第139話謁見ミルムの怒り

城に入るとボクはミルムと用意してくれた部屋に入り、暫くしてボクとミルムが呼ばれる。

お母様は、辺境伯婦人として参列するため先に出て行った。


ボクとミルムは、一人づつ呼ばれ謁見の間に入り大勢の貴族が並ぶ中を歩いて行く。


最初にミルムが呼ばれ入る。

次にボクが呼ばれ入る。


その前に侍女がボクの胸にバッヂを付けてくれる。


「これは身体検査して、武器の携帯はしていない証です。」


『ふーんそんなの確認するんだ。あれでもミルムはされてなかったような…』


ボクは疑問に思いながら、謁見の間に入り、指定された場所、今ミルムが膝まついてる所までゆっくりと歩く


周りからは『子供の冒険者じゃないか』『あんな子供が何をしたんだ』

『謁見するほどの功績をほんとに残したのか』『騙されてるのでないか』

といろんな声が聞こえて来る。


『嫌だなぁー小さい子供が謁見何てみんなおかしいって思うよね。』


正面には、立派な大きな椅子に座ったハートレイ国王とその横には、エレミア王妃ともう一人誰?知らない女性…もう一人の王妃様?わからないの…こんな大勢の貴族凄く怖いの…


ボクがゆっくり歩いてると少しして、周りの貴族の誰かはわからないけど、悪意ある魔力がボクに放たれ凄く苦しくなる。周りの人達の圧もあり、まともに歩けないほどになる。


『何これは…誰かレイに魔法放ってるの?うぅ…苦しいの・・ここで倒れたら駄目なの』


レイの様子が急におかしくなったのを見て父親のベルモルト辺境伯もミザリーも心配そうに見つめ、ミザリーはレイに何かされていると見て周りを探しだす。


レイは、何とか時間をかけ指定された場所にたどり着く手前でさらに不明な魔力攻撃を受ける。


『何か苦しい…なんか真っ暗になっていく怖いよぉ…悪い魔力まだ受けてるの何でボクだけうぅ…ガクガク』


ボクはゆっくりと少し前に座る陛下に、教えられた通り挨拶をして頭を下げたが、ほとんど言葉にならず、その場に崩れるようにお尻を床につけて座りこんでしまう。


ハートレイ陛下がボクたちに何か言ったみたいだけど、ボクには何も聞こえず座り込んだまま動けなくなりボクは深い闇に落ちて行った。



☆・☆・☆・☆漆黒女神信者視点


謁見の間に参列する漆黒の女神信者のヤナマダア男爵と、カタヤーナ男爵、タナハラ子爵、はモルドバル公爵の命令で今回のターゲット冒険者ミレイの闇を発動させ魔石に回収する行動を取っていた。


ミレイ冒険者には、絶えず強力な仲間がついている。

その仲間や護衛のいない状況を作りだして、魔道具で攻撃して精神を乱し恐怖と失望を与えその闇を回収する事。

そしてモルドバル様にひつこく言われた事


『この魔石に込められた精神破壊魔法は、かなり強力です。必ずターゲットを認識するこのバッヂを付けさせる事』


この事を念頭に置き考えた。

そして我々は、最大の好機をつかむ。冒険者ミレイが陛下に呼ばれたのだ。

つまり謁見の間に来る。あそこなら必ず一人になる。我々は考え3人がそれぞれ別々の場所からこの魔道具を使ってミレイを攻撃する。

魔道具から放たれる精神系魔法は人には見えない。

ただ情報では我々の仲間がミレイに攻撃を仕掛けても全く通用せずその仲間にやられたと聞いている。


なら我々貴族は謁見ではチェックが緩い。

ならそれを利用して、モルドバル様から渡された強力な精神魔法の込められた魔石を3人で魔石の魔力がなくなるまで放てば効果があるだろうと、我々は一人2個ずつ持ち謁見の間に散った。

協力してくれる信者の侍女に吸引のバッヂを付けてもらえば作戦は間違いなく成功する。

他にも数名の協力者が撹乱するための魔道具を作動させて貰う手はずになっている。


謁見が始りまず、ミルムと言う冒険者が入って来る。なかなかの美女だ。

次にミレイが入って来た。

見るとちゃんとバッヂを付けている。


謁見の間に入ったターゲットのガキは、緊張してるのか警戒せずゆっくり歩いている。


我々は、それを見ながら魔道具のスイッチを押す。


すると精神を激しく乱す透明の魔法弾は飛んで行く。

弾は次々命中して、ガキの表情が明らかに変化する。


『これでも倒れないか、でも闇魔石にはガキから溢れでた恐怖の闇が一気に貯まっていく、いいぞ、仲間の男爵に合図を送り、用意した魔石の魔力が無くなるまで攻撃を続けるように指示する』


