第190話ポンコツミレイとサクサクビスケット
孤児院で準備をしていたレイは、中央広場でそんな打ち合わせが行われていたとは知るよしもなく、マジックバックに次々と材料と魔道具を入れて行く。
レイは昨日帰ってから約束通り大量に作った。
そのサクサクビスケットもマジックバックに入れる。
念のためビスケットを焼く魔道具も入れ、アイスクリンの材料も昨日より多めに入れる。
『よし準備できた。サクサクビスケットも沢山焼いたし、魔道具も入れた。
アイスクリンの材料もカップのコーンも入れた。冷却魔道具、保冷魔道具も入れた。
よしこれで大丈夫』
この時レイは超あまい考えでいた。昨日で沢山アイスクリン売れたから今日はもう満足してくる人少なくなると思っていた。
それにビスケットも販売を頼まれたけどアイスクリン以上は売れないと思っていたのだった。
レイは昨日の令嬢たちやビスケットを手にした者達の反応を見て、アイスクリン以上売れないと判断するポンコツだったのだ。
レイはそんなポンコツな判断をし、自分が変装してるのもあり、迷惑かけると思い応援を頼まなかったのだ。
そんなレイを見てエレンがレイを叱る。
「ミレイちゃん昨日私言ったよね。販売手伝うって!何でまた一人で行こうとするの?理由を言って!」
何エレンさん怒ってるの?
だって昨日あれだけ売れたけど、個数からしたら今日はもうそんなに売れないよ。
その事言えばわかってくれるかも
「あのエレンさんそんなに怒らないでなの。昨日売れたアイスクリンは約3000個このモルトンにいる人より多いの。
昨日食べたから今日も買いには来ないかと思うし、ビスケットもアイスクリンより珍しくないし、そんなに売れないと思うから・・」
エレンはレイの考えのあまさに呆れる。
当然昨日レイを手伝ったララ達も呆れている。
「はぁ~なんでそんな考えになるのか私全然理解できないわ!ミレイちゃんと考えてる?」
「ミレイちゃん昨日のお客さんの反応見てたでしょ。なのになんでそんな考えになるの?馬鹿なの?」
えー--!
「なんでぇー-昨日たくさん売れたから今日はそんなに売れないよ。だから心配いらないよ。」
「だ・か・ら・なんでそうなるの!」
結局レイは二人にさんざん言われ仕方なくエレンとララ達15人を連れ中央広場に向かった。
『昨日より人数多いし・・絶対そんなにいらないのに、みんなに無茶苦茶叱られた。
それにもし沢山人が来たら罰として、みんなで一緒にお風呂って言われたから仕方なく連れてくけど・・
もし沢山来たらどうしょう…
エレンさんと一緒にお風呂何て恥ずかしくて無理』
レイは銀狐獣人に変装しみんなと一緒に中央広場に着くと、ルミナスさんが屋台の前で待っていてくれた。
「ミユちゃんおはよう今日もよろしくね。これが今日の屋台だ。
昨日の様子を見て大きい方がいいと判断した。
それに今日はアイスクリン以外も販売するのだろう。
そっちもバカ売れすると思って屋台も同じのをもう一台隣に並べた。」
えー--!
「何でぇー今日はそんなに売れないのに・・」
ボクが驚いてるとエレン先生や子供達はルミナスさんに感謝していた。
「孤児院の院長をしているエレンです。ルミナス様ご配慮感謝いたします。
このミユちゃんは考えがあまく、今日は人は来ないだろうって一人で販売する気だったのです。
だからこの驚きようなのです。」
ルミナスはエレンの説明に納得する
「なるほど納得したわ。ミユちゃんはあんな美味しい食べ物作って昨日あれほど沢山の人に売れたのにどうしてそんな考えになるの?
ミユはポンコツなのね。
まぁいいわ。フォローは私達がするから、ミユちゃん急いで準備してくれるかな」
レイはマジックバックから材料を次々出しアイスクリン販売屋台にカップコーンを並べ、冷却魔道具を出し作り方をララ達に説明する。
アイスクリンの販売マニュアルも作っていたため材料の配分冷却魔道具の使い方、出来上がってから保冷魔道具にタンクを移して、大きなスプーンですくってカップコーンに盛りつけるまで実演する。
それが終わるともう一台の屋台の方に予備のテーブルを置きそこに作っておいたサクサクビスケットの入った大きな袋を置く。
サクサクビスケットはネネ達に販売を任せることにし説明をする。
あらかじめ用意していた小さな袋に大きな袋に入ってるビスケットを小分けして入れて貰い。
個数を販売価格の小銀貨5枚になるように数えながら入れて行く。
レイは使う事は無いだろうと思いながらビスケット用の材料も取り出しテーブルに置いた。
魔道具のオーブンもマジックバックから出して準備した。
ルミナスが準備ができたのを確認してレイに告げる
「ミユちゃん準備できたなら待ってる人に来てもらうけどいいかい?」
レイもエレンも頷き返事をするも屋台に誰も並んでないのに何を言ってるんだと言う思いでルミナスを見る
「はい!大丈夫ですけどぉ・・」
ルミナスは中央広場の入り口で待機していた職員に向かって叫ぶ
「アテーナ!ココロ!準備できたから入れてくれぇー!」
すると入り口から整列して大勢の人達が入って来る。
えー--!
何あの人数、嘘でしょ。しかも貴族の女性も混じってる。
エレン達も予想外の多さに驚いている。
「これほどとは・・」
エレンは茫然としてるミレイを叱り急いでアイスクリンを作るように言う。
「ミレイちゃん!何ぼーとしてるの!これは予想通りですよ!
早くアイスクリンを作って!
ララのチームはアイスクリンの販売、ネネの方はサクサクビスケットお願い」
皆返事をし販売する体制が整う。
ララとネネが屋台の前に集まった人達に声をあげ販売開始を宣言する。
「みなさーん今からアイスクリンの販売を始めます!こちらの屋台に並んで下さい。」
「こっちの屋台はサクサクビスケットです。販売は一人3袋までです。よろしくお願いしまーす。」
それを聞いてそれぞれの屋台に並んで行く。
ギルド職員が列を整理していく。
レイが並んでる人を見て唖然とする
『昨日あれだけの人が買って行ったのに、しかも小銀貨だよ。安くないのに…
何でまたこんなに買いに来るの…』
レイが並んでる人を見ていると、列がどんどん伸びて行く。
嘘~ぉ
アイスクリンチームのララ達は、4人でタンクからアイスクリンを救い、3人がかりで販売して行く。
エレンは補佐にまわり、アイスクリンの減りを見て早めに作り始める。
ビスケットチームはネネが中心になり8人体制で販売している。
大袋からビスケットを出して、小袋に移し替えていく者、販売する者皆忙しく動く。
レイは列に昨日よりも多くの貴族女性が並んでるのに驚く
『あの貴族の女の子、大人の貴族女性に説明して並ぶようにしてくれている。
それに大人の貴族女性が素直に従ってる』
レイがその様子を見てるとエレンが渇を入れる。
「ミユ!何ぼーっとしてるの!ビスケットは作るの時間かかるのでしょ!
いくら大量にあるからって安心できないわよ。
広場の入口見なさい!列がどんどん長くなってるのよ。
早く作り始めなさい。」
「はいーーー!」
結局この屋台販売されたアイスクリンとサクサクビスケットは、妖精のアイスと妖精のビスケットとして、大陸中の貴族や平民に知れわたる事になる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます