第102話ポルムと二人のミレイ
ボクは、船が会場に着く前に、周りからわからない場所にポルムを連れて移動した。
ボクは、初めて離れて行動するポルムが不安になるだろうと思って、みんなと話をしたかったからだ。
ポルムは予想通り寂しそうにしている。
そりゃ不安だよね、いくらレベルが上がって強くなっていても、今までずっと一緒だったから・・
「ポルムお姉さま、不安だよね、ミレイも凄く寂しいよ。
でも悪い奴らを何とかしないと陛下が捕らわれて、無茶苦茶されてしまう。
陛下は、ボクたちの孤児院を守ってくれると、約束してくれたいい人だから、絶対守ってあげたいの」
ポルムはボクに抱き着き話して来る
ギュー
「ミレイよ、わかってるのじゃ、でもあたいミレイと離れたくないのじゃ!」
ボクもポルムを抱きしめる
ギュー
「お姉さまそれはミレイも同じだよ。
今までずっと一緒に行動してきたんだもん。
ポルムもライムもパルムもエルムもミルムもみんなボクの大切な家族!
だから・・少し離れるけど、ボクたちの大切を守るために、我慢してほしいの・・」
ポルムは黙って聞いている
「それでね、ポルムお姉さまに何かあったら嫌だからパルムに一緒に行ってほしいの。二人ならどんな奴らでも大丈夫だと思うから」
ピキ P『わかったの。ポルム大切な妹、マスターの大切ポルムと守る。』
おお!ごねるかと思ったけどよかった。
ポルムはパルムが一緒に来てくれる事で納得するもお願いをしてくる
「パルムお姉さまがいいならお願いがあるの」
ポルムがパルムにお願いかぁ何だろう・・
ピキ P『ポルムのお願い聞く言ってなの』
ポルムがボクを見つめお願いを言う
「ミレイになってほしいのじゃ」
えー--!
何言ってるの?そんなことできるわけないじゃん!
ピキ P『わかったのマスターになるの』
えー--!ボクに擬態できるの?
ボクがいろいろ考えてるとスライム達が話し合っている
ピキ P『ライム姉さま、マスターの事よろしくなの。パルムの攻撃ないから少し心配なの。』
ピキ R『問題ないの。ミルムの神速と、エルムの絶対防御あるの。マスターは、ライム達が守るの。』
ピキ E『パルムマスターは絶対傷つく事ないの!エルムが守るのマスターの大切も一緒に守るの』
ピキ M『ミルムふざけない!マスターちゃんと守るの。ポルムもパルムも安心するの』
嘘!ミルムがまともに答えてる…
この子達凄くいい子じゃんほんと仲のいい姉妹だ・・
『ポルム、パルム陛下達よろしくね。』
ピキ P『任せるの攻撃来たらバン!するの』
「ミレイよ!お姉ちゃんはがんばるから心配いらないのじゃ!」
よかったポルムも機嫌がなおって
そして、パルムはボクから離れると、ボクそっくりに擬態する。
パァーーーン
「マスターどう?完全にマスターの体液から情報もらったから問題ないはずよ」
えーー!
ち・ちやんと話せてる・・
「す・凄いね完璧だよ・・う・うんちゃんと話せてるし、ほんと驚いた・・」
これたぶん陛下驚くだろうなぁ…
だって完全にミレイだよ!
鏡の前に立ってるみたい…
ポルムは嬉しいのかミレイ(パルム)に抱き着いている
「嬉しいのじゃミレイと一緒なのじゃぁー」
えー-!そんなに嬉しいの?
ピキ R『マスターの情報を取り込んで擬態したポルムは、ほとんどマスターと同じなの。』
そこまで凄いの・・
ちょっと待って!と言う事はボクの情報取り込んでるのはライムとエルム、ミルム3匹ともボクに完璧擬態できるって事?
もう考えるのよそう・・
そうだ忘れないように・・
ボクは、もしもの時のために、ミルムに転移ポイントを船に作って貰った。
よしこれで、ボクたちの準備はOK!
