第56話ブライトンの悪あがき

「会わせてやってもいいが屋敷の中だ!お前一人だけなら許可してやる」


ニヤニヤ


絶対何かあるんだ…

剣聖のミズキさんが耳元でアドバイスをしてくれる


『ミレイ様、奴を挑発して怒らせましょう。たぶん何らかの行動に出るはずです。』


ボクは頷き町長に向き合う



「わかりました。ボク一人で行きます!但しボクにちょっとでも何かあれば、あなたが後悔する事になるよ」


「な・何を生意気な!ふん!こやつらがいくら強くてもモルトンに常駐する騎士団それに儂の私兵もいる問題ないわ!」


は?バカなのこの人それって、ボクに手を出しますって事だよね


「ボクに手を出せばレシピも絶対教えません!孤児院の施設も破壊します」


町長が我慢できなくなり行動に出てくる


「もういいさっきからくそ生意気な事ばかりい言おって!儂はブライトン準男爵だぞ!貴族に対してその態度!儂が教育してやる!おい!出て来てこやつらを捕らえろ!」


バーか!警告したのに、ボクはお母様の名前を叫んだ


「ミザリー様、エミーア様助けてえーー!」


ブライトンは出て来た人物に驚く


「な・なんだとおー!そんなバカな!」


お母様は護衛騎士二人とアイラを連れ現れ、その後ろに冒険者の格好をして鉄扇を手に持ったエミーアさん達も現れる。


「お久しぶりねブライトン準男爵まずこれを先に見せておくわね」


お母様は服の内側から袋に入った短い短刀をだす


「町長のあなたならこれが何を意味するかわかるわね」


「領主の権限を全権委任するベルモルト辺境伯領主短刀…」


お母様はニッコリ笑い


「はいよくできました。」


お母様その笑顔怖いです…


ブライトンは一瞬焦るもすぐに気を取り直しお母様に対応する


「それで何か?私は当然の事しただけですが?何か問題でも?」


「あら?強気なのね、当然の事?孤児院に入り子供達に非道な暴力行為、建物の差し押さえに誘拐!これのどこが当然なのかしら?答えなさい!ブライトン準男爵!」


ブライトンは一瞬怯むもすぐに返答する


「孤児院で怪しい建物があり、許可もされていない洗剤を作り売ろうとしたから取り押さえたのです。


そのような物が作られ販売されたらミザリー様の評判が悪くなります。そのための処置です。それに私は誰も捕らえていません!何か証拠でもおありですか?」


「ふぅーんそういう態度に出るんだ…」


これブライトン死んだね


お母様はブライトンに向かって歩きだす


「貴方何を聞いていたの?この子どもが王国法を教えてくれたでしょ!

あなたの行った行為は完全に国の法律にも違反します!

貴方が私になんの連絡もなしに建物を取り押さえるのですか!

貴方にそのような権限はありません!

もういいわ誘拐した者は探しますから、行きましょうエミーア」


ブライトンは慌てて止めようとする


「お待ち下さい!いくら領主婦人でも失礼が過ぎますよ!それ以上進むなら強制的にお止めします」


調子にのり自信満々に威圧してくるブライトンに、お母様とエミーアさんの表情が変わる


エミーアさんがお母様に話しかける


「ミザリーもういいわよ、到着したみたいだから、私も我慢ならないわこのゴミムシ!」


お母様は頷き短剣を抜きブライトンにはっきりと告げる


「ブライトン準男爵!貴方を孤児院資金、公共事業費着服の容疑で捕縛する!」


「ミザリーまだ足りないわよ!ブライトン準男爵!貴方は国庫から支払われてる町の防護壁の維持管理費の不正利用の罪で、バイスル王国法に基づき捕縛する!証拠はここにある!」


エミーアさんもう完全に王妃様の威厳だ凄く凛としててかっこいい!


