第91話ルビーフィッシュ釣り大会③ポルムの釣果

ボクはクルーザーを暫くゆっくり走らせてると、みんながデッキの上に上がって来た。


さっきライムにリフレッシュの魔法を皆にかけて貰ったから、回復したかな?


ボクがみんなを忘れて暴走するなんて… ミルムやエルム達の影響受けたのかなあ…


気をつけよ…


「ミレよ!準備できたのじゃー!釣るのじゃー!」


ビューン


ボチャ


「じゃ少しだけ速度あげるね」


ブロロロロ……

バシャンバシャン…


ブロロロロ…


みんながポルムの竿に注目している。


いやいやそんなすぐは来ないから…


「みんなそんなすぐに来ないから、景色でも楽しんでて!」


「来たのじゃーー!」


えーー!嘘ぉーー!

めちゃくちゃ竿がしなってる

まぁ切れたり折れたりしないけど…


「凄い引きなのじゃ!絶対釣り上げるののじゃー!」


ほんとに凄い引きだな…

でも何か変だなぁー


冒険者達も応援してるし、逃がす事ないだろうけど…


しかしルビーフィッシュってカジキに似てる魚なら、横に走ったり浮いて来たりするはずなのに…

おっかしいなぁ…

どんどん深く潜ってるような…


「何だこいつ!まだ深く潜るのじゃ!どこまで潜るのじゃ!

こうなったらこの装着した雷撃で弱らせてやるのじゃ!」


バリバリ…


グイーーン!


「な・なんじゃ!急に引きがぁーーー!」


ドッポーーン


「「「あ!ポル様!!」」」


『ポルムお姉さま!何やってるの!竿離して!』


『嫌なのじゃ!絶対釣り上げるのじゃー!水面に上がるようにしてやるのじゃ!』


おい!何をするつもりだよ!


『あたいは怒ったのじゃーー!らぁー!』


ドォーーーン

ドォーーーン

ドォーーーン


『ちょっと!ポルムお姉さま何をやってるの!大丈夫なの!』


『心配ないのじゃ!水中爆弾なのじゃ!らぁー!』


ドォーーーン

ドォーーーン

ドォーーーン


プカー

プカー


「何か浮いて来ます!ミレ様!」


「あれはルビーフィッシュです!

しかも何匹も浮いてきてます。」


えーー!こんなに簡単に…


アスカさんが教えてくれる


「ルビーフィッシュは何匹か集団で狩りをする魔物です。

しかも常に高速で動いています。

恐らくポル様の先ほどの爆発の衝撃波で、気絶して浮いて来たのではないかと…

ミレ様急いで仕留め回収しましょう。」


えー!そうなんだ。

たまたま近くをうろついてたって事かな…


「えー!いいの?こんなので…」


「はい!問題ありません!」


「わかった回収に向かうから、皆さんよろしくお願いします。」


「「「はい!」」」


ボクは急ぎルビーフィッシュを回収して、船内の冷凍庫に収納していく。


このルビーフィッシュでかい!

他の数匹はだいたい2~3mなのに、こいつが群れのリーダーからか5mくらいあるよ


しかしこんなのでいいのかなぁ…


『ミレやっと水面に上がるのじゃ!弓で仕留めて欲しいのじゃ!』


おっとポルの事忘れてた。


はぁ…何なのこの釣り


「皆さんポルお姉さまが仕留めた魚を、水面に誘導したそうです。攻撃お願いします。」


ザザザザ…


ザッパーーーン


「攻撃始め!」

飛び上がった魚を見てアスカが叫ぶ


「えー!あれはタイガーフィッシュだ!」


はぁ?何それ…外道ってこと?


でも凄くでかい!


ドップーーン


また潜った。


『潜らせないのじゃーー!らぁー!』


ドォーーーン

ドォーーーン

ドォーーーン


プカー

プカー


『うわー今度違う魚浮いて来たよ!』


もうなんか無茶苦茶だ…


アスカ達は何故か気合いを入れ直す


「いいか!タイガーフィッシュはレア種だ!

しかも滅多に現れない魔物の魚だ。

ポル様が上手く誘導してくれている!絶対しとめる!」


「「「はい!」」」


ザザザザ

ザッパーーーン


来るぞ!


「鱗爆だ!絶対直接叩くな!魔法を使って弾き飛ばせ!」


タイガーフィッシュから鱗が船目掛けて飛んで来る


何あれ!


ピキ R 『あれは小さな硬い鱗の集合なの!直接叩くと飛びちり刺さるの』


ピキ P『パルムは冒険者の撃ちもらし処分するの』


おお!


ピキ R 『この船の防御と敵の攻撃は、パルムとエルムに任せるの、船の操作と魔力供給はマスターとライムとミルムでするの』


『わかった、操船に集中するよ』


冒険者達は広範囲で、飛んで来る鱗爆を上手く弾き飛ばす。

撃ちもらしは、パルムが弾き飛ばしてくれる。


その隙にアスカさんと同じ、エルフの冒険者の女性2人が弓で攻撃をしている。


ヒュンヒュン


あの矢何か魔法かかってる?


