第184話ミレイと商業ギルドと屋台

ヤバイ!絶対ばれたら孤児院に連れもどされてお母様に叱られるの。

だから絶対騙し切るしかないの!


よし!


「うにゅ~誰なの。ミユはそんな名前じゃないの。お姉しゃん誰れすか」


ズキューン

はぅーー

か・可愛い・・

だ・ダメよしっかりしないと


「ミ・ミレイ様だ・騙されませんよ。そんな耳をつけても偽物ってわかるんですからね」


よし!勝ったのぉ!

これだけ動揺してるなら正常な判断できないのね。

ここで狐耳触らせれば本物そっくりに作ってるから騙せるのね。


「うにゅお姉しゃんミユの耳触るです。狐獣人ってわかってくれるの」


メリルはかなり動揺するもレイの提案に誘導され耳を触る


「ムニュ・・ピコピコ え?動いてる… これ本物?嘘・・」


ここでダメ押し


「お・お姉しゃんくすぐったいのぉ はぅ~」


ズキューン


『ダメ・・・ こ・これは可愛い過ぎる・・ もう何が何だかわからない…』


「ごめんなさいミユちゃんお姉さん熱あるみたいだからお家に帰るね。ミユちゃんまたね。」


メリルはそう言ってギルドを出て行った。


やったぁー!勝ったのぉー!


Vなのぉー


ミレイが喜んでいるとギルマスが近寄って来て話しかけてくる。


「ミユちゃん何か凄く嬉しそうね。いいことあったの?」


ごまかさなきゃ


「さっきのお姉ちゃんがね。ミユのこと可愛いって言ってくれたのぉ」


ギルマスのルミナスはミユの笑顔に心を射ぬかれる


ズキューン


あかん!この子の笑顔は人をダメにする

耐えろ私!


「み・ミユちゃんお願いがあるの。も・もしよかったら中央広場にある屋台でミユちゃんの考えたレシピで作った物を売って貰えないかな?」


「ほぇ?屋台れすか?」


ぐっ…

仕草が可愛い過ぎる…


「そ・そうだ。屋台はギルドで設置してある常設屋台があるからそれを使うといい。危険な物以外なら何を売っても構わない。

屋台使用料もギルドで持つ。どうやってみない?」


レイは当然の疑問を投げ掛けるしかも可愛い仕草で


「ほぇ?どしてそこまでしてくれのれす?」


ぐっ…


「こ・これは私の勘だ。ミユちゃんはまだ他にもいろいろレシピ持ってそうだから、そのレシピを使ってモルトンの人達を喜ばせてほしいの」


レイはギルマスのモルトンの人達を喜ばせての言葉に快諾する


「わかったの。ミユに任せるのぉ」


「ありがとうミユちゃん場所はこのお姉さん達が案内してくれるからね。」


レイはギルマスのルミナスさんにお礼を言って別のお姉さんに手を引かれる。


「ルミナスお姉しゃんミユに親切にしてくれてありがとうなの。」


ズキューン

ぐはっ


ルミナスは横にいたギルド職員のジェニー達に後を託す


「ジェニーにフレイマー聞いての通りよ。後の事は頼んだわよ。」


まだよ・・必死に平然さを装い歩いて立ち去るルミナス

カウンターの中に入り職員用扉を開け中に入ったところで鼻血を出し倒れる。


ボトボト

バタ


中にいた職員は慌てて駆け寄る


「ギルマス!大丈夫ですか・・・しかしよく耐えましたね。尊敬します。見ていた私たちもクラクラしてましたから、部屋に運びますのでゆっくりお休みください。」


ギルマスが退出しミユの対応を任されたジェニーとフレイマーはお互い頷き覚悟を決め対応する


「ミユちゃん私たちが屋台の場所まで案内しますね。申し遅れました。私はジェニーと申します。」

「ミユちゃん私はフレイマーと申します。これからよろしくお願いします」


レイは二人の手を握りうるうるさせ挨拶をする


「ジェニーお姉しゃんミユ歩くの遅いからよろしくなの」

「フレイマーお姉しゃんミユ頑張るからよろしくなの」


ズキューン

ズキューン


はぅ・・  破壊力が半端ないはぁはぁ・・この子マジやばいわ

ぐぅ・・  可愛すぎる・・ はぁはぁ・・意識失わないようにしないと


レイは二人に案内され中央広場に着くとギルド所有の屋台を見せてもらった。


「こちらが等商業ギルドが所有する屋台になります。届出等全て済んでいます。いつでも始めることが出来ます。」


フレイマーが営業時間や注意事項を説明する


「ミユちゃんよく聞いていてね。屋台での営業可能時間は朝8時~夕方17時までです。

特にミユちゃんは小さいので変な男に気をつけて下さい。

一応念のためにギルドから護衛を出しますね。

もちろん高ランクの女性が護衛に着きますから安心してください」


レイは護衛が付く事に驚く


えー--!

