第8話スライムマスター

ボクはお披露目パーティーから戻っても体調が回復せず、部屋で寝込んでいた。体調が戻ったのは夏が終わった頃だった。


あれから王家から何度もボクの事を尋ねて来てる。

お父様はボクが病気で寝込んでると言い続けてるらしく、王家から回復したら是非王城に来てほしいと言われてるらしい。

どういう事?ボク何かした?

まさかあのバカ公爵家の問題?嫌だよ

もう関わりたくないし、どうせこのまま行けば半年で平民になるから呼び出されることないお父様上手くやってね


「パーティーに行く前はまだ夏になってなかったのにもう秋だしボクが家を出るまであと半年ない・・早くこのスライムマスターについて研究しないと」


ボクはまず女神様から授かったスライムマスターについて考えて見た。


あの時女神様は

『超レアなユニークな職業スキルになります。

あなたならこのレアな職業スキルを使いこなせると思います。

使いこなせればあなたには楽しい人生になるでしょう・・』


って言ったんだよね、今までこのスキルを授かった人はいない?

使いこなせば楽しい?という事はスライムには何か秘密がある?


獣魔術師・ティマーの職業について、書かれた本読んだけど、過去に何人かスライムを鍛えようとしたけど、全く話にならないくらい弱かったらしく、スライムを利用するのはゴミの処分くらいしかないっと書かれてた。


でも女神様の言葉信じるなら、絶対なにかあるはず、頑張って秘密を見つけないと・・・まずちょっと見てみるか



【スライムマスター…全てのスライムの主人】

☆スライムの使役・眷属・同化

☆全てのスライムを使役し進化させることができる

☆スライムのスキル一部継承できる

☆スライムの身体能力継承


うーん何だろ内容は凄いけどスライムってのがなぁ・・・

スライムって弱くて森の魔物や動物の死体を処理する掃除するだけの魔物

初心者冒険者でも簡単に捕獲できて倒せるけど、魔物の中にある魔石は含有魔力が少なくてゴミ扱いでクエストもない。

初心者冒険者用の練習用として倒したり、ランク低い冒険者のストレス発散用魔物って聞いた事ある。


スライムを使役してもなぁ・・

戦闘なんか絶対役に立たないし、ボク自身もステータス低いし魔法も使えない

それに魔力循環障害で身体弱いから体力も力もない

でもこのままだと家から追放されても生きて行けるかもわからない・・


貴族院登録まであと半年… ボクにはこのスライムマスターのスキルしかないから、スライムの事研究しなきゃ生き残れない頑張らないと


でもその前にスライムを使役しないと…

ほんとにスライムって使役できるの?

この身体で森に行くのは危険だし・・ 

どうしよう


「そうだ!メイドのメリルなら連れて行ってくれるかも」


ボクはメリルを呼びスキルの事を話しお願いしてみた


「メリルお願いがあるの・・ボクをスライムのいる森に連れて行って」


メリルは予想通り反対した。


「レイ様それはできません!その身体で魔物のいる森に行くのは危険です!

例え弱い魔物しかでない森でも何が起こるかわかりません!

せめて走れるようになってたら考えます」


ボクは必死に説得した。


「メリル、ボクは後半年で病気の克服と、ステータスを上げないと追放されたら、身体の弱いボクは生きていけない・・

だから絶対スライムを使役して頑張らないといけないの、お願いメリル!

スライムを使役できるまで手伝って!」


メリルはボクの必死の説得に応じてくれ、ボクをスライムがいた森に連れて行ってくれた。


メリルは元冒険者で、魔物にも詳しく、領都の冒険者ギルドに顔を出し、情報収集と護衛を数名頼んでくれた。

そして、領都デルモルから西に馬で3時間の所の、FランクやEランクの魔物がいる森に到着した。


「レイ様ここはヘレナスの森と呼ばれるところです。

出て来る魔物は、スライムFランク、牙リスFランク、スモール角兎Fランクです。


他の魔物は私達が対処しますので、あまり動き回らないで下さい。

ただスライムは、ここ数年見ていないらしく、恐らく初心者用冒険者の訓練で、狩りつくされたのだと思います。


レイ様なら、スライムを呼び寄せる事ができるかもしれません、頑張ってください。」


「わかった」


森に入って暫くすると、牙リスやスモール角兎が襲ってくるが、メリルや護衛依頼を頼んだ冒険者達が全て倒してくれている。

ボクは心の中でずっと念じていた。


『スライムさん来てください』


……………………

……………

……

なんか感じる


あ!


