第160話セイシール諸国(レイ辺境の島々に行く)

「なら妾が行こう。」


はい?


何言ってるの?

仮にも国のトップですよね。何かあったらどうするんですか!絶対ダメでしょ!

ここに来るまでも海の魔物出たのに…


「ダメですよ!もし何かあったらどうするのですか!絶対ダメです!」


陛下はボクに文句を言ってくる。


「何でじゃ!妾より重要なレイちゃんが行くのに、問題ないのではないか!絶対行くぞ。この際娘と息子も連れて行く。」



「えーー!」


「えーー!じゃない!メルティア殿下も行くのじゃろ!なら妾が行っても問題ない!これは決定じゃ!」


「うぅ…わかりました。」


はぁ…何かとんでもない事になりそうな…

それに王女様と王子様も一緒なんて…

部屋に戻ってみんなに言わなきゃ…


ボクは部屋に戻りみんなに集まって貰って辺境の島々に行く事を伝える。


「みんな明日からボクは辺境の島々に行く事にしました。

本島と近隣の島は錬成師さん達に魔道具の制作方法教えてるので大丈夫です。

でも辺境は話を聞いてると酷い状態なのでボクが行って現地で濾過装置とかの魔道具作ります。

それでみんなにお願いあります。陛下もついていくるので、護衛に一緒に来てください。

それと向こうでボクが魔道具作るの手伝ってください。」


メルティアさんがボク言って来る


「辺境には見たことのない海洋の魔物がいると思うからレイちゃんの側には必ず誰か付いていること。」


ボクは素直に返事をして、その日は早めに休むことにした。


次の日港には陛下王女殿下王子殿下と護衛数人が待っていた。

王女殿下は昨日会ってるからわかるけど、王子はビックリ可愛くて女の子見たい・・


ボクが挨拶をすると王子殿下は挨拶をした後すぐに王女殿下の後ろに隠れる。


「レイと言います。よろしくね。」

「あの…ワタシ…カルテラ… 」


ホントに男の子なのかと思うくらい声も小さく可愛い仕草ですぐに王女殿下の後ろに隠れる。


メルティアさんがクシャラ陛下と少し話した後ボクはメルティアさんに促されアイムにクルーザーを出すように言った。


ここでも陛下はじめクルーザーを初めて見た人達は驚き、その美しさと見たことのない形に質問攻めにあう。船の材質、構造、エンジン等技術的な事までとにかく凄かった。

さすが海洋国家だと思った。


ちなみにミレー号の性能はライム達が改造し前よりグレードアップしている。


クルーザーミレー号

船体アルミ合金製

全長20m全幅8m高さ8m3段キャビン

船外魔石動力ジェットポンプ式エンジン2基搭載

最大速力300ノット

キッチン、食堂、談話室、トイレ3箇所、お風呂、シャワールーム完備

魚保存用巨大冷凍庫完備・ソナー探知機・レーダー探知機・自動操縦機能・水中爆弾発射装置・空中爆弾発射装置(爆弾は全てポルム制作)

2フロアーに個室6,大部屋4、総ベッド数40


でも改造後のクルーザーの性能初めて見るけど凄すぎる。この世界の造船技術だと100隻VSミレー号でも余裕で勝てるね。


クシャラ陛下たちは船に乗り込むとアイムに設備の質問をしていた。

アイムは相変わらずメルティアさんに抱っこされている。

ボクは3階キャビンで準備中、この操縦席も大きくなり、運転席と助手席が横一列で3つ並び後ろにも席があり3階デッキは定員5名ベッドルームも備えた部屋まであった。

豪華になった分消費魔力も半端なかった。


この船ボクかアイム達古代種クラスでないと動かせないね。


3階デッキには、みんなで交代で来ることになってるみたいで、最初は助手席にはアイラとミズキとチェリアス王女、フェリアス王女、案内役のラニーニァ王女が席に座った。


ボクはチェックが終わり船内放送で出発することを告げ笛で合図をする。


「出発の準備が出来ましたので出港します。一応船が安定する速までしかスピードを上げません。魔物なのどの緊急事態になれば警告音と放送で知らせますので、戦闘員は1階2階のデッキに出て下さい。

