第66話 集う、異端神共......

66話ー① アンチヴァラル集結




 ――異空間を不気味な音を立てて移動するカリウス。


 その内部は、棺桶の中のように静まり返り、360度のフルモニターが映し出す風景が次々と変わっていく。

 浮遊する10つの席には、アンチヴァラルの各部門を率いるトップたちが座っていた。


 空間全体に漂う重厚な緊張感......

 敵か味方かも見極められていない、異なる背景を持つ者たちが一堂に会する、奇妙で危うい集会だった。



「じゃー始めるよ。初めてあったもの同士もいると思うから自己紹介をしよう。」


「おい雑魚。んなもんどーでもいんだよ。ここは幼稚園の仲良し会か?あぁ!?」


「......オンラインとか言ってたのに来てくれてありがとう。」


「うるせぇ!殺すぞ!俺様は品定めに来ただけだゴラ!!」



 僕が話を始めようとした瞬間、アルクがその場を睨みつけた。

 オンライン参加の予定だったはずが、何だかんだ言いながら現地に来てくれた。

 しかしその鋭い目は、まるで獲物を狩る鷹のように他メンバーを見定めている。



「まぁいんじゃない?アックルーの事は私ら知ってるし?そのうち覚えるでしょ〜。」


「とりあえず集まったんだから酒飲もうぜ!!」


「そうよ!酒っしょ!」


「んだよこのゴリラ共はぁぁ!?テメェこんなんと仕事しろってかぶち殺すぞ!!」



 ......アルクの怒声が響き渡る。


 その一言に集まった一部のメンバーが吹き出しそうになるが、笑いはすぐに飲み込まれた。

 .......まぁゴリラという意見には正直賛同せざるおえない。しかし二人は戦闘では一騎当千の力を持つ戦士だ。

 当然通常時の戦闘力はアルクに劣るが、何せ彼らには根源共鳴がある。



「とり。落ち着く。うるさいから。」


「あぁ?このクソ幼女......テメェもぶち殺されてぇか??」


「う〜ん。ボクのエリーを殺しちゃうの?その発言はちょっとぉ見逃せないよ?」


「糞ガキ。やんのかあぁ!?」



 アルクの威圧に対し、ハルくんが無邪気な声色で殺気を放つ。その対峙に、場の空気は一気に冷え込んだ。

 前々から思っていたが......多分ハルくんは可愛い声、可愛い言動、ウブな行動からは想像できないほどの修羅場を潜っている。



「えぇ?いいよ?でも言い訳しないでよね。ボク弱くないよ?」


「あぁ?舐めてんのかゴラ。骨の髄までガチガチにしてやんよ。」


「できるのかな?ボク、お兄さんが思ってるよりずーっと強いよ?」


「いい度胸だ。ツラ貸せや。」



 緊張がピークに達した瞬間、エリーが冷静に二人を止めた。



「ハル......ストップ。」


「ゴメン......ついつい......」


「アックル~もだよ?」


「チッ.......雑魚共が。」



 アルクが舌打ちする中、キリが鋭い目つきで彼を睨みつけた。



「なんやお前さん。さっきから場を壊しまくっとるやないか?そんなに品定めしたいんやったら、ワイとやるか?白黒ハッキリつけたるさかいな。」


「あぁ?やんのかテメェ。」


「ワイが勝ったら、一生この組織のために大人しくしとってもらうで?」


「上等だテメェ。スカした面、叩き壊してやんよ。たがここにテメェとだけ白黒つける気はねぇ。やるなら全員とだ。」



 威嚇ではないアルクの本気の殺気がその場を包み込む。全身から溢れる威圧感は尋常ではなく、まさに命を懸けた勝負を望んでいるのが見て取れる。

 恐ろしいことに彼はここで死ぬ覚悟がすでにできているのだ。


「アックル〜そぉれはさぁ。庇いきれんよー?」


「負けたやつ、酒と肉奢りな!」



 ――エテルノが軽く笑いながら手の甲に血の陣を浮かび上がらせる。


 ――ガリブとベレスも武器を構え、戦闘態勢に入った。



「血の気多いな〜。せやけど、ここでおいそれと殺されるわけにもいかんっちゅうもんやで。」


「おにぃとおねぇは私が守る。」



 ――キリは細い糸のような武器を空中に放出し、エリーは何やらヤバそうな赤いボタンを持っている。


 ――ハルくんは構えこそしないが、先程と明らかに皮膚の質感が違う。臨戦態勢だ。


 ――ネオンはこの戦いのデータを収集したいのか、いつの間にかルシアと後ろに隠れて電子機器を叩いている。


 場の緊張が一層高まる中、ルシアが不安げな声で僕に問いかける。



「ルークこれは不味いくないかしら?」



 しかしこれに関して特に大きな問題では無い。

 いずれ個人個人で衝突するかもしれないが.......現時点でアンチヴァラル最強は決定している。


 すでに白黒ハッキリしている上、僕は予めこの状況を想定していた。策は既に作ってある。



「おい......止めろ。」



 ......その瞬間、場の殺気は全て一つの圧に押し潰された。


 僕とルシア以外の全員が凄まじい圧力によって椅子に押さえつけられ、身動き一つ取れなくなっている。

 圧倒的な威圧感――現時点でアンチヴァラルの最強戦力にして、この世で唯一の概念生命。


 モディフィクス・アルテリオンから発せられたものだった。









 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★



 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 ここまで読んでくださりありがとうございます!


 何やら初っ端から不穏な雰囲気?アルクは狂犬のように全員に噛みつく。

 組織が発足したばかりで既に、ハルとキリとは少し険悪な雰囲気が.......


 果たしてアンチヴァラルは組織として機能するのか??


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は

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 【【お知らせ】】中盤執筆の為番外章終了以降、少し長めのお休みを頂きます。誠に申し訳ございません。



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