40話ー➂(最終) 連携戦闘!!





 僕は完全にゾーンに入っていた。

 目で追えない攻撃も勘で対応でき、不意の攻撃も体が勝手に反射で迎撃している。



「オラオラオラァ!!どうした!!動きが鈍ってきてんぞゴラ!!」


「それはどうかな?」



 僕は少し前から体の一部と魔法の攻撃を、部分的にではあるが幻影魔法で偽っていた。

 剣殺は自身の攻撃の軌道を完全には把握していない。


 たった数センチ太刀筋を偽るだけでも隙は生まれる。

 そして僕はその意表を突いて、彼の懐に潜り込んだ。


 これで決めるしかない。



「テメェェ!!」


「オリジナル魔法!! スラッシュソード!!」



 心象装備の引き戻しは間に合わない。

 たとえ形状を変化させて攻撃してきても、すでに対策は組んである。


 だが......その瞬間、彼は心象装備を消していた。

 そして、剣を持った僕の右腕を見たこともない武術で防ぎ、さらに捻り壊してしまった。


 ボキボキボキと鈍い音と触感が腕に伝わる。



「はっ!!これで右手はお釈迦だぜぇ!!」


「っ!?」



 僕の右腕は完全に捻り壊されてしまっていた。

 再生阻害がしっかり組み込まれていて、すぐの再生は難しい。


 しかし、向こうも無傷とはいかなかったようで、それなりの傷を負っている。



「見たことのない……武術だね……」


「はっ。テメェみてぇな澄まし顔野郎をぶち壊す、オヤジ直伝のバンドムって殺傷術だ。」



 なるほど……一子相伝の類か何かか。

 僕が知らないわけだ……



「そろそろ終わりにしないかな?これ以上は無意味だよ。」


「あ?シラケる様なこと言ってんじゃねぇよ。こっからが楽しいんじゃねぇか!!それによぉ、テメェももっと殺りてぇって顔してんじゃねぇか。」


「確かに楽しくなってきたところかもね。」


「んじゃ続きだ。鬼門!!」



 すると彼の体から赤いオーラが溢れ出してきた。

 魔法には見えない……つまり何かの技能か?



「しゃぁぁぁ!!!」



 赤いオーラを纏った攻撃は、ダメージを負っているにもかかわらず、先程よりもさらに激しく襲いかかってきた。

 おまけに魔力に反応して爆発する仕組みまで追加されている。



「くっ。防御手段の幅を狭めるわけか……」



 魔力に反応して爆発するということは......

 防御魔法に触れても、魔力を通した剣にぶつかっても爆発するということだ。


 これを防ぐには、爆発に耐えうる強度の防御魔法を使うか、攻撃そのものを避けるしかない。



「消耗が激しいけど……やるしかない!!最終位階魔法・虚構結界!!」※本来無詠唱


「ハハ!いいのかよ、そんなジリ貧な技使ってよぉ!!お前の魔力が空になるまで叩き潰してやらぁ!!」



 魔法の最終位階に分類される最高防御魔法。

 その実態は、相手の攻撃に応じて自動で最適解の防御手段を展開する自動防御魔法だ。


 気休め程度だが反撃もしてくれる。

 しかし自動で最適解を選択するというだけで、魔力の消耗は当然ゼロではない。


 相手の攻撃が強力になればなるほど、消耗する魔力量も右肩上がりで増加するのだ。



「シェェアアアアアアアァ」


「はは……流石の猛攻だね。これじゃ一分も持たないな……でも」



 どうやら剣殺も異変に気づいたようだ。



「......あの女どこに消えやがった!!」


「ここよ。」



 ルシアはすでに僕の虚構結界の内側にいた。



「テメェ!!俺の意識が男に向いてる隙に、隠蔽神術で移動してやがったな!!」


「さっきまであそこに居た私は虚実......自分の前で神術は使わない、という思い込みがあなたの敗因よ。」



 剣殺は攻撃の密度をより高めて『虚構結界』を破壊しようとしているが、もう遅い。

 僕らはお互いの手を繋ぎ唱えた。



根源共鳴レゾナンス



 眩い光が辺り一体を包み込む。

 剣殺は咄嗟に距離を取るが、僕らはそれを逃さず追撃する。



「これだ!!この高揚感!!やっぱ殺しはやめらんねぇ!!!」


「暗光六連!!」



 過ぎ去る光の如く、超高速の六連撃を仕掛ける。

 並の最上位神ならば視認もできないだろう。


 しかし剣殺はすべてを凌いだ。

 普通なら絶対に対応できないタイミングでの斬撃にもかかわらずだ。



「っぶねぇ。残念だが俺の肉体は特別でな。通常の神々の600倍早く情報を伝達できる反射神経と動体視力があんだよ。」


「なるほどね……さっきから感じていた不可解の正体はやっぱりそれか……普通では避けられないタイミングの攻撃でも、見てから対応できるって訳か。」


「ならそれを上回る速度で仕掛けるまでよ。」



 しかし、どれだけ反射神経と動体視力が優れていようと限界はある。

 それら全てを、光の如き速さで凌駕すればいいだけだ。



「おいおいおい!心外だなぁ!これが全力だと思ってっか?」


「……」



 当然思っていない。

 だが何があろうと、今の二人なら凌駕できる自信はある。



「開け。蛇鬼千骨!!」



 その瞬間、手に持っていた心象装備が浮き上がり、彼の背中に突き刺さった。

 骨格の形が変形し、目は赤く染まる。


 髪の毛はまるで意思があるかのように逆立ち、凶暴な魔力が全身から溢れ出していた。

 目を見張るべきは、背中から生えた九本の鋭利な肋骨だ。



「化け物ね……おおよそ人型の知性体には見えないわ。」


「でも今の僕らなら戦える。ルシア!今回は僕が攻撃を引き受ける。後方支援を頼めないかな?」



 ルシアに意図が伝わるといいのだが……



「分かるわ。今のルークは研ぎ澄まされてる。激的に強くなれるチャンスなのよね?」


「さっすが~分かってる。殺し合いでこんなこと言うのおかしいけど……チャンスを逃したくないんだ!」


「貸し1よ。」


「おっけい!」



 そして剣殺が口を開く。



「終わったか?なら噛み締めろ。これがテメェらの最後の光景だ。」



 そうして第2ラウンドが始まった。









 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 40話ー③(最終)をここまで読んでくださりありがとうございます!


 ギリギリの命の駆け引きを経て、ルークの感覚がどんどんと鋭くなる?

 一方、剣殺は段々と異形の姿へと変化していきどんどん狂暴に?

 

 どんどんと成長するルーク、引き離されんと食らいつくルシア、二人の成長は!?

 次話は主人公の新たなる奥義も炸裂する、第41話!是非ご覧ください!


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!


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 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!

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