第171話精霊王ファンティーの怒り

レイが影に消え暫くして捕らえた者にレイは隷属された。その瞬間魔力のつながりが切れレイの眷属や深いつながりのある者達は様子が変わる


アイムも今まで指示していたのが急にしゃべらなくなり倒れる

エレミアが変化に気づきアイムを抱き上げる。


エレミアはアイムに呼びかけるも反応はなくエレミアを見つめるだけだった。


『何この子この状態を嫌がっている?離れようと暴れてる・・なぜ何も言わないの?』


エレミアは仕方なくアイムを離す。


アイムは周りを観察するように暫く見回す。


それを見ていたメルティアが何かに気づきアイムの手を握りアイムを見つめる


この子人族じゃない・・

なら念話で伝えなきゃ


『アイム・・ 妖精様私の言葉伝わってますか?』


アイムはメルティアを見つめ頷く

メルティアは納得し話を続ける


『妖精様は契約していたレイと繋がりが切れたから話せなくなったのですか?』


アイムは頷く


『レイは私達が守りきれず奪われてしまいました。それで隷属されてしまったみたいです。申し訳ございません。』


メルティアは深々と頭を下げる


アイムは首をフルフルと振る

メルティアは両ひざをつき両手でアイムの手を握りお願いをする


『妖精様それでお願いがあります。一時的で構いません。この中で妖精様と契約できる者がいましたら、レイが見つかるまででいいので契約していただけないでしょうか?』


アイムは周りを見つめるとミザリーに目が止まるも再び周りを見て最終的にメルティアを指さす


『妖精様私でよろしいのですか?ミザリーではなく?』


アイムは頷く


メルティは嬉しく頭を下げ感謝する


『ありがとうございます妖精様』


その様子をわけがわからず見つめるサリアス達、ただ一人わかっていたミザリーがみんなに説明する。


「アイムちゃんがおかしくなったのは、アイムちゃんが人族ではなく高位の妖精族でレイと眷属契約していたからよ。レイが隷属され繋がりが切れたからあんな状態になったのよ。それでメルティアがアイムちゃんを繋ぎ止めるために代わりに契約を結ぼうとしてるわけよ。」


