第76話スパイ

「陛下ギマラスに到着しました。これより門兵に伝えてまいります。」


「とにかく冒険者ギルドまで警備兵に案内するように伝えなさい!町の者に知らせなくてよい!今回は非公式の訪問じゃ!スムーズに行きたい!」


「は!そのように伝えます。」


はぁー

いよいよかぁー


先触れの使者が町長の所と門兵と警備兵に伝えられ馬車は護衛20人以上に守られ町に入る。

豪華な馬車2台と20人以上の護衛その先頭にギマラス警備隊長が緊張した足取りで、冒険者ギルドを目指す。


冒険者ギルドでは、ギルマス他全員整列して出迎える、ギルドに女王一行が到着すると、剣王のシャルテが挨拶をする


「此度は緊急案件で女王陛下の指示で立ち寄りました。急な訪問にも関わらず対応に感謝する。」


騎士たちが馬車の左右に分かれギルドの前の道は完全にふさがり騎士が2重3重に整列する。

陛下が馬車から降りると騎士たちは騎士の敬礼をする。


ギルドの前ではギルマスたちが膝を折り腕を胸の前に組み頭を垂れる


「サリアス陛下、急な訪問でこのような対応しかできず申し訳ございません。職員一同心より歓迎いたします。」


「よい!此度は緊急じゃ!理由は聞かず妾と王女二人とメイド達が世話になる場所を提供してほしい」


ギルマスのライザクトはサブマスのイザベラに対応を任せる


「サリアス陛下、ここは女性のイザベラに任せますので彼女にお聞きください」


「あい分った。」


イザベラが緊張した面持ちで話しかける


「どういった対応させていただいたらいいのかわかりませんが、話せる範囲でお聞かせ願えないでしょうか?」


サリアスは頷き


「それもそうよのぉ、どこか話せる場所に案内せい!」


「わかりました。では奥の会議室にどうぞ!」


サリアスは頷き剣王に指示をする

「シャルテ!護衛の選別は任せる。

町長が来たらこの件が片付いたら挨拶に行くと言っておいてくれ、此度の件は緊急極秘案件だと言っておいてくれ」


「わかりました。護衛は剣聖のホタルを同行させて下さい。

私はここで警備します。」


話がついてサリアスが馬車にいる王女に声をかける。


「フェリアス、チェリアス!出て来なさい!中で話をします。冒険者殿もどうぞ!」


膝まづいた状態でイザベラ達は、冒険者と呼ばれたのに驚き馬車に注目する


『陛下と一緒に乗ってる冒険者って王都のSランクの方なのかな?』


王女二人は馬車から降りギルド職員に挨拶をする


「第一王女のフェリアスです。よろしくお願いします。」


「第二王女のチェリアスです。よろしくお願いします。」


絶対でたくないよぉー

どうしよぉー


ボクが馬車から降りないので、王女がボクとポルムの腕を引っ張り馬車から降ろす


馬車から降りたボクたちを見てギルド職員全員驚きの声を上げる


「「「えー--!ミレイちゃんとポルムちゃん!」」」


それを聞いたサリアス陛下は嬉しそうにイザベラに話す


「なんじゃ知り合いか!なら聞きたいことある早く会議室に案内せい!」


ボクとポルムは王女二人に手を握られ連れていかれ、膝まづいてる職員の前を下を向き通って行く。

職員たちは笑いながら見て小声で話している。


『ミレイちゃんってホント問題児ね、今度は女王陛下を連れて来たわアハハハ』

『ほんと何やったらこんなこと起こるの?』

『ビックリよねハハハ』


ボクたちは会議室に入ると、防音の魔道具が作動し、入り口を剣聖のホタルさんと騎士団長と騎士数名が立ち、テーブルに陛下と王女二人とボクとポルムが席についた。


陛下はこの件は絶対漏らすことを禁ずると警告し話し出す。

自分と王女二人が呪いを受けてること、ここに来るまでに盗賊に襲撃された事、襲撃された時護衛剣聖たち全て敵の罠でやられた事

ボクたち二人に助けられた事

そして今からボクに解呪してもらうのにその場所を提供してほしい事


イザベラは解呪について聞いて来る

「ミレイちゃん、陛下たちの解呪ってミレイちゃんがするのよね?」


「・・・・・」


「ミレイちゃん?諦めて全てサリアス陛下に話しなさい!

何黙ってるの!

貴方は凄いことをしたのよ!

サリアス陛下は全ての女性の味方よ!

警戒する必要はないわよ!」


わかってるけど…


ピキ『マスターまだフードを脱ぐのダメライム認識阻害かけてる』


え?どういう事?まさか中に…


ピキ『入口の騎士団長という人間マスター狙ってるの』


え?騎士団長が…スパイなの?


