第2話前世の記憶

 ☆・☆・☆・

 この監禁暴行ハウスに、閉じ込められてから、どれくらい経つのかなぁ…

もう疲れた、静かに眠りたい・・ 

たぶんボクは、このまま死んじゃうかなぁ


 ボクもお母さんも、今のお義父さんと出会ってから、辛い毎日だったなぁ・・


 次生まれて来るときは、優しいお父さんがいいなぁ


 なんだか眠くなって・・・



 ☆・☆・


 ボクが、7歳の時お母さんが再婚して、それから楽しかったのは最初だけ、後はもう・・


 毎日お義父さんに、暴力を振るわれる日々、気に入らない事がある度、ボクを殴ったり、タバコの火を押し付けて来たり・・


 お義父さんのずる賢いところは、ボクへの暴力や虐待は、絶対服とかで隠れるところ狙ってくる。

お母さんにも、顔や肌を露出させる、脚とか腕は何もしなかった。


 ボクが12歳の時、市職員の人と相談所の人が、家に訪ねてきた時、ボクの事でお義父さんが注意され警告された。


その日帰ってから、ボクは無茶苦茶殴られた。

その時、お母さんが止めに入った時、お義父さんに殴られ転倒、打ちどころが悪くお母さんは死んだ。


お義父さんは、警察に連れて行かれたけど、数日で戻って来た。


 それからボクの、地獄のような日々が始まった。


 養父が怒鳴り散らす!


「おい!美玲!起きやがれ!

さっさと起きて、バイトに行って金稼いで来い!」


ボクは力なく答える

「一昨日からご飯食べてないの…」


「やかましい!帰ったら食わせてやる!さっさと行け!」


 お義父さん昨日もそう言った・・


 ドカッ!

 うぅ…


「いいからさっさと行け!」


「わかった…行って来る」


 これが高校に入ってからの、ボクの日常…

食事は、1日に一度の食パン1枚と牛乳が少し。

寝る場所は台所の床だった。


 ある日近所の人が、ボクが虐待されてると通報してくれて、市職員の人が訪ねて来て注意警告された。


 それでもボクを虐待し続けて来る、お義父さんから、ボクは逃げ隣の人に助けを求めた。


 ボクは、相談所の人に保護され、暫く施設で暮らした。

 施設で暮らした日々は、お義父さんに怯える事はなく、平穏だったけど…

長く続かなかった。


 父は毎日涙を流し、職員に面会を求めそれが認められ、ボクはわずか3ヶ月で自宅に戻った。


 再び戻ってきた時に、2Kのボロアパートの1室に、小さなプレハブの小屋があった。


ボクはすぐにわかった。

これ監禁ハウスだ…音が漏れないようにするためだ…


 これが出来てから、毎日虐待を受けても、音が漏れないから、通報されなくなった。


 お義父さんは、ボクの稼ぎが悪くなると、暴力を振るわなくなった。


 その代わりボクの扱いは、食事は3日に1回の食パン1枚

 お風呂は1週間に一度、お義父さんに服を着たまま浴びせられる水シャワー…


そして寝るときは裸・・


 こんなボクだから、当然学校でも汚い!臭い!って虐めの対象になり、トイレに連れて行かれ、制服のままバケツで水をかけられた。

そして身体測定だと言われ、裸にされ写メ撮られ、グループチャットでさらされ、毎日が苦痛でしかなかった。


 こんな日々を過ごすボクは、楽しい事はなどなく、唯一の楽しみは、自分の空想を小説に書くこと!


自分が違う世界で生まれ変わり、その世界で、苦しんでる子供達を助けていく。その世界で恋人を作り、楽しく暮らして行くボクの物語…


『はぁーほんとボクこの世界は嫌い… 』


 お義父さんが、口癖のように言う言葉、ボクを殴る度言う言葉


「ほんと女みたいな名前つけやがって、あのくそ嫁!面倒だけ残して死にやがって!」


「連れ子のガキが女だと思って結婚したんだ!くそガキ!」


 聞きたくない言葉…


 虐待ハウスが出来て、暴力を振るわなくなって少し経った頃、お義父さんの様子がおかしくなった。


 入って来た時、いつも暴言を吐くのに全く何もしゃべらなくなり、ボクを見てにやりと笑い出て行った。



 ギィーーバタン

 ガチャン

 ………

 ガチャガチャ… 外から鍵かかってる

 ………

 ……

 …

 ☆・☆・…


 あれからどれくらい経ったのかなぁ・・


 お母さんボクもそっちにいきたい…


 次生まれる時は、優しい家族がいいなぁ・・・


 なんだか眠くなって・・・


 ………

 ……

 そうこれが、ボクが3歳の時に倒れて昏睡状態になった時に、入って来た記憶…


 そうボクが3歳の時に・・☆・☆・・


 この時は、身体を激しく動かした時、体内魔素が、限界まで抜けてしまい、魔素回復時に起こる魔力障害が大きく、昏睡状態に陥り、何日も目を覚まさなかった。


死の淵をさまよった時に、前世の記憶、日本で暮らしていた辛い記憶が、頭の中に入って来た・・


「・・様」

「・・イ様わかりますか?」


「うーん」

「レイ様よかった目を覚まして・・」


 あれ?ボク何日も放置されて、何も食べれなくて、諦めて意識が無くなって・・ 


そうかボクあの時死んだ?ここどこ?

何でこんなベッドに寝てるの?

泣いてるこの人は誰?

綺麗なお姉さんだけど・・


あれ見たことない部屋だけど・・

どういう・・


ぅう・・・

頭がぁ

ぐぅこれ記憶だ・・


 あ!そういう事?ボクは生まれ変わったんだ!