我々は、参列する貴族の列の後方から行ってるため周りからは見えない。

それにこの魔道具は別にターゲットに向ける必要がない。

魔石をセットして魔道具のスイッチを押すだけで勝手にターゲットに魔法が飛んで行く。

だから誰も我々を見つけることが出来ない。

このために作らせた特殊なコートのポケットの中で操作してるからまず見つかることはない。


『いいぞ!すでに3個目の闇魔石もほぼ一杯だ。これならモルドバル様も満足なさるだろう』


ガキは攻撃が効いてかなり疲弊してとうとう座り込んで動かなくなる。


『ハハハほんと上手く行ったな。これで女神様は完全な状態になる。フフフ』


『ほんとここまで上手く行くとは、辺境伯のミザリーが周りを見てますねぇ、フフ無駄ですよ』


『おや!動かなくなりましたね。では止めと行きますか。皆さん最後の魔石をセットして全放出してください。』


我々は、魔石を替えて魔道具を作動させミレイを攻撃する。

ミレイは一瞬ビクっと動き床には液体が流れる


『おやおやお漏らしですか。終わりましたね。我々は様子を見て退散しましょう。』


☆・☆・☆・☆ミルム視点

謁見の間の扉の前まで来て、一人づつ入るように言われ仕方なくミルムは入る。

教えられた場所まで行き膝まづき頭を下げ挨拶をする。


ミルムが挨拶が終わりレイが入って来る。後ろを見ることが出来ないが、レイが歩き出すと、すぐ魔法が放たれたのを感じすぐに周りを見た。

これは精神系の魔法だ。しかもターゲットがレイなんで?

精神系の魔法は相手を確実に目視できないと命中しないなのに魔法は最後列から放たれている。


『人間め!私の大好きなレイに何をした!』


エレミアもメルティアもミザリーもいるこの場所で暴れるのはダメ、でも攻撃してるやつら絶対見つける!レイもう少し我慢してて


ミルムは魔力探査で魔法を放ってる人間を探した。


『協力者?何故かかなりの数の魔力放出感じる。でもレイに向かって放たれたのは3箇所、紛らわしいの』


焦ってると、横にたどり着いたレイが、挨拶をして崩れるように座り込み、動かなくなる。

慌ててレイを守ろうと動きかけた時さらに強力な魔法がレイに放たれレイの身体が一瞬ビクっと動きその後床に何かが流れて来る。


陛下や宰相、数人がレイを指し無礼者とののしる。


ミルムはすぐにレイの側に行き涙をながしレイを抱き寄せる


『レイ。ごめんなさい。守れなくて… もうこれ以上ここにいる必要ないのね。

人間の気持ち十分わかったのね。

ミルムはレイが一番大事、お姉さま達も同じ、女神様に愛され、ミルム達妖精族を従えるレイに攻撃する事がどれだけ愚かな事か思い知らせてやるのね。』


ミルムはすぐに妖精族全員呼び寄せる。 


『ライムお姉さまパルムお姉さまエルムお姉さまポルム、ティム、アイムごめんなさい。謁見の場所でレイが3人の人間から攻撃されて、精神が壊されたの直ぐに来てほしいの』


ミルムが謁見の場所にも関わらず、王の言葉に耳を傾けず、ミレイを抱き寄せ自分の服の中に包み込み、ずっとミレイに言葉をかけ続けるミルムに、参列してる貴族は、ミルムとミレイを捕縛するように騒ぎだす。