ピキ『マスターこの人間排除しないと危険なの』

ピキ『闇魔法使って来てるの』


わかった… ボクが取る行動は一つ!予期せぬ事が起こったら隠してる姿がでる…なら…

ボクは覚悟を決める


『パルム陛下を拘束するからボクに合わせてバインドの魔法よろしく』


ボクはポルムに念話で伝える

『ポルム後ろの兵士の動きよく見てて』


『わかった任せるのじゃ!』


ボクはサリアス陛下をじっと見つめる

『陛下ごめんなさい!今から魔法放ちますボクを信じて…』


ボクは席を立ち上がると、陛下に向けて左手を向けわざと詠唱を唱える


「ηξδδΨ…バインド!」


シユワン!


ボクが立ち上がって、陛下に左手を向けた瞬間剣聖のホタルさんが動く


クルクルクル


陛下に魔法の太い糸が巻き付いて行き締め上げていく…


剣聖に遅れて、騎士達も動く


剣聖は声を上げボクに斬りかかる


「無礼者ぉーー!」


ライム防御しなくていいから…

これは罰だし


ザシユ!


陛下も王女二人も、ボクが斬られると思わなかったみたいで、驚いていた。


ボクは斬られた箇所から血が吹き出て、そのまま倒れる


バタン


騎士達は陛下に向かい、騎士団長は倒れたボクをさらに斬りつけ、そのままポルムにも斬りつける


やっぱりこの人倒れてるボクを見て一瞬ニヤリとした…


「陛下になんて事をするこの魔女め!お前もだぁ!」


ザシユ!

「………なさい」


バタ!


「あたいは何もしてないのじゃあー!」


ザシユ!


バタ!


「ミレイちゃーーーん!」

「いやぁーー!」

「ポルムちゃーーーん!」

「なんでぇーー!」


ボクが倒れた事で、サリアス陛下のバインドは解けボクに駆け寄る


「何故こんなバカな行動に出たミレイよ!」


王女二人も駆け寄る


「なんでなのミレイちゃん!」

「ミレイ嫌ぁーー!」


剣聖のホタルも、盗賊を倒したミレイ達の実力を知っているから、絶対にかわすと思っていた。


「ミレイ殿なんで?何でかわさない!」


ボクは陛下を見つめ謝罪する


「サリアス陛下ごめんなさい… 」


ガク


騎士団長はボクの状態を確認して、町長にこの事を伝えてくるといい、部屋を出て行く


それを見てイザベラさんが職員を呼び寄せ、ミレイを箱にいれる


「この冒険者の処分はこちらでします。」


ローズが陛下に伝える


「後の事は私達に任せ、今日はギルド宿舎の方にてお休みください。」


職員に案内されサリアス陛下と王女それに護衛騎士、剣聖、剣王総勢約18名がギル

ド女性宿舎に入る。


一人の女性騎士が宿舎に入り陛下に報告する


「騎士団長のベントウェイは、町長に報告した後、部下数名を連れ王都に一連の報告に向かいました。町を出たのも確認しました。」


「ツェナーご苦労様食堂に夕食用意してもらってるから食べて来なさい!」


「は!失礼します。」


全員の食事が終わり談話室に騎士たちとサリアス陛下、フェリアス王女、チェリアス王女が集まる。

そこに二つの小さな棺が運び込まれる


棺が開けられすぐに職員は遮音の魔道具を起動させる


剣聖のホタルがミレイの顔を優しくなでる

「ごめんなさい・・」

王女二人も涙をためてミレイを見つめる。

サリアス陛下は、それを静かに見守る


サブマスのイザベラとローズが二人の棺に話しかける


「ミレイちゃん!ポルムちゃん!いい加減起きなさい!」

「そうよ、やり過ぎると後が知らないわよ!」


二人がそういうと、ミレイとポルムが棺から出て来る


「やっほー!ミレイはこの通り元気だよ♪アハ」

「ふあぁーよくねたのじゃぁ!」


目に涙をためた王女二人、それに自分のせいでミレイを殺してしまったと思い込んでるホタルが驚き唖然とする。

そして能天気な二人を叱り飛ばす


「ちょっとミレイちゃん!どういうことなの!何がやっほー!よ(怒)ちゃんと説明しなさい!」

「そうよ!ポルムちゃん!説明して!(怒)」

ホタルも剣を握りミレイに迫る

「どういう事ですか!ミレイ様!ポルム様!(怒)」


え?これってえーまずくない・・

ホタルさんの後ろからゴゴゴゴゴ・・・って聞こえてきそう怖いんですけど・・


サリアス陛下の圧も凄い…

「そうよのぉ妾を騙し涙も流させた罪は重いのぉ…」


ゴゴゴゴ…


「え?あの敵を騙すには、まず味方からって… 」


これってホントに死んじゃうかも…




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