第118話バイスル国の変化

何か大変な事になりそうだけど…

まぁこれでこの国の上の人達には、陛下のこと認めてくれたし、この国も大丈夫かな…


これからどうしょうかなぁ…

ミルムが一度行った場所なら転移できるようになったから、大好きな母様に会いに帰りたいな…


心配しないように書いた手紙届いたなかぁ…


ミザリー母様会いたいです…


☆★☆★☆レイ転移後のバイスル王国…


ブライトンの屋敷崩壊から数ヶ月バイスル国内は大きな変化が起きていた。


エレミアは、王都に戻り国王の補佐官として、事件の調査と各領地の運営状況を調べさせた。


そしてレイが力を注いでいた、孤児院の見直しを行った結果、複数の町で孤児院の運営状態が酷いのがわかった。


エレミアは、運営の酷い孤児院を閉鎖し人員を見直して、孤児達と職員を全てモルトンの孤児院に移動させた。


モルトンの町の孤児院も、敷地が大幅に拡張され、レイの作った設備は、そのままだが、宿舎は増築され、孤児の数も100人近くになっていた。


孤児院は男子棟・女子棟・生活棟・工場棟・成人宿舎棟・教育棟・資材保管庫・レイハウスに別れていた。

他にも妖精の畑や、訓練場など敷地面積は、50倍の10000㎡まで拡張された。


孤児院のすぐ隣には、ベルモルト辺境伯領領主別邸があり、ミザリーとアイラ、メイド達が移って来ていた。


さらに周辺は、レイの作った妖精の畑の影響もあり精霊の加護が残り、多くの作物が実った畑が広がり、孤児院中心に1kmは、特別区に指定され許可証の持つ者以外は、町の警備兵士により厳しくチェックされていた。


孤児院内には、エレミア配下の姫騎士が常駐し、それぞれの得意分野を活かし午前中は、孤児を教育棟で勉強と体術を教え、午後からは、訓練場で鍛練をしていた。


子供達は、午前中は、読み書き、算術といった基本教育を受け、後は選択した専門教育を受け、午後からはレイの工場で働いている。


エレミアもミザリーも子供達には、働くのは成人してからでもいいと言ったが、子供達はレイの役にたちたいからと、そのまま工場で洗剤を作っている。


冒険者ギルドもゴブリンやオークといった、人を襲う魔物の討伐を積極的に行い、不必要な高ランクの魔物討伐をしないよう注意喚起し、洗剤の素材の集めの依頼、町の美化に関する依頼、を多く出していた。


結果とんでもない事が起こった。


高ランク魔物討伐を禁止したギルドは、代わりにオークやゴブリンのコロニー討伐の金額を上げた。


当然油断さえしなければ、楽に倒せる魔物が、以前とは比べ物にならないくらい高額になったため、冒険者が殺到した。


ギルドもその辺考え受ける者は最低5人以上のパーティー最低ランクD以上と取り決めパーティーランクC以上と言う条件をつけた。


その結果オークやゴブリンのコロニーは激減した。


そして低ランク冒険者や女性冒険者の被害がなくなり、レイの影響で冒険者の意識も変わった冒険者達は、今まで少なかった町の美化に関する依頼や、薬草採取、洗剤素材採取の依頼を積極的にこなしていた。


環境や美化に無関心だった商業ギルドなど各組合ギルドが、資金を提供する流れが出来上がっていた。


そうした事があり町はきれいになり、糞尿に集まっていた虫が減り、疫病で苦しむ者が激減した。


そして町に活気が出て多くの者が働くようになり、噂を聞きつけ他の町や村からの流入などで人口が増える状態になった。


そして町民の衛生に対する教育も行い、罰則も設けた。

町の住民も心に余裕ができ協力するようになり、明るく綺麗な町として周辺にも知れ渡り、人口の流入が加速した。


モルトンの代行官のミザリーは、そんな町の状況を見て悩んでいた。


『まさかここまで町の人口が増えるとは…

しかしほんとにレイは凄いわねぇ…

たぶんあの子は、いずれこうなることを予測していたのかしら?

送られて来た手紙の中に、お願い項目の中に、まだ私では理解できないところ…

これがこの人が増えた後の事なんじゃないかしら…

もうすぐ来るエレミア殿下と相談が必要ね』


…☆………☆……


そんな発展していくモルトンの町に再び王家の紋章のついた豪華な馬車と後に数台の馬車が続いて入って来る。

馬車一行は、町中を広く見るように走った後、管理区域にある領主別邸に入って行く、その後を追いかけるように、バイスル国冒険者、商業、薬師、鍛治の各ギルド統括責任者の馬車が続く、別邸ではモルトンの各ギルド責任者が整列して待っていた。