「陛下に背を向けるとは無礼にも程がある!さっさと捕らえて、罰を与えるべきだ!」


「謁見に来て座り込み漏らすなど前代未聞だ!退出させ厳罰にしろ!」


「陛下が呼び掛けてるのに返事もしないとは、無礼すぎるぞ!処罰しろ!」


ミレイやミルムに悪意ある言葉が浴びせながら何かをいじる貴族達


レイは、ミルムの服の中で守られ

ミザリーは、ミレイが突然崩れたたのを見て列から飛び出そうとするが夫に止められる


ミルムは、国王が立ち上がりこっちを見て怪訝な顔をしてミルムとレイを見て、貴族達を静める



「やかましい!静かにせんか!相手はまだ子供だぞ!」


それでもまだぶつぶつ言う貴族達がいるのをそれ以上の言葉にする事なく、陛下は逃げるように後はエレミアに任せるように出て行く。


「こんな事態じゃまともに話しも出来ん!今日の謁見は終了だ!儂も気分が悪い後は任せるぞ!」


駄目だこの国王、レイの雰囲気が急に変わったのわからないって、どれほどなの。

それに謁見の間って安全な場所じゃないの?

その陛下に呼ばれたその場所で、魔法攻撃された。

これって、国王陛下にも責任があると思うのね。

なのに退出するってどうなの?

そう思ってたら、エレミアが出て行こうとするハートレイを止める。


おおさすがレイも慕ってるエレミアなの。


「陛下この事態を治めずにげるのですか!お待ちください!」


ハートレイは、エレミアに答える


「謁見の場所で儂の目の前で座り込み儂の呼び掛けにも応じず、挙げ句漏らすなど、あり得ぬ!

妃達の勧めてきた人物でなかったら、処刑しておるぞ!」


「陛下!それ本気で言ってますか?なら今すぐ考えを改めすぐにこの場を治めて、あの子に謝罪してください。」


エレミアさすがわかってるのね。


これで謝罪してくれたら、暴れず犯人も殺さないのね。


「何故儂がそこまでしないといけないのだ!いくら子供とはいえ酷過ぎる!

処罰しないだけ感謝しろ!」


エレミアを叱り部屋を出て行こうとする陛下。

それを止めるエレミア


駄目だあの男!何も見えてないのね。ミルムはメルティアに念話で伝える


『メルティアよく聞いて!ミルムもレイも褒美は、いらないのに断るのは駄目と言われこの謁見の場所に来た。

でもミレイはこの国の3人の貴族から、精神系の魔法攻撃を受けて今大変な状態になってる。

ここって安全な場所じゃないの?

ミルムは、すぐに仲間呼んだのね。


今からミレイを攻撃した3人を捕らえて殺す。

邪魔するなら相手が誰でも殺す。国王にも今から起こる事言ってかまわないのね。メルティアこの国滅ぼしたくないなら、黙って見てて!』


ミルムが念話で話し終えてすぐに謁見の間の扉が破壊され、ライム達が姿を現す。

ポルム、アイム、リンナがミルムに抱かれて眠るレイに駆け寄る。



ライム、パルム、エルム、ティムの4人はゆっくりと周りを見ながら威圧を放ちながら歩いて行く。


当然周りの貴族は騒ぎ出し、騎士達も謁見の間に入って来る。


貴族は一ヵ所に集まり騎士達がそれを守るように剣を抜く


メルティアは、エレミアに耳元で話した後二人共に何もせずみてるだけ。

剣聖達とアイラの母レイカは、王妃の横で待機している。

騎士団長他数名が退出しょうとした陛下を守るように立つ。

そして騎士数名が数歩前に出てミルム達に剣を向ける


ミルムが前に出て部屋全体に響くように少し圧を込めて声を発する。


「静まれ人間!あたいはミルム。冒険者をしている。種族は、妖精族だ!」


そう言って隠してたサキュバスの容姿を現す。

ミルムは、皆に指示をする


『みんな容姿見せてあげてください。』


ライムは、白い九尾をゆらゆらさせた姿を現し、パルムは、美しいエルフの姿に、エルムはドワーフの巨乳美女に、ポルムと達は、そのままだが纏うオーラが普通ではないことがハッキリとわかる。


騎士や貴族達の一部の者は震えている。

バートランも異様な雰囲気に混乱する。


ミレイを抱き抱えたミルムを中心に全員整列する。

ミルムが念話でライム達に話す。


『ここにいる人間に自分達がどういう事をしたのか思い知らせる!

私達の大切なレイがこんな事になって…許せないの!

レイは、この世界を救うために頑張ってたのに…国王は何を聞いていたの!』


レイを抱きしめるミルムにアイムが話す


『ミルムここはこの叡智のアイムに任せて!私達の大切なご主人様の大切を守り、他の人間に私達の力を示す。

みんな指示通りお願いなの。』


『『『『『『わかったの』』』』』』


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