33話ー③ 彼の隣にいる資格





 目が覚めると自宅のベットに寝ていた。てっきり知らない天井が目に入るものとばかり思っていたので驚いた。

 きっと意識が戻らないだけで、途中から命に別状はなくなったのだと予想できる。


 ルシアの性格的に、そうなれば必ず自宅に引き取るだろうから。



「さぁてとルシアをびっくりさせてやる……ィッ……」



 命に別状がないだけで傷が完治したわけではなさそうだ。手足こそ生えているが貫かれたと思われる胸元に痛みが走る。

 部屋には誰もいない。体も清潔だ。ルシアが常に洗浄魔術で洗ってくれたのだろう。



「さてと。時間は……3ヶ月と3日か……体は流石に神族。3ヶ月まともに動かずとも筋肉量なんかは落ちてない。」



 ただ体の動かし方にはかなり疎くなっているはず......戻すのに1日はかかるだろう。

 まぁ傷が完治してないから治るまでは大人しくしているが……



「ルーク?」



 聞きなれた最愛の人の声がする。

 しかしその声は震えていた。


 手に持っていたタオル入りの桶を落として、ルシアが駆け寄ってくる。

 傷の事を考慮してか勢いよく飛びつかず、僕の前でピタッと一時停止。


 その後優しく抱きついてきた。



「ルーク!!良かった……このまま目を覚まさないんじゃないかって……毎日あなたの姿を見るだけで不安で押し潰されそうで私……私!」


「僕が起きないって?なわけないだろ。君を置いてどっかには行かないよ。」



 ルシアはポロポロと涙を零している。本当に心の限界値だったのだ。



「ルーク。傷……まだ痛む?」


「痛みは結構残ってるね……しばらくは大人しくさせて貰うよ。ルシアの怪我は?」


「動いちゃダメよ……私が看病するから安静にしててね……私は完治してるわ。戦闘訓練も始めてるくらいだもん。」


「そっか。君が無事で本当に良かったよ。それで?僕が意識を失ってから何があったの?」



 何となくは片割れの感覚共有で把握できるが、細かい事情は分からない。

 僕自身の最後の記憶は一矢報いる為に一点攻撃を仕掛けたあと、ルシアの剣が男を貫いた所で途切れているのだ。



「あの後色々あったのよ……バシレウス様が来て助けてくれて。ルーク1回死んじゃって……すぐに駆けつけたアファルティア様がルークの時間を停止させたの……」


「死んだ直後でって事か……思いの外アファルティア様の能力は便利だな。」



 ほとんど十神柱総出で助けてくれたのか。だけどこれで十神柱3人に借りを作る事ができた。


 命を懸けた甲斐があった。



「そうしたら突然ルークから生命力が少しだけど出てきてね……奇跡的に生き返ったの……あとアファルティア様曰く、この世界では死ぬっていうのは正式な言い方ではないみたい。生滅が正しいらしい……」


「なるほど。んで僕は生き返ったって訳か。その後、傷をゆっくり回復させながら、3ヶ月も眠ってた訳ね?」


「それがね……初めの1ヶ月くらいは全く回復しなくて……アファルティア様の時間の巻き戻しさえ効果がなかったの……1ヶ月半くらいしてから突然急速に回復が始まって……そこから2週間で今の状態になったのだけれど、目だけは覚まさなかったの。」


「随分不可解だね……」



 もしかすると僕が、ミリティアさんの生命力に慣れる時間が必要だったのかもしれない。



「とにかく良かった……ルークが居なくならなくて…….......」


「ん?どうしたの?」


「私......あなたの隣にいる資格なんてないかもしれない。」



 重々しく暗い顔……

 そして張り裂けるような苦しみと悲しみを孕んだ声で……


 ……彼女は己の罪を話し始めた。









 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 33話ー③をここまで読んでくださりありがとうございます!


 ついに目覚めたルーク……

 そこに駆け寄るルシア、そして今後2人の関係性はどうなるのか??


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 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!

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