第101話別れる二人

ボクは、3階キャビンで魔力を注ぎクルーザーを王都に向け走らせはじめた。

するとすぐに、王都から急遽駆けつけたメルアールさんが、3階キャビンまで登って来た。


あれ?この人確か、王都からわざわざ陛下を追いかけ大会会場へ来て、会えなくて、孤児院まで馬を走らせて来たって言ってた人だ…


何か急ぐ事あったんだ…

なんだろう…


「ミレイ殿でいいのか?悪いがこのまま王都に行くのは危険だ!

急ぎ大会会場の港まで戻ってくれるか?」


「え?危険?何かあるんですか?」


「ああ、だから詳しく話すから急ぎ戻ってくれ!」


「いいですけど・・その前に陛下は知ってるんですか?」


メルアールさんは、首を振る

「知らない!すぐに船を止めたかったから、上がって来た。」


「じゃ速度落とすので会場に戻る前に話し合ってください。」


ボクは船の速度を落として1階キャビンまで降りた。

そこには陛下はじめ主要メンバーが集まっていた。


ボクは1階にもある操縦席に座ると、陛下が、メルアールさんに話しかける。


「メルアールどうした?何かあったのか?来てすぐにミレイに会いに行くとは…」


メルアールは、謝罪しながら話す


「すみません陛下… ご・誤解を招く行動を取って…」


陛下を見て驚きながら話すメルアールに、サリアス陛下が、一言告げる


「妾じゃ!疑うでない!話を続けよ」


その言葉を聞いて、安心したのか再び話し出す


「は!陛下、私が王都から追いかけて来たのは、モルドバル公爵が、陛下を捕らえて、政権を奪い取る情報を掴みそれが間違いないと確信したからです。」


えーー!クーデターを起こすつもりなの?

あれ?サリアス陛下は、驚いていない…

メルアールさんの話を聞いている。



「モルドバルは、闇ギルドも掌握しています。

陛下が呪いで残り短いともわかっていますし・・王女様二人も呪いで苦しんでいる事も…

当然船を使い身体の負担の少ない方法で戻ることも…

あれ?陛下もお二人も…あれ?」


メルアールはサリアス陛下と王女二人を見て驚く


「陛下は元気そうですし、それに美しくなってる…え?

私乗り込んですぐに操縦席まで上がったから気がつかなかった…

それにフェアリス王女、チェアリス王女も元気そう…掴んだ情報が間違ってた…

よかったぁ…」


「メルアールよ!呪いは本当じゃったぞ!」


「えーーー!

何でそんなに元気そうなんですか?

それにお若く美しくなられて…

えーー!

