第146話ポルムの初めてのお使い(タイガーフィッシュ)
次の日あたいは、レーダー探知機をONして、範囲を広げながら調べた。
近くにはいない。遠くで群れで動いてる。そっかルビーフィッシュは湖をぐるぐる周回している。
下手に動かずここで待って、近くに来た時この新型爆弾で仕留めればいいのじゃ。
問題は、タイガーフィッシュなのじゃ。
そうじゃ困ったらアイムメモ。
☆クルーザー…このクルーザーは、パパに合わせてるので、施設、レーダーを使って巡行速度で走らせると魔力枯渇しますから注意してください。
☆特に新型動力エンジンは全速出せば、ポルムお姉さまは、1時間で魔力枯渇します。
えっ
『………もっと早く見てればよかったのじゃ』
☆獲物について…ルビーフィッシュは、群れで巡回する魚です。
下手に動かず待ってるのがいいです。
タイガーフィッシュは、流れ込む川付近の深い湖の底にいます。
レーダー探知機のONスイッチを左に回せば深さがわかります。
水深が深くなればなるほど青い色が濃くなります。
『ぐっ。もっと早くこのメモを思い出してれば…』
☆レミー湖…もうわかってるからいいのじゃ。あたいは、大きさとか書いてたのでメモを閉じて、川が注ぐ深い所を探した。
あたいは、魔力枯渇にならないように、クルーザーを走らせた。
ちょうどテオラート国との国境が
川になっててその付近を探しかなり深い所を見つけた。
レーダーのスイッチを切り替えて画面を見た。
見つけたのじゃー!
あたいは、船内放送で連絡した。
『タイガーフィッシュ発見!戦闘班はデッキに出て準備してください。』
ナンバーズ冒険者が全員デッキに出てくる陛下と王女は、2階デッキでメイド達とその様子を見てる。
あたいは、3階操縦席から指示をする。
タイガーフィッシュ用にアイムが用意してる仕掛けがデッキのボックスに入ってる。
それを取り出して、道具をセットするように指示をした。
アイムが用意してたのは、綺麗な色の太い釣り竿とアサシンスパイダーの糸が巻かれた大きな糸巻きの道具、糸の先には、巨大な針があった。
あたいは、組立てた釣竿と糸巻きをクルーザー最後尾にあるフイシングチェアーにセットして、餌箱の中から凍らせたオークの肝を針が隠れるように数個刺して、湖に投げ込むように指示をした。
オークの肝は、解凍されると悪臭を放つから、タイガーフィッシュはそれにつられ食い付くらしい。
釣り人は、メリさんそのサポートにマリさんが付く。
エルフのアスカさんとエーデルワイスさんは、それぞれ個性ある弓を装備してる。
龍人族のグランアリスさんと、エリアリアさんは、剣と長い槍を持っていた。
マリさんが大きな針に刺した餌を湖に投げ込む
釣糸は、凄い勢いで出ていく。
暫くして糸は止まり、指示通りメリさんがゆっくり糸をハンドルを回しながら巻き上げる。
ぐるぐるとゆっくり
暫くして餌は水面に上がる。
それを再び投げ込む
これを繰り返す事5回目の時、釣竿が大きく曲がった。
メリさんマリさんが叫ぶ
「「来たあーー!」」
掛かった魚が走り出す。
糸がどんどん出ていく。
糸巻き器もキュルルーと高速で回っている。
あたいは、竿に仕掛けられてるスイッチを押すように指示をする。
メリさんは、竿を支えるのにいっぱいで余裕がない。
代わりにマリさんがスイッチを押す。
すると一瞬竿が光り雷撃が糸を走る
暫くして糸が出て行くスピードがガクンと落ちる。
あたいは、指示をする。
『今です。巻き上げるのじゃ!巻き上げる時竿を湖面に倒して一気に3階デッキに引き起こすようにして竿を起こすのじゃ。
そして竿を再び湖面に倒す。その時に糸を巻き上げるのじゃ。
これを繰り返して糸を巻き取っていくのじゃ。
魚が抵抗して走り出したら、無理に巻いたらダメなのじゃ。
巻き取り器にブレーキがあるからそれをかけながら耐えるのじゃ。』
メリが頷くと引き上げる動作に入る。
身体を激しく倒して起こして、倒しながら巻き上げていく。途中魚も激しく抵抗して再び走りだす。
メリは、竿を縦て耐える。
「ぐあー負けるかぁーー!」
マリも椅子からメリが離れないように太い帯で後ろから引っ張っている。
「ぐうー凄い!身体強化して踏ん張ってるのにメリと一緒に湖に引き込まれそうだ」
再び勢いは弱まりメリは、身体を激しく使い糸を巻き上げる。
魚も抵抗し再び走る。
メリが叫ぶ
「また振り出しだ!くそぉーー!負けるかぁーー!」
メリもマリも汗だくで、床はその汗で濡れている。
繰り返す事1時間魚が潜るのを諦め湖面に上がって来る。
湖面から飛び上がったタイガーフィッシュは、しっかりと釣り針を咥えていた。
タイガーフィッシュは、クルーザーで釣竿を握るメリを睨み水槍を飛ばして来る。
それを弓を構えてたアスカさんとエーデルワイスさんで矢を当て消していく。
『凄い!さすがランカーさんだと思った。』
タイガーフィッシュは、湖に潜り再び浮き上がり今度は、このクルーザーに向かって走って来る。
あたいは、叫んだ
『メリさん!糸を緩ませたらダメなのじゃ!全力で巻いて!針を外されてしまうのじゃ。グランアリスさんエリアリアさん!タイガーフィッシュに攻撃するのじゃ!』
メリは糸を必死に巻き取る。煙りが出るんじゃないかと思うくらいの勢いで巻き取っている。
「うおーー」
グランアリスさんは、水弾が付与された槍を凄い勢いでビュンビュン振り抜いて高速の水弾を飛ばしている。エリアリアさんはも同じように槍を振り抜き風刃を飛ばしている。
タイガーフィッシュは、二人からの攻撃をまともに受けスピードが落ちる。
タイガーフィッシュが再び向きを変えて逃げようとするのをメリさんが竿を縦て止め糸を巻き取る。
「逃がすかぁー!」
マリさんが横から雷撃のスイッチを押す!
