第7話エレミア王妃とシルフィー王女

☆・☆・☆

バイスル王国王妃エレミアは、娘の5歳のお披露目パーティーに、陛下と共に主催の席に座り、参加した貴族の挨拶を受けていた。


挨拶を受け合間に会場を見渡すと、あまりこういったパーティーに参加しないベルモルト辺境伯が来ていた。


エレミアは他の貴族が挨拶に来る中、視線はベルモルト辺境伯を追っていた。


こういう貴族同志の集まりは嫌う方が珍しいわね。

今日もそれほど重要でもないから、てっきり来ないと思ってたのに、王都まで4週間近くかかるのに、わざわざ来てくれたのね、何してるのかしら?


上位貴族なんだから、早く挨拶に来ればいいのに・・

あら?子供しかも女の子が二人、そういう事ね・・


ベルモルト辺境伯の横には、第一婦人のミザリーが付き添い、その手を握るのが王妃エレミアの専属護衛のベルモルト辺境伯第二婦人レイカの娘アイラだった。


エレミアは後ろで控えてる、レイカに視線で娘を教えると、軽く頷くとエレミアのすぐ後ろで跪く


「エレミア王妃私の夫と、第一婦人ミザリーと、私の娘のアイラです。

ん?あれ?エレミア王妃今日は珍しくもう一人え?・・・・・ダレ」


いつもはっきり話すレイカが、珍しく口ごもり、聞き取れなかった事が気になった。

辺境伯夫婦を見ると、辺境伯の横に一人可愛い女の子が、一人堂々と父親たちと一緒に挨拶をしている


「あの子がレイカの娘ね可愛いじゃない」


「ありがとうございます。ただ娘は私と同じで、全く落ち着きがなく、もう少し貴族の娘らしくしてほしいと、思うのですが・・」


「フフフ・・いいじゃない元気なのはいい事よ、病弱だとその子も親も大変だもの。

それとあなたが気になってたのは、先ほどから婦人の後ろで、ちらちら見え隠れする子供でしょ?」


そうなのよねぇ、いくら私が王都勤めが長いからと言って、あの人にミザリーとの間に子供ができたって、聞いてない!しかも娘のアイラより、かなり小さい女の子誰だ?


エレミアはベルモルト家の新しい子供が気になり、視線は辺境伯婦人を追っている。


うーん確かに私にも情報がないわね。

もう少しはっきり姿を現さないかしら、こういう貴族のパーティー初めてなのかしら。


レイカの娘のアイラちゃんは堂々としてるのに・・

あらレイカが何かしたのかしら夫人の後ろにずっと隠れてた子供が出て来たわ


『キャァー可愛い!銀髪で色も白くて背中に羽つけたら妖精ね、でもあの子不思議な子ね』


エレミアは、娘二人に小声で辺境伯の子供の存在を教える


「シルフィーにセレスティア、中央の右端のテーブルの近くにいる、辺境伯夫婦の横にいる子供を見て見なさい」


二人は挨拶も一区切りついた時、言われた場所を見ると、ガタイのいい貴族夫婦の横に、可愛いドレスを着た小さい女の子が、母親の陰に半分隠れながら周りを見ていた。


「きゃぁー可愛いー!」

「小さくて可愛いですお母さま」


エレミアは不思議な少女が気になり、娘が持つスキル魔眼で、魔力の識別をさせたかった。


「辺境伯家に、あんな可愛い子供がいたのは驚きよ、でもねあの子不思議な感じがするの、シルフィー魔眼であの子の色見てくれる」


「わかりました」


シルフィーは頷き右目に魔力を注ぐ

『魔眼・・魔力照射!』


「うわー凄い綺麗な色です!七色に輝いてます!

こんな輝き初めて見ます。でも体内魔力が少ないのが気になります。

でも凄く綺麗・・」


七色の言葉に二人とも驚き、すぐ後ろで控えて聞いていたレイカも驚く


「七色!」

「え!・・驚きというか予想以上ね・・」

「陛下これはまさか・・」


レイカの驚きように、王女二人も気になり母に目を向ける

「お母様どういう事でしょうか?」


エレミアは魔力色について、二人に小声で話しかける


「この事は口外禁止よ!ここにいる私達だけの秘密よレイカもね。

二人とも陛下にも、言ってはだめよちゃんと教えるから」


レイカと王女二人は、頷き少女を見続けエレミアは考える


シルフィーの魔眼は、識別の魔眼、魔力の強さ種族魔力を知る事が出来る、七色に輝く魔力なんて聞いたことがない。


人族、獣人、森族、洞窟族、魔族、海族どれも色は違うが輝くほどもなかったと聞く。

まして七色など・・遥かに高位の種族か・・

妖精族?神族に近い何か?


