第167話アルメリアル公国(スローラルから王都)①

レイ達はバイスル王国に戻りサリアス陛下やフラワーガールのメンバー、モルトン冒険者ギルドのエレン達を加えて、再びミレー号に乗り込みアトラス大陸にあるアルメリアル公国に向かった。




「ねぇアイムみんな静かだね。いつもなら騒がしいのに何してるのかな?」



アイムがアルメリアル公国の事を説明してくれる


「みんなは、下で打ち合わせ中なの。あのねママ今向かってるアルメリアル公国は、大きく変わろうとしてる国なの。だからレイはパパの感情じゃなくママの状態で優しく見守ってほしいの」



うーんアイムが何を言いたいのかあまりよくわからないけど優しくしろって事かな?

打ち合わせって、これだけ人がいるからアルメリアル公国内の情報収集するチームとか、行く場所とか決めてるのかな?


船は何事もなく無事アルメリアル公国のフェルノア侯爵領のスローラル港についた。


うーん・・ なんか活気がないね。

大きな港なのに船がほとんどいないし港の設備もさびれてるし荷馬車もほとんどいない・・・

それに子供がいない?お家にいるだけなのかな?


船を港につけグランアリス達冒険者が先に降りる。その後にエレミア、メルティア、サリアスが続く、みんなが降りたのを確認して船をアイムが収納する。そこにスローラルの町の警備兵と町長が慌てて駆けて来る


警備兵の前に出て来た町長のキリトナは、公国救済使節団の責任者のエレミアに挨拶をする。

エレミアも挨拶を受け国王から援助の依頼を受け来訪した事を告げる

キリトナは町の舘に歓迎の準備をしてる旨を告げるが、エレミアは急ぎ王都に向かう事を伝える


「キリトナ殿お気持ちは嬉しいのだが、国難と聞いておるので急ぎ王都に向かい陛下と会談したい、ついては先行する部隊に他の町への通過の許可をもらいたい」


キリトナは頷き急ぎ王都に連絡するので暫く待つように言い慌てて舘に戻っていく

隠密系スキルを持った者が船の到着と同時に街を調べに回りエレミアに情報を伝える


「エレミア様、サリアス様何か変です。確か港に王都から王権を持った特別取締官が港に待機している事になってるはずですがどこにもいません。

王都からここまで距離があるので遅れているのかも知れませんが、一応警戒をお願いします。

一応レイ様の護衛は影に潜める者をつけていただいた方がいいかもしれません。我々黒百合部隊打ち合わせ通り先行して王都までのルートを調査します。」


そう言って数人消える


それを横で聞いていたグランアリスがナンバーズの一人に声をかける


「ダカーポ来て」


一人の小柄の黒いフードを被った少女が現れる


「アリス呼んだ?」


「貴方にレイちゃんの影に入って守ってもらいたいの。緊急時以外は姿を現さず影から見守っててほしい」


「わかった」


そう言ってダカーポは姿を消す。


エレミアがそれを見てグランアリスに話す


「今の子がレイを見守るのね。なら万が一分断されるような事があっても少し安心ですね。後は打ち合わせ通り何人かチームを組んで先行して町に入って表の調査してもらいましょう。」


グランアリス達は打ち合わせで先行する部隊に実力者のナンバーズを配置して排除しレイの護衛は剣聖と剣王、フラワーガール冒険者たちに任せる事にした。

当然エレミアやサリアスの護衛も騎士団長クラスが付いている


結局エレミア達は先行する部隊の調査の許可ももらい黒百合部隊以外は町で滞在し翌日王都に向け出発することになった。


スローラル駐留の騎士がエレミアに話しかける


「私はアルメリアル公国第14騎士団のジェスタと申します。これより王都ヴァウラまで我々が案内いたします。」


そう言って騎士団が先頭に立ち動き出すのをサリアスが止める。


「ちょっと待つのじゃ!王都から王権を持った特別取締官が妾達を迎えに来てるはずじゃがどうしたのじゃ。」


サリアスの威圧にジェスタは様子がおかしくなるも理由を述べる


「申し訳ございません。特別取締官3名は途中魔物に襲われ部隊は全滅急遽駐留中の第14騎士団5名と領都から応援の騎士15名が王都まで護衛致します。」


それを聞いてサリアスがジェスタの挙動を見つめながら騎士章を見せるように言う


「ほぉ・・では念のため所属章を見せよ」


ジェスタは肩に張り付けてる騎士章を見せる。その間の騎士の動きは全てアイムやサリアス達に同行してる者達が見ている


ジェスタは所属章を見せる。サリアスは確認して頷く


「確かに確認した。ではよろしく頼む」


騎士達は再び整列し動き出す


「では我々15名が先行し皆様の後方より残りの5名が少し距離を置き後方を警戒します。」


騎士団が隊列を組んで先行しその後少し距離を離しレイたち一行が追いかける。

レイはアイムが作ったミスリル合金製の馬車に王女とアイラ達と一部のメイドで乗り、2台目にアイムとサリアス、エレミア、メルティア、ミザリー達王族と残りのメイド達が乗る。