来た!


暫く見ていると1匹のスライムがボクに近づいて来る


ポヨン♪ポヨン♪


『うわーほんと来てくれたぁー』


ピキー

ピキピキピキ


「何言ってるかわからないけど、ボクと一緒に来る?」


ピキピキ


「わかってるのかなぁ?」


え?


ボクはスライムを捕まえようとしたら飛び上がりボクの服の中に潜り込んでくる、スライムってこんな行動取るんだ・・


シュワン

えーー!スライムがボクの身体に巻き付いた。


「スライムってこんなに形が変わるのぉ」


メリルは達は、スライムの行動に驚いていた。


「レイ様さすがですね、普通は弱いながらも攻撃してくるはずなのですよ。

それがスライムマスターの力なのでしょうか・・

でも私がよく見かけたスライムと、色も大きさも違いますが、目的のスライムも確保できたのでお屋敷に帰りましょうか」


「うん♪」


ボクたち冒険者ギルドに寄り、お金を渡し屋敷に帰った。

スライムは服の中では、丸い形から身体に巻き付くように形状が変わり、ポヨポヨするだけで大人しかった。



部屋に入ると、スライムをテーブルの上に置いた。

今からこの子と従魔契約?

しないといけないんだよね、どうするんだろう・・


一応従魔契約の魔法書は読んだけど、何か違う気がするんだよなぁ・・

ボクは契約するために目をつむると、頭に契約の言葉が浮かんでくる

これをなるほど・・

ボクはスライムに手をかざし、契約の言葉を紡ぐ


「我は女神グランシア様より命を受しスライムマスターレイ、我に従いしスライムよ契約の言葉を・・・・」


「δηαα」


パァーーン


『よし♪』


ピキー


スライムを中心に青い魔法陣が浮かび上がり光輝く


「スライムに名をあなたはライム」


ピカァーー


スライムの身体が光り、青に白の斑点を持つスライムに変わった。


うわー綺麗な模様の入ったスライムだぁ


「これで契約完了かな?ライムボクの名前はレイだよ、よろしくね」



ピキー『マスターよろしくなの』


バタ


ボクは契約を結んだだけで倒れたの?


あれ?ここどこ?・・メリル?


「レイ様よかった・・心配しました。

ここはレイ様のお部屋ですよ、私がお茶をお持ちしたら、レイ様が倒れてたのでびっくりしました。

魔力枯渇に症状が似てましたので、すぐにレイ様をベッドに寝かせました。」


「ありがとう・・あ契約・・スライムどうなったの?」


メリルは微笑みながら教ええくれる


「レイ様の頭の上にいますよ」


ポヨン♪


お腹の上にスライムが飛んできた・・

そっかこの子かぁ契約できたのかなぁ


『ライムボクの言うことわかる?』


ピキー『わかるのぉ』


『おぉ!これからよろしくね』


ピキー『なのぉー』


ボクは森の中にいたライムが出てきた理由を聞いてみた


『ねぇライムどうして森の中から出て来たの?』


ピキー『ライム女神様に教えてもらったの、ライムたちのご主人様になってくれる人が生まれたからって、だから待ってたの』


えーー!女神様がそんな事言ったの?

そう言えばそんな事言ってたような・・


『ライム他に仲間とかいないの?』


ピキー『この森は町に近いからみんな死んじゃったの。仲間はもっと深い森で隠れながら生きてるの、みんなマスターに会いにくるの』


会いにくる?他にもいるんだ・・

スライムって1種類だけなのかなぁ、この辺に何かありそう・・

もう少しいろいろ聞いてみよ





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