何本かは弾かれたが、1本が目のつけねに深く刺さり、タイガーフィッシュは暴れながら潜っていく


『あたいが仕留めるのじゃーー!らぁー!』


ドォーーーン

ドォーーーン

ドォーーーン


プカー


浮いて来た。


ポルムが、仕留めたタイガーフィッシュの上によじ登り、飛び跳ねている


「やったぁー!あたいがルビーフィッシュを釣り上げたのじゃー!」


いやいやポルム!それ外道だから…

それを釣り上げたと言うのは、ちょっと無理があるよ…


冒険者達も騒いでる


「やったぁー!ポル様が仕留めたぁー!」

「凄いです!」

「ポル様おめでとうー!」


ボクは浮かれてるポルムを捕まえて問いただした。


「ポルお姉さま聞きたいことがあります!」


「なんじゃミレ凄いのを釣り上げたのでビックリしたのか?」


はぁ…

こいつ!毎回毎回やらかしてくれてもう…


「お姉さまが釣り上げたのは、ルビーフィッシュではありません!」


「なんじゃとぉーー!」


こいつバカなの?ちゃんと説明したよね!聞いてなかったのか?


「これはタイガーフィッシュといって、湖の湖底にいる魔物です。

滅多に釣り上げられる事のないレア種の魔物だそうです。」


「おお!あたいはそんな凄い魔物を釣り上げたのか!

ミレよ!お姉さまをもっと誉めるのじゃ!」


いやいや!誉めてないから!

むしろこんなに騒がせて、罰与えようと思ってるんだけど…


「お姉さま仕掛けに何かされました?」


「いや言われた通り作って、餌をつけて放り込んだだけなのじゃ」


いやいや!ありえないから!

餌?まさか…


「あのお姉さま、餌に何かされました?」


するとポルムの様子がおかしくなる


「何もしてないぞ!ちょっとアレンジしただけなのじゃ!ほんのちょっとじゃ!」


はぁーそれが原因じゃねぇか!


「で!何をされたのですか!お・ね・え・さ・ま」


「ミレよ何か怖いのじゃ!ちゃんと話すから叱るのはなしじゃ!」


「わかったから、話して下さい」


「餌の魚がな暴れるから上手く針に縛れなくてなバン!ってしたらしんだのじゃ!」


はぁ?ちゃんと教えただろ!

暴れるからここを持つようにって…



「仕方ないから、ミレの魔力を少しコーティングして魚の中に入れたのじゃ!

魔物は美味しい魔力に集まるから…

作戦成功なのじゃ!」


何をやってくれてるの!

それでルビーフィッシュじゃなく湖底のタイガーフィッシュが釣れたわけか…

はぁ…

覚悟してたけど、ここまでバカとは…


「わかりました。お姉さま次はちゃんと言われた通りやって下さいね!」


「うぅ… わかったのじゃ、ちゃんとやるのじゃ」


しかしでかい!

これ10mくらいあるぞ!

まぁとにかく冷凍庫に収納だね。


ボクは結局この騒ぎで湖面に浮いて来た全ての魚?魔物を回収して、メリさんアスカさんの提案で、ゆっくり計量会場に向かう事にした。


「ミレ様!保存庫はまだ入りますか?

余裕無いのであれば、一度計量所に戻りましょう。」


「ミレ様ここから計量所のある会場まで、かなりの距離があると思います。

それに先ほどのスピードでの移動は、皆さんの負担を考えると、このままの速度で向かわれるのがいいかと…」


「わかりました。このまま会場に戻ります。

時間もかかるので、皆さん船の中でくつろいで下さい。」


メリさんがボクに見張りをするからと言ってくる


「警戒のための見張りを我々でします。」


「警戒は不要です。ミレの広範囲探知魔法があります。

皆さんは船内へどうぞ!食事も用意します。」


食事と聞いてレフレアさんも子供達も大喜びしている。

会場に戻るまで僕たちは船内で食事を楽しみ、全員お風呂を堪能していた。


風呂でリンシャーやソフトソープを使った者全員驚き、大騒ぎになったのは言うまでもなく、みんなが喜んでくれたので、ボクは満足して操船デッキに戻った。


ポルムにはみんなのお世話を任せてある。

ボクは一人で3階の操船デッキで、一人考えていた。


はぁ…これ戻ったらまたあの町長なんか言って来るだろうなぁ…


はぁ…


すると3階のデッキに、アスカさんが登って来た。


「どうしたのですか?妖精…いえミレ様」


うわーこの人リンシャー使ったら髪の毛輝いてる…

それにいい香りするし…


綺麗な大人の女性の魅力にボクはぼーっと見とれてしまう


「うふふ♪ミレ様に見つめられると何か変な気持ちになりますわ…何か恋人に見つめられるような…はぁ…ミレ様ぁ」


えーー!ボクに魅了なんてスキルないはずだけど…

ヤバい何とかしないと


「あ・アスカさんどうされたのですか?

ゆっくり船内で、くつろいでくれたらよかったのに…」


「それは勿論ミレ様の護衛として来たのですよ♪それに少しお話もありましたし」


そうなんだ…でも何かボクを見つめる目が何かいつもと違うような…

ボク何かしちゃったの…





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