馬車からエレミア王妃、環境、治水各責任者が降りて出迎えを受け屋敷に入って行く、各ギルドの馬車からも責任者が降りて屋敷に入って行く


エレミア一行は、応接室で休憩した後、会議室に入って定例の会議が始まる。


会議では、ミザリーが冒頭挨拶をして始まる。


エレミア王妃殿下長い道中お疲れ様でした。皆さまもお疲れ様でした。

会議の後は、隣の孤児院の大浴場でゆっくり疲れを癒してください。

それでは会議を始めさせて頂きます。」


会議では、環境モデル都市モルトンの現状報告がベルモルト辺境伯環境・開拓責任者ミザリーによって報告される


「では、現状を報告させて頂きます。

私が一番信頼してる知識ある者からの指示で、町の美化と衛生面を徹底させました。

まず町の環境美化を守り維持する人員確保するために、冒険者ギルドへのお願いをしました。」


ミザリーは回りの反応を見てエレミアを見る。

エレミアは頷き先を促してくる。


「冒険者ギルドにお願いをしたのは、オークやゴブリンの討伐です。

特に人の特に女性を襲うゴブリンやオークをコロニー化する前に潰すお願いです。」


エレミアが質問をする


「それが人員確保に繋がるのでしょ?興味あるわ…」


「そうです。まず高ランクの魔物は、無理に狩らず人里近くで脅威となった時のみクエストを出すように指示しました。

あと薬草採取方法、注意事項を低ランク冒険者に説明も徹底させました。

環境維持に関する依頼も増やしました。

当然これでは、冒険者は動かないと思います。

そこで必要以外の高ランクの魔物の討伐を禁止にし罰則を設けました。

代わりにオークやゴブリン討伐の報酬を今までの倍に上げました。」


王都冒険者ギルド統括責任者のチェルドルトが納得したように話し出す


「なるほど素晴らしい!そういう事ですか!高ランク冒険者は、高額の報酬が今まで得られてた魔物討伐が禁止されても、逆に楽に倒せるオークやゴブリンの報酬が上がればそっちに行きますね。

そして低ランク冒険者や女性冒険者は、被害にあっていたオークやゴブリンに襲われる心配が無くなり、薬草や美化の依頼を受ける者が増えると…素晴らしいです。」


ミザリーは、微笑み説明を続ける。


「チェルドルトわかりやすい解説ありがとう。つまりそういう事です。

低ランク冒険者や女性冒険者の死亡等で離脱が無くなった人員は、安全でそこそこ報酬のいい依頼を受けます。

その結果がこの町の環境・美化が維持できてるわけです。

当然この状態を維持するために町民・町を出入りする者へ通達・監視・罰則等で、環境維持が継続できてるわけです。」


皆納得したように頷く


「ただ人口が増えて別の問題が発生していますが、改善対策も検討しています。町の環境美化については、皆さまがここに来るまで、見て頂いたからわかると思います。」


王都から来た各ギルドの責任者が皆思いだしながら頷く


エレミアも頷き感想を述べる


「ほんとにきれいな町に、変わったわね。独特のあの嫌な匂いが全くしないわね。

それに馬車で走っててもガタガタしないし…

まだまだ感じた事あるけど、ほんとに素晴らしい町だわ…」


『ミレイは、さすが妾の期待通りの子じゃなフフフ』


「殿下これらは、私環境モデル都市代行官の補佐をしてくれているシルフィー王女にセレスティア王女、アイラ達のおかげなんですよ。フフフ」



王女二人の名前が上がったことに一同驚く


エレミアも娘二人があの子からの手紙を読み懇願され好きにさせたが、まさかここまで能力を発揮するとは思ってなかった。


娘達がここまで行動を起こしたのも、ミザリーからあの子が生きていて、戻るのに時間がかかり、町と孤児院についてお願いが書かれた手紙が届いたと連絡が来たからだった。


確かにあの時わかっていたけど、確信はなかった…

けどあの子が生きていて、手紙が来たと聞いた時ほんとに嬉しかった。


私も王都に戻ってすぐだったから、また引き返すのも陛下に悪い気がして、打ち合わせのためにミザリーに王都まで来て貰った。


そして手紙の内容を見て驚いた。


「わからない項目もあるが、孤児の教育までとは…あの子の事だ何か考えがあるのだろう…」


エレミアは、ミザリーと話し合い全面的に協力する事を告げる。

王女二人も協力を願い出て、あまりにも二人の意志が強く国王陛下もエレミアもおれ、王女二人は、そのままミザリーに同行して、モルトンに向かった。



☆手紙については、孤児院の事町の環境整備について書かれていた。


孤児院はについて…


☆学校を作り、孤児の子供達や、町の子供達に勉強を教えてほしい事、

☆洗剤の素材を低ランク冒険者に採取依頼を出して材料を確保してほしい事

☆経営の苦しい孤児院の子供達を保護してここに集めてほしい事


町の環境について

☆公共トイレの整備清掃

☆町全体を整備して、水溜まりや、糞尿の匂いを完全になくす。


★その他にも複数項目あり…


☆……


ミザリーは報告する


「先に上げた項目を行った結果、以前とは違う綺麗な町になりました。皆さまがここに来るまでに見て感じて頂いた通りです。

まだ他にもいろいろ聞かないとわからない項目ありましたが…それはわかり次第行う予定です。」


王都から来た各責任者は、孤児院の設備も驚いていた。


エレミアは、王国の改革のために同行した各責任者に、各ギルド、行政が協力して取り組む事がいかに重要かを説明した。


特に人族の病気発症率、死亡率等々このモデル都市と同じ規模の町と比較して説明した。

同行した各責任者は、いかに環境整備が重要かを知りミザリーにそれぞれ質問をしていた。


エレミアは、ミザリーと話し合う各責任者を見て思った…


『あの子のおかげでこの王国は、大きく変わる!

民の寿命が伸び人口が増え、疫病で苦しむ人が減る。

ほんとに素晴らしい事だわ…

二人の娘には是非ともあの子の子供を生んで貰いたいわ…』

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