馬車の周りはバイスル国騎士冒険者が守り、馬を持たない冒険者は荷馬車で後に続く


アルメリアル公国騎士の説明で王都までの工程は現在いるスローラルからフェルノア侯爵領領都ヘルノスアイレスまで馬車で7日間そこからゲルトラ男爵領イオセント子爵領を経由して王都ヴァウラまで18日の予定だと告げられる。


しかしエレミア達は事前に王都までの道中調査処置しながら進むと告げてあり、最初こそアルメリアル公国騎士に従うがそれ以降はレイに任せる事にしていた。


港町スローラルからフェルノア侯爵領領都ヘルノスアイレスまで途中3つの町に立ち寄ったが虐待されてる子供は見られず孤児もいなかった。


移動中もエレミアの乗る馬車には先行した黒百合部隊先行して調査してるナンバーズから情報が絶えず入って来てその情報もアイムに伝えられる。


レイは町で宿泊した時も違和感を感じていたが、馬車の中でアイラやチェリアス王女達と楽しく過ごすことに集中した。


『気になる事多いけど、アイムや陛下達がいるから任せていた方がいいかな馬車の御者もナンバーズ冒険者2人がいるし、アイムには出来るだけ馬車から出るなと言われてるしアイラ達と楽しくしてればいいかな』



レイが移動中大人しくしている間にアイムは、途中の町が子供達があまり見られず使役してる眷属たちからの情報と公国騎士団の動きで上手く誘導されてることを知る。


アイムはすぐにエレミアに考えを伝える


『エレミアよく聞いてなの。私達は罠にはめられてるの。先行してる公国の騎士団は港の騎士じゃない悪意で動いてるの。この先数キロ先で魔物が待ち伏せしているの。それに罠も仕掛けられてるの。

危険だけどこの先の分岐で領都ヘルノスアイレスへ行かず森に逃げ込むの。

魔物に加えて用意周到に仕掛けられた罠は、残っているナンバーズ冒険者や剣聖でも回避しながら戦うのはかなりの犠牲が出るの。

それは絶対レイが嫌がるの。だから迂回するの』


『わかったわ、でも先行する騎士団に気づかれたら追いつかれるわよ。それにかなり道が悪いから馬車の移動は難しいんじゃないかしら』


サリアスやメルティアも頷き意見を言ってくるもアイムはこの馬車が特別製だと伝える


『大丈夫なの。この馬車は特別製レイの知識を得てアイムが作ったの。剣聖のホタルやサクラたちには緊急時この馬車の形態が変わるの伝えてるの。馬たちは切り離し使役魔物に任せるの。外の騎士にも伝えてるの。』


エレミア達は驚くもレイの知識と聞いて納得し頷く


アイムはレイに伝えこれから独自で動くことを伝え外の騎士に叫ぶ


「皆この先500mの分岐を右に曲がり森に逃げるの。作戦Fなの。馬車自走モードに変えるから皆遅れずについて来るの。」


アイムが外の騎士や冒険者に伝えると、馬車が停止し馬が切り離される。

馬車は暫くして光に包まれた後、トラックタイプの四輪駆動車に変わっていた。

馬車の居住空間は少し大きくなり中はハンドルとアクセルブレーキの付いた運転席が現れる。

わずか数分で全長7mのトラックタイプの四輪駆動車に変わる。

運転席にはレイとアイムが座る。


あまりの出来事に驚く陛下や王女達だがいつもレイやアイムに驚かされてるので、回復も早い


先行する車の操縦はレイが後ろの車はアイムが運転席に座る。

アイムが護衛の騎士と冒険者に伝える


「公国の騎士団が気が付いたみたいなので急ぎ出発します。馬に乗ってる騎士は遅れないように、冒険者の人は後ろが荷台になってるので乗って振り落とされないようにしてください」


アイムが後ろからレイの乗る車を抜かし先行する


「レイママしっかりついて来て下さい。」


こうしてレイたちは罠を回避して森の中に続く道を進んで行った。





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