サリアスが質問してくる


「アイムが話せなくなったのはなんでじゃ?眷属でなくなったからなのか?」


「そうです。皆この事でアイムちゃんに対する態度変えたらダメよ。アイムちゃんは周りを見て誰と契約できるか見てたみたいね。

恐らくこの中で契約できるのは私か、メルティアだけね。


私はアイムちゃんより高位の種族だからアイムちゃんから契約できないし、私は眷属にするスキルも持ってないの。

でもメルティアなら精霊と契約するくらいだからできるはずよ。」


皆が黙って様子をみる。


「どうやら始まるみたいね。」


メルティアが正座し両手をクロスさせ頭を下げる。

アイムは手をメルティアの額にあて言葉を紡ぐ。


すると地面に魔法陣が浮かび上がりアイムが言葉を紡いでいると魔法陣が光メルティアを包む


アイムがメルティアに話しかける


「契約は成立した。あたいはアイム これからよろしくメルティア」


メルティアは頭を下げたまま答える


「はい!アイム様よろしくお願いします」


アイムはメルティアの手をとり立たせ私たちに向かって話す


「ここにいるみんなも薄々気づいてると思うけど、あたいは人族ではない!妖精族なのエンシント・ピクモルスライム 。レイママとの繋がり切れて混乱してた。」



「「「「「えーーーー!」」」」」


皆驚き慌てる


「エンシントスライムって古代種族だょ…」

「ドラゴンよりも強いSSSランクの魔物だよ…」


皆が騒ぐ中サリアスがアイムに近づき話しかける


「アイム様と呼んだ方がいいかのぉ」


「皆にもう一度言う。アイムは繋がり切れてもレイママの子供だから今までと同じでいいの。

メルティアはアイムのもう一人のママなのね。皆はアイムのお姉ちゃんだから」


それを聞いてサリアスがむくれる


「アイム様それなら妾もアイムのママでもいいじゃろ!お願いじゃあアイムー」


アイムにすがりつくサリアスにドン引きする護衛達


「アイムのママは、レイママ、メルティアママ、ミザリーママ、エレミアママです。」


それを聞いてサリアスはだらしなくすがりつく


「アイムは酷いのじゃぁー妾もママと呼んでほしいのじゃぁ~お願いじゃぁ~」


アイムはサリアスの姿を見てため息をつき認める


「はぁ…わかったの。サリアスママこれからよろしくなの。」


「おおそうか、妾もママと呼んでくれるか嬉しいぞ」


サリアスはアイムを抱き上げ強く抱きしめる


ぎゅー


「はなしてなのぉー」


サリアスに抱きしめられ足をバタバタさせるアイム


「ダメじゃ!妾はレイと結婚するからアイムは妾の子供じゃ!だからこれは挨拶なのじゃ」


「わかったのだから離して、今から大切なお話しするからおろしてなの。」


アイムの発言にサリアスは素直におろして、メルティア、ミザリー、エレミアと共にアイムの後ろに立つ


ナンバーズの警戒にあたってる者以外は皆アイムの前に整列してアイムを見つめる


「みんな今から急ぎ撤収してモルトンの孤児院に戻るの。この大陸おしまいなのね。

助けたい人達いるならすぐに教えてあげるのね。」


「「「「えー---!」」」」


それを聞いてみなが騒ぎだす。


「レイちゃんどうするのよ」

「そうだよ!レイちゃんどうするの!」

「なんで大陸おしまいなのよ!」


エレミアも気になり説明を求める


「アイムちゃん大陸はおしまいってどういう事ですか?レイはどうするの?助けに行かないつもり?」


アイムは頷く


「はい!レイは放置してあたい達はすぐに帰ります。」


「「「「「えー---!」」」」」



☆・☆・☆・


アイム達が大騒ぎしていた頃、レイを溺愛する精霊王ファンティーもレイとの繋がりが切れ混乱していた。



『え!ミレイの魔力が感じなくなった!どうして?何があったの?確か別の大陸に行ってるはずなのに・・

暫く何も問題なかったし周りに強い冒険者沢山いたから安心してミレイに頼まれて孤児院の畑の様子見て回ってたのに・・何があったの?急いで調べなきゃその前に・・』


ファンティーはこの大陸の上位精霊たちに声をかけ下級精霊たちにミレイが手を加えた畑を守るようにお願いした。


『ウンディーネ、イフリート、シルフ、ノームあなた達の部下にミレイの手がけた畑を守り多くの実りを与えるようにしなさい!それが終わったら別大陸からの侵入者を見張りなさい』


ファンティーはその後すぐにマリーラ帝国にある精霊がたくさん集まるデラブルーラの森に移動し情報を集めていた。


『皆よく聞いてあなた達も大好きな愛するミレイの魔力が途絶えたわ。この事に関係することを知ってる精霊は全てすぐにここ来なさい』


集まった精霊たちはどうせまた誰かがすぐに助けるのにと言う感じで真剣に考えていない


ファンティーはそんな緩い対応の精霊たちに衝撃を与える事を伝える


『あなた達はすぐに見つかるから大丈夫とか、誰かがすぐ助けるからと思ってるわね。

いいわ今から言う事聞いてそれでもそんな態度でいられるかしら、今回の件で女神グランシア様とソレイユ様が動かれるわ!