ブライトンは証拠まで出され絶句する。でも悪あがきにエミーアさんに反論する


「冒険者風情の分際で証拠だあ?そんな作ったような証拠信用できるか!」


お母様もブライトンに警告する


「ブライトン!あなたの不正は私も掴んでるわよ!それにあなたの暴言はエミーアは許さないわよ!」


「そんな作った証拠不正だ!冒険者が準男爵を侮辱これは処罰対象だぞ!そこのガキと一緒にこの儂が取り調べ不正をたださせてもらう!それにその人数でどう対処するのだ!」


ブライトンが右手を上げた瞬間さらに大勢の男達が屋敷から出て来る、ナナを襲った黒装束の者も数十人いる。


うわーブライトン領主に反抗する気だ!しかもエミーアさんとボクを捕らえる気でいるし、凄い自信だ。


お母様がブライトンに一言


「ブライトンあなたおしまいよフフフ」


エレミアさんが大きな声で命令する


「バイスル王国姫騎士団ここに来てブライトンを捕らえよ!」


すると後方から装備を固めた白い女性騎士達が入って来る


ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダ


騎士団隊長のレイカが敬礼し報告する


「エレミア王妃殿下!レイカ以下姫騎士団20名ブライトン捕縛のためただいま到着しました。」


エレミアさんはねぎらいの言葉をかけブライトンを睨む



ブライトンは驚愕する


「なんでじゃこの辺境に王妃直属の姫騎士団がいるのだ!ま・まさかこのお方が王妃エミリア様・・」




ブライトンは開き直りとんでもない事を言い出す



「ちょうどいい!あの方も銀髪のガキと王妃エレミアを所望してたからここで捕らえれば儂の幹部は間違いないフハハハ」



ブライトンはブツブツ何かを言って屋敷の中に逃げていく



逃げたブライトンを追いかける姫騎士団をブライトンの私兵が取り囲む


剣聖のミズキ、シオンも追いかけるが黒装束の暗殺部隊と私兵に阻まれる


アイラ、シルフ、セレス達も私兵に囲まれている、それに普段なら苦戦するはずない姫騎士団が私兵達を相手に苦戦している


エレミアさんは何か気がついたみたいでボクに話しかけてくる


「あの者達は何かよからぬ薬投与してるわね、凄い動きね狂人化してるわ、ミレイちゃん何とかならないかしら?」


え?ボクに?


お母様もボクならできるみたいな感じで話してくる


「ミレイこのままだとまたあなたの大切なアイラやシルフ、セレスまで傷つくわよ、何とか助けてあげて」


えーー!無茶振りだぁー



『ライム達皆に補助魔法ってかけれる?』



ピキ『それくらいなら詠唱いらないからすぐなの』


ピキ『剣を使ってる人達は身体強化上昇大をかけるの』


ピキ『エルムも魔法使いに魔法威力大幅アップかけるの』


ピキ『ミルムはあいつらの防御は神経麻痺して下げれないから、重力付与するの』


おお!皆凄い、ボクはスライム達の指示に従って手を向けて、スライム達の魔法を放ち、補助魔法をかけていく


『よしこれで大丈夫かな?みんなの動き変わったし』


ピキ『マスターのご褒美欲しいからエルム魔法ましまししたの』


ピキ『ミルムも気分いいから威力ましまし手伝ったの』



え?威力ましまし?何いってるの?大丈夫なの?何か嫌な予感がするけど…

まぁいいか早く倒せるし問題ないでしょ


ピキ『マスターパルムやエルム、ミルム達調子にのってましましした。これ普通の人間反動大きいの効果切れると暫く動けなくなるの』


えーー!それってダメじゃん


ど・どうするのおー


ピキ『屋敷の中ブライトンと捕まってるエレンしかいないの、大丈夫なの』


ピキ『エルム頑張るのご褒美なの任せるの』


ピキ『ミルムいる大丈夫なの』


いやいやあなた達が一番不安だから!