いずれにしてもあの子は、監視対象ね何かあれば保護しないと・・


エレミアがいろいろ考えてると、シルフィー王女が、子供が出て行った事をつげる


「お母様あの子が出て行きました!」


「これは接触するチャンスね、シルフィー一緒に来なさい、セレスティアはここに残ってなさい」


「えーー!私も行きたいのに・・」


シルフィーが微笑みながら話しかける


「あなたのお披露目なのにダメよ!ちゃんと調べて来るから、楽しみにしてなさい」


「わかりました」


エレミア王妃と、シルフィー王女は少し休憩を取りたいと、一時退席する護衛のレイカも後に続く


「シルフィーあの子の魔力察知できる?」


「はい!お母様こっちです」


王妃と王女は王城内を察知した、魔力を追いかける


「お母様いました!」


エレミアとシルフィは、捜してた子供が公爵家のナルシスに近づくところに出くわす


「お母様どうします?」


「少し様子を見ましょう、向こうはこっちに気が付いてないみたいだから、声も聞こえるし、何があったかわかるでしょ」


王妃達は会話を聞き、公爵家のナルシスが難癖をつけ、可愛いメイドを自分の控室に連れて行こうとしたところを、少女が阻止しょうとしたことがわかった。


「お母様行きましょう!これは許されません!」


エレミアは、レイとナルシスのやり取りを見てシルフィーを止める


「シルフィー待ちなさい!もう少し様子を見ましょ、あんなに小さいのにしっかりしてるわね。

いったいあの子何者かしら・・・」


ビシッ!

「シルフェルト公爵家ナルシス様!

貴方このパーティーが誰の主催かご存じですよね!

そのパーティーの席で、王家がパーティーのために派遣を依頼した、メイドに難癖をつける!

この事がどういう事かわかりますか!」


「な・難癖などつけていないぞ!」


「はっきりそう言い切れますか?」


「ああ・・・」


「わかりました。では会場に行きましょう!

主催者のエレミア王妃様に、事情を説明して、貴方が無礼な態度を取られた場所に行って、その近くにいた人達に集まってもらい、証言を取りましょう。

そうすれば、はっきりするでしょう。」


「はぁ?ふざけるな!こんな些細な事でパーティーを中断してみろ大問題になるぞ!

辺境伯家のぶんざいでいい気になるな!」

「はぁーほんと何もわかってないお馬鹿なのですね。

いいですかよく聞いてください!」


辺境伯家の少女がナルシスに教え込むように説明を始める。


「☆王家主催のパーティーで、メイドが公爵家の者に性的嫌がらせをされた。


☆この事をメイドが雇い主の貴族に報告をする。貴族は派遣先の王家関係者に報告をする。


当然報告は、エレミア王妃様の耳にはいる。


その事を聞いた、お披露目会主賓の王女様はどう思うでしょうか?


たかがメイドの被害で、終わると思いますか?


エレミア王妃様も王女様も、同じ女性です!

しかもこの国のトップに立つ、立派な女性です!

たかがメイドの被害で、済まさないと思いますよ!」


あらら公爵家の子供、顔色が変わっていくわ。


「いいですか!エレミア王妃様もお王女様も、例え下級貴族のメイドでも、謝罪されるとおもいますよ!」


「そんな…」


「そうなれば、いくら貴方の言ってる事が正しくて、相手が無礼な態度を取ったからと言って、そこまでする必要が、あったのかが問われます!」


あらさっきの勢いはどうしたのかしら、フフフ


「特に王妃様は、働く女性を支援されるほど、女性を大切にされる方です!

もし、メイドが全く悪くなく、完全な言いがかりだったらどうなるでしょうね。」


あの子凄いいいわ、嬉しくて抱きしめてあげたくなるわ


「いいですか!よく考えてください!王家として開いたパーティーで、貴方がメイドに、如何わしい行為をした事を、エレミア王妃様が知れば、どうなるのでしょうか…

さぁ行きますよパーティー会場に」



へえーあの子私の活動まで把握してるのね・・あらあの子の発言であらあら震えてるじゃない


レイカも少女を見て思う・・あの子が我が家の子供?後であの人を問いたださないと!


「ぼ・ボクは……」


「ぅう・・・ボ・・」


あらあら公爵家のピンチねどうするのかしら・・


「ナルシス様は思い違いをしてただけではないですか?

そうならメイドに一言、謝罪すれば問題はなくなりますよ」


「悪かった私の勘違いだすまぬ」


ペコリ


「はい!謝罪受けとりました。まだパーティー続いてますから、私の事は気にせずお戻りください」


シルフィーは感動したのかずっと少女を見つめている


「凄い・・・」


エレミアも驚き暫く少女を見つめる

何なのあの子!自分の家より上位の公爵家の者に堂々としゃべる態度。

しかも高圧的に来る相手にもひるまず、状況を語り論破する。

それで最後は公爵家の者を助けた・・


あの子の大きさから5歳じゃないわね4歳くらいかしら・・


でもほんと信じられないわ、こんなに気持ちがワクワクしたのいつ以来かしら・・

あの子是非王家に取り込みたいわ・・


「シルフィー・・聞こえてる?」


ダメだあの子もうあの少女にくぎづけね・・


あら移動する見たいね。

でも私たちもそろそろ戻らないと、辺境伯にもお話をしないと


「シルフィー!戻るわよ」


「え?あの子向こうに行きましたけど・・」


「私たちがいつまでも戻らないのはよくないわよ」


「わかりました」


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