11話ー➄ 再生のエリー





 僕は朧げな場所で気がついた。



「ここは……どこだ?」



 いや……知っている。見覚えがある。

嫌というほどに焼き付いている……ここは僕らを改造していた実験施設の監獄だ。


 隣の空間は鉄格子で仕切られており、確かエリーがいるはずだ……

施設中に響き渡る悲鳴とキメラの声が、冷たい空気に混じって耳に届く。


 闇に包まれた監獄の中で、記憶の底から引きずり出された感情が再び蘇る。



「夢か?そういえば僕は何をしていたんだったか。昨日は新薬投与で……腕は崩れたんだっけか?」



 僕は手で顔を拭った。しかし僕の顔は血まみれになってしまった。



「あぁ。そうだった。いつも実験が終わると血まみれで、これは......僕の血か?」



 そうすると隣の監獄から、何がが這いずる音が聞こえる。



「あれ。隣はエリーの部屋じゃ……」



 エリーの部屋の方を見ると、うごめく肉塊のようなものがあった。

僕は本能的にそれがエリーではないと感じた。


 実の兄弟でもないのに、直感的にそれを確信できることに少し違和感を覚える。



「……エリーはどこだ……」



 その時......



「被検体056番。何言ってやがる?狂っちまったか?妹はとっくに実験で死んだじゃねぇか。」



は?何を言っているんだ......こいつは......



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る