後はどう誤魔化すか・・説明するのめんどくさいから出発するまで、どちらか隠れて後で姿を見せればいいか
うん!それでいこ
船が会場に着くと、
馬車はすぐ近くに運ばれていた。噂を聞いた大勢の町民たちが陛下が心配なのか集まって来ていた。
凄いなまだ朝早いのにこんなに大勢の人がいるなんて、この中に敵の諜報員が紛れてるんだよね
どうするんだろうメルアールさん・・
ボクが心配して船から見ていると、打ち合わせ通りなのか護衛の姫騎士が船から降りて馬車までの道に整列していく
ザッザッザッザッ・・・
そしてわざと目立つように陛下に偽装したアスカさんが、タンカのような物に寝かされ、その周りを姫騎士達が数名で囲み、馬車までの道をゆっくり運んで行く。
陛下は前の大きな馬車に運び込まれ、剣聖と剣王に似た姫騎士二人が乗り込む。
そして王女二人もわざとぐったりとした顔を見せて、女性騎士に抱えられ同じ馬車に運ばれる。
うわーほんと凄い・・これなら完璧だよ
ボクは打ち合わせ通りメイド服を着て、姫騎士に誘導され後ろの馬車に乗り込む。
同じようにメイド服を着た冒険者のメリとマリも後ろの馬車に乗り込む。
サリアス陛下のもう一人の智将と言われるホウセンさんもボクと一緒に同行する事になり、後ろの馬車に乗り込む。
騎士たちは馬車の周りを囲み隊列を組み準備する
ベルビューラから馬車で王都まで約4週間、船だとゆっくりでも10日ほどで着くらしい
護衛騎士達も全員配置に付く。
王女二人は、窓から顔をだして見送りのサリアス陛下(偽物と噂をされてる)に手を振ている
陛下の護衛主力の3人は船に隠れている。
先ほどの騎士が本物だと思わせるために・・
護衛隊長コルネリアが、出発の号令をかける
「隊列王都に向け出発ー!」
馬車が動き出すと、ポルムは少し髪型を変えて、冒険者の装いで船のデッキから手を振る。
その横に馬車にいるミレイと同じメイド服を着たミレイ(パルム)が手を振っている。
フェアリスとチェアリスの二人共驚く
「え?ミレイちゃん?確か後ろの馬車に乗ってるはず…」
「お姉さま、ミレイちゃんは後ろの馬車に乗っていますわよ」
「じゃあれは誰よ!」
「え?」
二人して驚いてると、周りも気が付く
船上の陛下もポルムの横で手を振るミレイに気がつく
「こ・これはどういう事じゃ!ミレイよ!いたずらが過ぎるぞ!」
周りが驚く中馬車のミレイは、ポルムの横で手を振るミレイに叫ぶ
「ミレイ!偽物だってばれないようにサリアス陛下をちゃんと守るのよ」
それを聞いてミレイ(パルム)も叫ぶ
「ミレイ!陛下と王女様をちゃんと守るのよ!」
この後パルムは3階の運転席キャビンに逃げ込む
周りが混乱する中、騎士達は驚きながらも護衛隊長の号令に従い出発していく
ヒヒーン
ガラガラ
馬車はゆっくりと進んで行く
馬車の護衛は、王都から来た第二部隊、現在いる第一姫騎士隊と併せた護衛総勢30名が馬車の前後両サイドに付き馬をゆっくり走らせていった。
馬車が出発してすぐに、サリアス陛下達もクルーザーで出発した。
ミレイに擬態したパルムが船内アナウンスをする。
「今から王都に向け出発するのぉー」
ピィーオー
パルムはゆっくり魔力を注いで行く
ブロロロロ…
ザザザザザ…
安全のため早くに離岸したのだが、このままでは早く着くので、釣りをしながら進む事で陛下たちは納得してくれた。
船に乗るのは、宮廷筆頭魔導師のブレイア、剣聖ホタル、剣王シャルテ、女王陛下の陰の部隊長のサクラ他数名の冒険者数名が同行した。
ブロロロロ…
ザザザザザ…
1階のフロアデッキでは、サリアス陛下がポルムを捕まえて、何でミレイが二人もいるのか問い詰めている
「ポルムよ!何でミレイがここにおる!馬車にいたのは誰じゃ!
ミレイに聞きたいところじゃが、あやつ3階の操縦席に逃げ込みおって、聞く事ができんのでな!
時間はたっぷりあるから納得いくまでポルムに説明してもらうぞ!」
ホタルもシャルテも同じ様に詰め寄る
「そうだぞ!どうしても納得できんぞ!ミレイ様が二人いる説明をな!」
「そうよポルム様、ちゃんと答えてくださいね。」
3人に問い詰められ、ポルムの声が船内に響く
「あたいは、知らないのじゃ!ミレイのアホー-!これどうするのじゃー!」
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