雷撃が走りタイガーフィッシュに直撃する。
完全に弱ったタイガーフィッシュにアスカさん達が矢を放つ
タイガーフィッシュは、完全に動きを止めゆっくりとクルーザーに寄せられて来る。
タイガーフィッシュが暴れる寸前にグランアリスさんとエリアリアさん二人がとどめを刺す。
あたいも陛下達も歓声をあげる
「やったぁー!」
「「すごぉーいすごぉーい」」
「見事じゃー!」
釣りあげた二人が雄叫びをあげる
「「獲ったぞぉー!」」
それからが大変だった。
メリさんが顔を紅潮させて叫んでしまったから…
「これ凄く楽しいー!最高ぉー!疲れたけどドキドキが止まらない!」
それを聞いた残りの5人がじゃん拳を始めた。
えーー!またやるのー
釣り上げるのに2時間かかったんだよ。
確かにまだまだいるけど…
あたいは、好きにさせる事にした。
陛下達も楽しそうだし、あたいはその間、魔力回復するし。
陛下の護衛のシャルテさんホタルさんも釣りたそうにしてるけど、ぴったり横に立って見てる。
『二人共我慢してるなぁ…』
じゃん拳の結果
アスカ→エリアリア→グランアリス→マリ→エーデルワイスの順になった。
まず一番手のアスカは、タイガーフィッシュと死闘1時間、タイガーフィッシュが湖面から飛びはねた時に、糸が緩み針を外されて逃げられてしまう。
アスカは、叫んだ後落ち込む
「し・しまったあー!」
回りはクスクス笑っている。
エリアリアがアスカの肩を叩き慰める?
「がっかりするな、この水漣のエリアリアが代わりに仕留める。」
それを聞いたマリがボソッと呟く
『ポンコツの間違いでは…』
結局エリアリアも全く同じ場面であわあわして、逃げられてしまう。
「待て待ってくれーー!」
それを見てアスカが笑いながらエリアリアの肩を叩く。
「針を外されたら待ってくれませんよ。」
エリアリアは悔しそうにしている。
「ぐぬぬ…もう一度チャンスを!」
そこにグランアリスが来てエリアリアに告げる
「残念じゃったな。アスカの失敗を見てるのに同じ過ちを犯すとはのぉ…くっくっ。心配しないで私に任せよ!奴のパターンは把握した。問題はない!」
エリアリアは、竿をグランアリスに渡す。
グランアリスは、竿を受け取り席に座り合図する。
補佐についてるマリが餌を投げ込む。
暫くして魚はヒットし、格闘が始まる。
1時間して、タイガーフィッシュが湖面に飛び上がり針を外そうと空中で暴れる。
それを上手く対処して、次に備えるグランアリス
「次は浮かび上がって来てこっちに来る。」
予定通り浮かび上がって来てタイガーフィッシュがクルーザーに向かって走り出す。
グランアリスは、すぐにものすごい勢いで糸を巻いていく。
ところがタイガーフィッシュは、すぐに反転して走りだす。
マリが叫ぶ
「グランアリス!巻くの止めてフリーにして!」
凄い勢いで巻くグランアリスの手は、止まらない。
「な・なんじゃとぉーと・止まるかぁー!」
当然負荷のかかった糸は耐えれず切れてしまう。
負荷のなくなったグランアリスは、椅子からのけぞる
「ぬわーー」
回りはクスクス笑っている。
マリは3人が連続して失敗しているのでサポートに徹すると断り、エーデルワイスが席に着き釣りが再開される
「私は作戦があり自信があります。皆様のお手本になる釣り方を見せてあげます。」
そう言って釣り始めたけど、あたいはあまりわかって無さそうだったから諦めて見ていた。
魚が潜る疲れて少し巻き上げるを繰り返して、魚が湖面に向かって走り出した瞬間雷撃を与える。
それも何度も繰り返す。
あーあそんな事したらって思ってると、魚が湖面に上がって来るのではなくクルーザーの真下の方に移動して、クルーザーを回転させるように動きを小さく回る。
クルーザーは、コマのようにくるくる周りだす。
陛下も王女様も悲鳴をあげる
キャーーー
あたいも落ちそうになり、悲鳴をあげる。
「お・落ちるーー」
もう船上は悲鳴が上がりパニックになっている。
結局その隙にタイガーフィッシュは一気に湖面まで飛び上がり針を外しクルーザーの直ぐ横に着水して、大きな水しぶきをあげクルーザーの私達はずぶ濡れ。
おまけにタイガーフィッシュは、尾びれで水面を激しく叩き水を大量に飛ばして潜って行った。
その大量の水を浴びたあたいらは、もう釣りどころではなかった。
エーデルワイスは、皆にしきりに謝り最後は逆にみんなに笑われていた。
あたいらは、釣りは一旦中止して、風呂に入り食事を取りこの日は暮れた。
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