 ベルモルト辺境伯家の長男として、これはレイの記憶今のボクだ。


 そして心配そうに、必死になって手を握ってくれてる、この子はボク専属のメイドの、メリルまだ15歳女の子だ。


 この世界は、子供は8歳で働くことが出来るらしく、メリルはボク専属として10歳から働いているらしい


 貴族の子供は、8歳から貴族院に登録される。

同時に王都にある、バイスル王立学院で6年間教育を受ける。


 そこでは魔法・剣技・国語・算術・歴史・経済・と言った内容で学年に応じて学ぶらしい。

 平民も教育を受けることは出来るが、費用が高額のため、お金持ちの商人の子供ぐらいしか、行く者 はいない。


 この国の成人年齢は、14歳で早い貴族や高位貴族は、ほとんどが卒業時には婚約が決まってるらしい


「レイ様・・・・」


 はっ!メイドのメリルが呼んでいる


「ごめん・・まだ頭がグラングランする」


 メリルが、ボクを抱き起し、水の入った小さなコップらしきものを、ボクの口にあててくる

 この子身体おおきいなぁ、手も大きい・・

 ちがう!これボクの手が小さいんだ、だからこの子でも、楽にベッドに寝てるボクを起こすこと出来るんだ


「レイ様沢山汗をかかれてます、まず水をお飲みください、後で身体をおふきしますね」


 ボクは頷きメイドに任せる


 ゴクッゴクッ


 ふぅー少し落ち着いた

「ありがとう」


 この子優しくていい子だなぁ

「暫くお待ちください、着替えとタオルを持ってまいります」


 バタン


「ボク生まれ変わったんだ・・異世界かぁ」


 日本と言う小さな島国で、生まれ育った辛い辛い記憶・・ 

小さい時から、父に虐待され続け、学校でも同じように、毎日集団でいじめられ、ボクは毎日が逃げ回る日々・・ 


 そして最後は、虐待監禁ハウスで、手錠を手足にかけられ、そのまま放置されお義父さんは出て行った・・ 


 そしてレイとして、この世界に生まれ変わり、3歳で死にかけた時に、前世の記憶が頭の中に入って来た。


 でも女神様が言っていたけど、全ての世界は、輪廻転生によって、生まれ変わってる転生者なんだと、ただ記憶があるかないかの違いだけらしい。


 そう言えば、動物にも言葉を理解してる奴いるし、前の世界でも、突然どこかの世界にいたと言って、全く聞いたことない言葉を話せるようになった人がいたような…

未知の文字を、使えるようになった人がいたのは、記憶を持った転生者だったのかもしれない…


 あれ?ボクって女神様にあった覚えないけど、何でわかるの?


 まぁいいかぁ 転生者で、記憶持ってても、ほとんど女神様とかに会うことはない。


 転生した時に、その人の能力は決まってて、物語にあるような女神様が現れ特別な力を授ける事はないらしい…


 そうだよな、だってすべての人間は転生者なんだから、記憶があるかないかの違いで、そんなに特別能力が備わるはずない!


 ほんと不思議どうしてこんな事わかるんだろ


 ボクは、前世の記憶があっても、辛い嫌な記憶だけじゃない。

 勉強もしてたし、読書も沢山してたから知識はあると思う。


 でもボクは、この世界に生まれ変わったんだから、レイとしてこの世界を楽しく生きたい。


 いじめられ虐待された前世だったけど、この世界では楽しく生きたい!

幸せな家庭だけど、身体が弱すぎるんだよなぁ・・


 何とかしたいなこの病弱な身体、少し走っただけで死にそうになるなんて…

なんとかしたいなぁ…


 ボクは前世の記憶がよみがえった事であんな辛い思いしたくないから、この世界の知識を取り入れた。


 病弱で満足に動くことが出来ないボクは、父の書斎に行って、あらゆる書物を読みまくった。


 ボクのいるバイスル王国の事、お父様が任されている、ベルモルト辺境伯領の事、貴族社会の事、魔法の事など勉強しまくった。


 そして分かったことは、この世界は文明レベルが低い事、乳幼児の死亡率が高い事、識字率が低すぎる事などとにかくかなり酷い状態だという事がわかった・・


 たぶん魔法と言うのがあるから文明の発展を妨げているのだと思う・・ 


 とにかくボクは生まれ変わったんだから、前世の知識を活用して、この世界を思うように生きて見たい!


 ボクの両親いい人みたいだから、前世の知識を活かして、領地を豊かにしたいかな・・


 うん♪決めたボクのこれからの目標


 ①この身体を治す

 ②魔法を勉強して使えるようになる

 ③この領地をボクの知識で変えていく

 ④死亡率を下げる特に子供

 ⑤楽しく生きる

 ⑥恋人をつくる・・できたら


 ☆・☆・☆


 3歳時決めた目標・・

 身体を治す… 全然ダメなんだよなぁ・・

前世で、あれだけいろんな本を読んで知識もあるのに・・


 でもこのままだと、絶対嫌なことが起こる気がするんだよなぁ


 この世界の不思議な儀式・・

女神様からの、職業神託の儀式この世界に生まれたすべての者は、5歳の時特定の場所で儀式を行う・・


 凄く重要なイベントで、本人のみで代理不可、参加できなかったら翌年の誕生日に再度受けるらしい・・


 ボクは5歳6歳共寝込んでて不参加・・


 今年の誕生日に、再チャレンジする。役に立つ職業スキル神託されたらいいなぁ・・

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