それに漆黒の女神クロノラナがもの凄く怒って動いてるから森の一つ二つ消滅するわよ。下級精霊のあなた達はすぐ消し飛ぶわよ。』


それを聞いて精霊たちは震えだす


『わかったらすぐに調べて報告しなさい!』


下級精霊も上位精霊も慌てて散っていく。


ほんとにもう!あの子達はミレイの愛らしさと、あの甘い魔力の魅力がわかってないわね。

ミレイの魔力は側にいるだけで癒され、取り込むと精霊の能力が向上するのに・・

私はあの子の優しい魔力にどれほど癒されたか・・・


人間たちの破壊活動で下級精霊がどんどん減り、それを防ぐために上位精霊と動き回り、疲れ果てた状態で、森で初めてあの子と出会った時、あまりの可愛さとあの優しい魔力に衝撃を受けたわ。


あの時妖精族のスライムが側にいたから直接話せなかったけど、私もすぐ近くで様子を見ていたら、疲れて汚れかけた私の魔力が、癒され綺麗になってたのに驚き、密かに取り込み続けたけど、まさかあの子のステータスに私の名前が上がるとは思わなかった。


あの時ミレイを愛でて保護しようと思ったしね。


今回ミレイを捕らえたのはまた人族かな?

ミレイの状態によってはこの国じゃなく大陸全部徹底的にやってやるの!


暫くして精霊たちが集まりはじめ報告を聞いて行く


報告を聞いて行くと今回関係したのが、ブルドラス公爵派貴族四家、フェルノア侯爵派貴族二家、イオセント子爵派貴族一家、ゲルトラ男爵と言うのがわかった。


さらに首謀者のブルドラス公爵家関連施設に捕らわれてるミレイは、かなり酷い状態だと言うのがわかった。



『これほどの人間の貴族がかかわってるのか・・ミレイは捕まり隷属され酷い虐待を受けていたのがわかった。

なのになんでクロノは何もしないんだ!でもあいつらは闇属性の使い手、あたしには直接ダメージを与えれない・・悔しいがあいつらはクロノに任せるか、多分すぐ近くにいると思うし、


あたしは今回関わった貴族の全ての領地を。断罪する。今回は手加減しない!

この大陸から加護取り上げる!

特にこの貴族たちの領地は全て取り上げる!苦しめばいい!絶対許さない!逃げたらそこの領地も同じように全部取り上げる。』


ファンティーは精霊たちに指示して貴族たちにも目を離さないように命令する。


『今回は徹底的にやるから!下級精霊は貴族たちを徹底的に見張る違う領地に逃げたらすぐに報告!この大陸からあの貴族たちを出さない!ちゃんとできたらご褒美あげるから頑張る。』


精霊たちは頷き散っていく


残ってるのは上位精霊、その残ってる精霊たちにファンティーが命令する


『首謀者たちの領地全域に土、風、火の順で加護を吸い上げなさい!全て消失した時点で警告し水を吸い上げなさい!』


ミレイのあの状態・・・ホントヒドイ 絶対許さない!今回は徹底的にやってやる!


女神グランシア様や創造神ソレイユ様も何も言わないはず。


☆・☆・☆・


こうしてファンティーによってミレイに関係した貴族と関連のある全ての貴族の領地から精霊の全ての加護が徐々に消失し作物は枯れていった。


ゲルトラ男爵領は大小5つの村と町があるが、各町村から次々支援要請が来る


コーデロ村では土地が枯れ芋が全滅したと、高温が続き、風も全く吹かず、村の井戸も干上がった。

村民は森の中にある川まで水を汲みに行き魔物に襲われる者が多数出て、冒険者の護衛と水と食糧の支援を男爵に求めていた。


残りのユーヒトネ村、ザルイラ村でも同様の事が起こっていて支援要請が来ている。


アルメリアル公国ブルドラス公爵は派閥貴族からの報告に頭をかかえていた。


ゲルトラ男爵領全町村、フェルノア侯爵領及びその関連貴族領4貴族全て、イオセント子爵とその関連2貴族の全ての町村で異変が起こっていると報告があった。


農地の作物が枯れていき全ての作物が全滅、気候まで大きく変わり猛暑、豪雨、害虫、と言った被害でとても税を納めれる状況でないと報告が上がる。


ブルドラス公爵は次々と上がって来る報告に頭を抱える


『一体何が起こってるんだ!』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る