第10話 運命の分岐点:ソロモンの教本

10話ー① 早くも瓦解!?『大土下座作戦』!!



 


 帰還して少し経ってから、エルガリブとベレスが意識を取り戻した。


 僕はその瞬間を待っていたかのように、二人にこれまでの経緯を詳細に説明し、心からの謝罪を述べた。


 エルガリブは僕の謝罪を聞くと、勢いよく声を上げた。



「やめろ。俺が苦しい……前衛専門と謳っておいて、後衛から謝罪!?前衛失格じゃねぇか!!プライドがズタズタだぞ!!」


「くっそぉ!ルシアっちがいなかったら即死ってぇ!?おいおいおいおい、ガリブ!!呪術について猛勉強だ!!焼肉はなしっしょ!!」



 やはり、この二人はどこかズレている……

謝罪は必要だったし、するべきだったと確信しているが……


 それがどうやら二人のプライドをズタズタにしてしまったようだ。


 ガリブとベレスの反応を見ながら、僕はそのことを痛感していた。


 彼らの目には未だに闘志が宿っているが、その内側では屈辱の炎が燃えているのが分かる。



「おうよ!焼肉なんて場合じゃねぇ!同レベルの呪術師が来ても二人で殺し切れるようになろうぜ!!」


「よぉし!早速特訓っしょ!!終わったらあたしら二人で呪術師関連のクエストを受けまくる!」



 うん?頭がおかしいのか?病み上がりだぞ?


 そう思ったのも束の間、意識が戻ってわずか数分で二人は立ち去ってしまった。僕らへの別れの挨拶さえも忘れて......まるで暴風のようだ。



「変わった人たち……」


「僕の親友だもの……変わってない方がおかしいよ。」



 二人が帰ってしまったので、事後報告は僕ら二人ですることになった。







 僕たちは、相変わらず厳重すぎるセキュリティを突破しながら、再びギルド内の応接室へと向かった。


 その鉄壁の守りをくぐり抜けるたびに、緊張と期待が交錯する。

廊下の重厚な装飾が目に映る中、僕たちは静かに歩を進めた。



「……またこの扉かよ。今度は誰がいるんだろう。」


「アファルティア様だといいですね。ルークさん?」



 敬語怖い……やめて……



 そう思ったが口にはせず......僕は扉をノックした。



「どうぞ。入って~。」


「上位神 序列13位 Aランク ルーク・ゼレトルス。と序列15位 ルシア・ゼレトルス両名、入室致します。」



 あー男の声からして……アファルティア様じゃないわこれ。終わった。


 そうして重厚な扉が開き僕達は中へと入っていった。



「よく来たね。ささ、座って座って。」



 そこには、豪奢な装飾が施されたローブを纏い、巨大な魔導石が埋め込まれた杖を手にした、銀髪の超絶イケメンが座っていた。



「本日はよろしくお願い致します。」


「よろしくお願い致します。」



 銀髪の男はにっこりと微笑んだ。



「堅苦しくなくていいさ。お茶やお菓子でもつまみながら、気楽にね?」



 いや、誰だよ!?早く名乗ってくれよ!?

気楽にと言われても、初対面の目上の人にそんなことできるか!!......


そう心の中で叫んだ。



「そういえば自己紹介がまだだったね。今回の事後報告を聞くことになった、

十神柱 序列10位 魔道神 ソロモンさ。よろしくね~。」


「!?」


「!?!?」



 十神柱!?しかも......魔道の極みを追求したと言われるソロモンだって!?


 僕の計画、『アファルティア様に土下座して黙っててもらおう作戦』が早くも粉々に瓦解した。


 いや、まだ大丈夫なはず......あの神術は誰にも知られていない。

僕は報告書に、あくまで隠し持っていた魔道具の爆発と記載した。


 すると、ソロモンは穏やかな表情を崩さず、口を開いた。



「まず君があそこで使った神術は~原初神の雷槍かな?」




あ、これは............


......アカンやつや......

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