何で?

これっておかしいよね?普通護衛何て付かないよね


「あのぉ・・どうして護衛なんか付くんですか?普通ここまでしませんよね。」


ジェニーが答える


「子供は国の宝です。粗末に扱う事は罰せられます。だからもしもの時には周りの人達が必ず守ってくれます。念のためギルドからも護衛を出すようにとマスターの命令です。」


レイはあまりの変化に驚く

ボクが孤児院の子供達を助けた時と全然違う・・

これなら安心だね。よぉーしモルトンの人達に喜んでもらう物考えなきゃ


「お姉しゃん説明ありがとなの。材料揃えて明日9時くらいに来ますの。」


お姉さんたちはボクを送っていくと言ってくれたけど、僕が孤児院にいる事ばれると大変な事になるから必死に説得して帰ってもらった。


「ほんと大丈夫?お姉さん達も強いからミユちゃん守れるよ。」


「大丈夫なのお家遠くないの帰れるのね。」


お姉さん達は何度もミユを見ながら戻って行った。


ボクも帰って明日の準備しなきゃ

なんかワクワクするの。楽しみぃ~


☆・☆・☆・

レイがまだ中央広場にいた頃先に孤児院に戻ったメリルは真っ先にミレイの存在の確認に向かった。


念のため孤児院の入り口に立つ姫騎士に聞いてもミレイは外出はしていないとの事だった。


メリルは歩きながら考える。


『商業ギルドで見たのはミレイ様じゃなかった・・でも私は幼い時からミレイ様の事は専属メイドとして接してきたからわかる。

あの匂いと暖かい魔力は間違いないと思ったのに・・別人だったらここにミレイ様はいるはず。

いなかったらミザリー様に報告してどうするか決めてもらいましょう』


途中ララに会いミレイがいるか尋ねる


「ララちゃん今ミレイちゃんどうしてる?」


ララはあっさり答える


「さっき部屋に行ったらいなかったよ。他の子に聞いたらお昼前にはいなかったって言ってたよ。」


「やっぱりね。ありがとうララちゃん。後で集まってもらうかも知れないから」


「わかった。みんなにも伝えておくね。」


メリルはレイがまだ戻っていないのを確認して別邸に向かいミザリーに報告をする


「ミザリー様ご報告したいことがございます。」


ミザリーが入室を促すとそこにはエレミアとメルティアの二人の王妃がいた。


えーー!あっそうか!転移ゲートか・・


『どうしよう報告・・』


メリルがためらってるとミザリーが先に発言する


「ミレイの事でしょ?部屋にいなかったのでしょ」


先に言われ驚くメリル


「え?ご存じだったのですか?」


二人の王妃も私達のやり取りをニコニコしながら聞いている


「お昼前にミレイが孤児院を出て行ったと報告があったわ。それでどこでミレイを見たのかしら教えてくれるメリル」


私は商業ギルドでの出来事を報告した


「はい!私は資材調達の事で商業ギルドの担当者と話をしてる時にギルドに入って来た銀狐獣人の子供からミレイ様と同じ匂いと魔力を感じたので驚きました。」


ミザリーも二人の王妃もそれを聞いて大笑いしている


「あの子なりに考えたのねフフフ」

「面白過ぎるわミレイちゃんアハハ」

「銀狐って意味わかってるのミレイちゃんフフフ」


メリルは巧妙な変装だったことを伝える


「殿下もミザリー様も笑い事ではございません!耳を触った時本物だったんです。耳も動いたし・・

ただあまりにも可愛くて倒れそうになったので慌てて帰って来たんです。」


ミザリーは少し考えメリルに命令する


「メリル恐らくミレイはずっと引きこもってるからその反動だと思うの。暫く様子を見ます。

ミレイが帰っても知らないふりをしなさい!この事は全員で共有する事。あの子が満足するまで見守ってあげましょう。

皆にはミレイが変装して出て行っても気が付かないふりをするように伝えなさい。」


「はい!わかりました。でも一人で出歩かれるのは危険かと・・」


ミザリーはクスクス笑うその横でエレミアがメリルに微笑みながら話す


「メリル心配いらないわよ。こんなご褒美ミレイ大好き嫁たちや護衛、冒険者が放っておくわけないでしょ。

それにあなたが倒れそうになるくらい可愛いかったのでしょ。私たちに任せなさい。」


メルティアも嬉しそうに話す


「ハートレイ達の事で少し気分が沈んでいたからここに来てよかったわ。ミレイちゃんに癒してもらいましょうかフフフ」


メリルは殿下たちが楽しそうに打ち合わせするのを見ながら部屋を出て孤児院に戻って行った。




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