それに王女様二人も元気そうですし…

嬉しいですけど、何でですかぁー!」



サリアス陛下は驚くメルアールを落ち着かせる


「メルアール落ち着きなさい!私達の事は後で話すから、結論から言うと呪いは解呪されてます。

それで、モルドバルの馬鹿は、私をまた襲うと言う事か?」


メルアールは頷き答える


「はい!このまま船単独で王都への帰還は危険です。ハッキリ言います。

モルドバル公爵が、陛下を捕らえるために船団を組んで待ち構えるつもりです。」


「ほう… 準備万端と言う事か、なるほどの、それでこれからどうするのじゃ」


メルアールは、ボクをちらっと見て答える。


「モルドバル公爵は、ここまでの行動を起こすような人物では、なかったのですが、ここ最近急に変わって来ました。

陛下達の呪いもモルドバルが関係してると思います。

明らかに誰かが裏にいるような感じがします。

それでモルドバルは、陛下を捕らえてこの国の支配者になるつもりです。」


サリアスは、モルドバルと関係のあった者を考える

『モルドバル公爵か…あの男と交流があったのは確かバイスル国の公爵だったような…』


「モルドバルが妾達を狙ってるのはわかった。

それで妾達は、どうすればよいのじゃ?」


メルアールは、再びミレイをちらっと見て答える


「モルドバルは、陛下を捕らえるために闇ギルドだけではなく、ベントウェイ指揮下にある第一近衛師団、第一遊撃部隊です。

そして、先ほどの会場にモルドバル公爵の諜報部員がいました。

なので、陛下は、影武者で王女様二人は、状態が思わしくないと噂を流しています。」


サリアスは、頷き考える


『なるほどの今の妾の容姿は、似てはいるが随分若いから、影武者で通用する。

それに二人の娘は会場にはおらなんだから、呪いのせいで体調が悪化してると思わせる事もできる。

うむ問題ないようじゃ』


「妾達の体調悪化偽装は、わかった。

それで?」


メルアールさんはボクとポルムを見てる?すぐ横にいるホタルさんかな?

まぁ確かにこんな子供が船を操縦席に座ってたら、変に思うよね・・


「はい!ミレイ様、ポルム様については、陛下も剣聖ホタル様の様子からも情報と間違いないのは確信しました。

それでお二人の力をお借りしたいと思います。

その前にミレイ様に確認したい事がございます。」


え?ボクに?


「ミレイ様この船はポルム様でも動かす事はできますか?」


え?クルーザーをポルムが動かす?

魔力だけの問題だしできるけど


「ポルムお姉さまでも動かす事はできます。でも速度をだすことは、難しいとおもいます。」


メルアールは、それで納得したのか頷き陛下に話す。


「サリアス陛下、これより王都に戻る部隊を分けたいと思います。

先ほどの会場に陛下の馬車を運ばせています。

それで馬車で王都に向かう部隊と船で戻る部隊に分けます。

馬車の部隊は陛下に似た者、王女様二人に似た者が乗って貰い、船は陛下と主力護衛に乗って頂き、ポルム様は、船の方をお任せします。

ミレイ様は、代役の方と馬車の方をお願いします。」


それを聞きすぐサリアス陛下が反対する。


「その作戦を認めるわけにはいかん!

お主の事じゃ馬車の部隊の方が襲撃される可能性が高いのじゃろ!

なら馬車部隊に、ミレイを同行させるなんてできんぞ!」


「陛下お気持ちはわかります。しかしながらミレイ様のお力があれば、襲撃する者を捕らえる事ができます。

それに陛下が、船ではなく馬車に移ったと思わせるので、モルドバルも陛下を捕らえるための部隊を馬車の方に向かわせるはずです。

しかし護衛だけで行くと、全滅も考えないといけません」


すると、王女二人が発言を求める


「メルアールちょっといいかしら?私と妹は、代役必要ありません!敵を引き付けるために馬車で王都に戻ります。」


「フェアリス王女、チェアリス王女、代役でも十分なのです。

恐らくモルドバルは、私が行う会場での偽装を諜報員が見て確実に船より馬車に陛下がいると伝えるでしょう。

モルドバルはそれを聞き馬車を狙う方に、主力の大半を向けるはずです。

ですからかなりの危険が伴います!もし何かあればどうするのですか?」


フェアリスはにっこり笑いメルアールを見る


「メルアール貴方はミレイ様の力を信じてるのでしょう?

なら問題ないでしょ?本物の私達が時々姿を見せれば、より信じるでしょ」


サリアス陛下は、娘達の頼もしさに嬉しくなり、メルアールに告げる


「メルアールよ!娘達の言う通りにせよ!船には、剣王、剣聖、魔導師、他数名の精鋭とポルムだけでよい!

残りは馬車の護衛じゃ!妾の代役は、アスカに任せる!」


メルアールは、納得し、ボクは船を大会会場桟橋につける。


大会会場はメルアールさんの流した様々な噂で大勢の町民が心配して集まって来ていた。


うわーまた人が集まってるよ、メルアールさんどんな噂を流したんだろう・・

初めてだなぁ・・ポルムと離れるの・・

出発前にスライム達と集まって話しよ・・







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