戦闘員の方はハーネスがありますので必ず装着してデッキの転落防止用バーに必ずフックをかけて下さい。

わからなければアイムに聞いてください。それでは到着まで船内でおくつろぎください。」


レイは出発の合図の警笛を鳴らしエンジンスロットルに魔力を流していく。


ピィーーーォ



船は桟橋を離れ島影から外洋に出る。


ラニーニァに航路を聞いてポイントをセットする。

船の速度を揺れの少ない安定速度50ノットまで上げる。

諸国連合の陛下達は未知の速度に驚き歓声をあげる


「こんな大きな船なのにこんなに早く海の上を走れるのか…凄いのじゃ!」


3階キャビンも大騒ぎになっている。


「キャーすごおーい」

「レイちゃん凄いです」

「すごおーい気持ちいい」


みんな楽しんでくれてるのでよかった。

船を走らせる事4時間ラニーニァが示した分岐ポイントに到着する。


「ラニーニァさん言われたポイントに到着します。

次方向指定してください。」


ラニーニァはあまりの速さに驚く


「えーー!もうクレモール諸島奇岩島に着いたの?私達の船でここまで来るのに3週間~4週間かかるのよ!嘘でしょ!」


ラニーニァは見えて来た奇岩島を確認する


「ほんとだ…ほんと凄い船…」


ラニーニァはここまで西に船を走らせてたのを今度は北にポイントを示す。


「次はここよ。ここがクレモール諸島の有人島のあるクレタトルタ島私達諸国連合の西の一番端の島よ。」


「わかりました。ここにセットして、食事にしましょう。」


レイは自動操縦機能にして、食事のために1階に降りる。


食堂に入ると先に食べた者達がなにやら騒いでいた。


ラニーニァが食堂に入ると騒いでた陛下に尋ねる。


「陛下どうされたのですか?食堂で騒ぐような事があったのですか?」


クシャラ陛下はラニーニァを見てニヤニヤする。


「なんじゃラニーニァか…貴方も食事をすればわかるわよ。」


驚いたのが王子カルテラだった。


ボクに抱きついて来て興奮して喋りだす。


「あの料理の材料全部レイお兄ちゃんが作ったの?

あの料理もお兄ちゃんが考えたの?

あの調味料もお兄ちゃんが作ったの?

あの綺麗なコップや器も…

それから… 」


えーー!

何この子こんなに喋れるの?


それに興奮してるから後半何言ってるかわかんなかったし…


「カルテラ王子ちょっと落ち着いてください。

そんなに興奮しなくてもちゃんと説明しますから」


陛下も王女、それに護衛達も興奮する王子が相当珍しいのか皆驚いて固まってる


「あっ… ごめんなさいなの…」


アハハやっと自分の状態がわかったみたい下向いちゃった。


「大丈夫よ。あの食材はレイの畑で育てた野菜とか小麦だよ。

調理方法もレイのオリジナルなの。

パンも柔らかかったでしょフフフ」


カルテラ王子はブンブンと頷きまた喋りだす。


「特に凄かったのがコップと器です。凄い技術がいっぱいで、ほんと綺麗で、輝いていてずっと見てました。

レイお兄ちゃん私を弟子にしてください。」


「えーー!カルテラ王子落ち着いてください。王族がボクみたいな者に頭を下げてはダメです。」


王子の興奮は止まらない


「レイお兄様!私の事はカルテラと呼び捨てにして!このまま一緒にレイお兄様の所に行けばいいですか?」


ちょっと待って!何なに?えーー!このまま一緒にモルトンまで来るって事?


ボクがあわあわしていると、クシャラ陛下が王子を諌めてくれる


「待ちなさい!カルテラ!落ち着きなさい!何を興奮してるのです。貴方は王族ですよ。もう少し冷静になりなさい。」


王子は止まらない


「何を言ってるのです。お母様。あの器とコップの素晴らしさがわからないのですか!

料理を美しく見せる器に見たことのない形、色合いはぁ…

それにあのコップ…ガラスの透明度…形に描かれた模様に輝きどれも素晴らしいのです。

…………………

…………………

まさに芸術の女神の作品です。」


陛下も興奮して喋りまくるカルテラ王子にどん引きしている。


王女は、興奮してしゃべる弟に呆れスルーして空いてる席に座りまだ話そうとする弟にズバッといい放つ


「カルテラいい加減になさい!自分は先に食べたのにレイちゃんにご飯食べさせないのですか?」


するとカルテラ王子は静かになりボクに謝る


「ごめんなさいレイ様… 」


落ち込んじゃったのね。仕方ない…


「カルテラ…レイがご飯食べたら少しお話ししょうか?」


カルテラはボクを見て嬉しそうに返事をする



「はい!私向こうで待ってます。」


そう言って談話室に歩いて行く。


クシャラ陛下は申し訳なさそうに謝ってくる。



「レイちゃんごめんなさいね。まさかあの子があんなに興奮するなんてなかったですから、ほんとビックリしました。念のため私も付き添いますね。ラニーニァも同行しなさい。」



陛下も談話室に歩いて行く。


はぁ…

どうしょう…


ボクがいろいろ考えてると一緒に食べ始めたアイラが『巻き込んじゃえば』と言ってくる。


巻き込むか…


そうか!濾過装置や虫取香、冷却魔道具何かは錬成のスキルが身に付くし持ってればスキルレベルが上がる。

だったら手伝って貰えば器くらいなら作れるようになるかも


「アイラありがとう。」


ボク達はご飯を食べ談話室に向かいカルテラ王子と話し合う。


カルテラ王子はボクの仕事を手伝う事に嬉しそうにボクの手を握る。


その後クシャラ陛下とメルティアさんと少し話した後ボクは3階キャビンに戻り運転席に着いた。



「ん?ソナーに反応がある…これはかなり大きい…凄い勢いで近づいてる?」


これは…



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