさんアイスクリンは明日も販売するの。でも今日食べれなかった人にお詫びするのね。

少ししかないけど、今日お試し販売する予定だったサクサクビスケットを配るの。

明日からはサクサクビスケットも販売するからよろしくなのね。」


皆で手分けしてサクサクビスケットを1枚づつ渡していった。


これがとんでもない大行列になるとはミレイはこの時思っていなかった。

ほんと考えのあまいミレイだった。


ボクたちが屋台を片付けてるとエレン先生が近づいて来る


ボクは初めて会う人と同じ対応する


「ごめんなさいなの。アイスクリンの販売は終了なの。明日また販売するのでよかったら来てくださいなの」


エレン先生はボクを見つめ話しかけて来る


「ミレイちゃんお疲れ様よく頑張ったわね。」


え?なんで?ほんとにわかったの?ボク銀狐獣人なのに・・


「ミレイって誰ですか?ボクはミユなの人違いなの」


エレンは微笑みボクに歩み寄り抱きしめる


「もう騙されませんよ。ミレイちゃんは優しいからすぐにわかるから、おかえりなさい・・私の大好きなミレイ♡」


抱き合うボクたちを見てララ達が騒ぎ出す


「わー結婚だぁ」

「ちゅーするよぉ」

「エレン先生嬉しそう」


ボクは抵抗するもエレンに阻止される


「ボクはミレイじゃ「意地悪しないで・・わかってるから・・」な・・」


ブチュ


エレンはレイの唇をふさぐ


子供達はそれを見て歓声を上げる


「「「結婚だぁーわーい」」」


エレンはレイを抱きしめたまま話しかける


「ミレイちゃん明日から私も手伝うからいろいろ教えてね。」


「はいなの」







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