お願いだから余計なことしないでよ


ピキ『ライムのコート少し長くするのマスター守るのマスター油断しないの』


『わかった注意して追いかける』


ボクはお母様達に騎士団は大丈夫な事と、屋敷の中はブライトンしかいない事を教えた。


「お母様エレミア王妃様屋敷の中はブライトンと捕らわれてるエレンしかいません」


するとエレミア王妃にほっぺをつままれる


「エレミア王妃様いたいれひゅ」


「ミレイちゃん!私もお母様と呼ぶならまだ許せるけどこんなよそよそしいのはダメ!エレミアお義母様お姉さまそれ以外受付ません!」


えーー!何言ってるの!そんなの無理だよ、エレミア王妃を見るとニッコリ微笑みながらも凄い圧をかけてくる


うぅ… これ素直にしないとダメな感じだ。


お母様は笑ってるし


はあ…


ピキ『マスター早くブライトン追い掛けないとまずいエレン危ないの』


わかった。


「お母様エレミア… お姉さま急がないとエレンが危ないの」


ボクが促すと二人はボクの手を握り屋敷に駆け出していく


☆・☆

エレミア達が屋敷に駆け出して行った後、苦戦していた姫騎士達が身体の動きが軽くなった事に驚く


「隊長身体が急に軽くなりました!これなら大丈夫です!」


レイカもミレイが自分達に何かしたのは感じとった。しかし激しく動く私達に無詠唱で付与を与えるしかもこれだけの人数に凄すぎる!


レイカは気合いを部下達に入れる


「皆我々は可愛い少女から力を貰ったんだ!その少女がエレミア王妃殿下と国賊ブライトンを捕らえるために追いかけた。急ぎこのゴミをかたずけ追いかけるぞ!」


「「「やぁーーー!」」」


☆・☆


アイラやシルフ、セレス達もミレイからの補助魔法を受け自分達の身体が軽くなった事を感じる


「ミレイお姉さまの愛を感じます。ああー!お姉さまを守るのは私です!お姉さまに与えられた力でこんな屑瞬殺です!」


シルフィも感じ取り自分で身体を抱きしめるようにしぼそり呟く


「ミレイちゃんの愛確かに受け取りました。今度は私の愛も受け取ってもらうから待っててね♪私達の恋を邪魔するゴミ!処分してやる!」


セレスも同じように感じるも反応が少し違う


「ミレイちゃんの私への強い愛確かに受け取りました。でも私は受けとるより与える側なのよ♪私の愛をミレイちゃんの身体に植え付けてあげるから待っててね♪屑はよく燃えるからミレイちゃんに見て貰えるかなぁ」



☆・☆


剣聖のミズキ、シオンも身体の変化に驚く


ミズキとシオンは身体が軽くなり苦戦してた暗殺集団に動きを止め宣告する


「我可愛い女神様の加護を受けし剣聖ミズキ!。下衆な貴様らは終わりだ!」


「フン!邪悪な薬で強くなったあなた達も可愛い女神の加護を受けた私達には無意味よ!」


シュン!


シュン!


男達はいきなり視界から消えた事に慌てる


「「「消えた!」」」


シュン!

ザシユ!

シュン!

ザシユ!


ぎゃーー!

ぎゃーー!


男達は全く捕らえられなくたシオンとミズキ達に次々と斬られていく


「可愛い女神様が涙を流すほど、あなた達は幼い子供を痛めつけたんです!死を持って償いなさい!」


シュン!


「私達の女神を泣かせたあなた達は死しかないから!」


シュン!


ザシユザシユザシユ!

ザシユザシユザシユ!


「あり得ねえーー!」


バタン


「増強した俺達が何もできないなんて…」


バタン


「あなた達は絶対手を出してはならない子供に手をだしたのよ!この屑!」


剣聖達になす統べなく切り刻まれた暗殺集団は全員殲滅された。


全員がたいした怪我もなくブライトンの配下を倒し急ぎミレイ達を追いかけようとするも、魔法効果が切れその反動で全員筋肉痛の症状で動きが鈍くなる


姫騎士団のレイカも膝をつき苦しむ


「魔法効果が切れて身体が痛い…」


アイラと王女二人も苦しんでいた。


「お姉さまの愛がなくなりました。これはまだまだ私の愛がたりないから、その痛みですね」


「ミレイちゃんの愛がこんな感じで私に痛みを与えるのですねはぁ~」


屋敷の手前でそれぞれ苦しんでると、突然屋敷の中から爆発が起きる


ドカーーーーン!

グラグラ


建物の一部が崩れていく


ガラガラ…


皆が唖然とする中


アイラが叫ぶ


「お兄様ーー嫌あーーー!」




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