40話ー➁ ルークの真価






「殺し合いだ。」


「ルシア!!」


「分かってるわ!!」


【根源共……】


「させねぇよ!バカが!!」



 剣殺の攻撃により、僕たちは根源共鳴を中断せざるを得なかった。

 彼の武器はまるで生き物のようにうねり、瞬く間に僕たちに襲いかかる。



「くそ!?やっぱり情報が漏れてると、こういう部分で厄介だな!?」


「今の攻撃……模擬戦闘の時だったら、確実に無傷では済まなかったわね……」



 僕たちはいつものように、圧縮した通信神術で迅速に会話を交わす。



「蠢け、蛇骨剣!!アイツらを貪り殺せ。」



 その剣はまさに蛇のように伸び、しなり、僕たちに迫ってくる。

 変幻自在なその動きに、もはや間合いなどという概念は存在しないかのようだ。



「くそ!!根源共鳴をする隙がない!!」


「なら、あの剣が追いつけないほどの速度で一気に間合いを詰めるしかないわ!」



 しかし、簡単に間合いを詰められるような相手ではなかった。

 彼の猛攻を防ぐには、全方位をカバーできる強固な防御『神術』が必要だ。


 しかし、このままではそれを展開する隙さえない。



「おらおら!どうした!!んなもんじゃ食い足りねぇよ!!」


「第79位階神じゅ……」


「させねぇっつってんだろバカが!」



 僕が神術の発動を試みた瞬間、それは無残にも叩き潰された。



「俺の前じゃ、無詠唱、無動作、高速発動以外の術は通じねぇ。神術だろうが、魔術だろうが、呪術だろうが、それが術の時点で尽く!!発動前に全てを叩き落としてやらぁ!!」


「ルーク!このままじゃジリ貧よ!」


「分かってる。」



 もはや神術での全方位防御は不可能だ。となれば、魔法で防御するしかない。

 しかし、魔法での防御ではこの猛攻を数回防ぐのが精一杯だ。


 次々と襲いかかる剣を避け、防御魔法をその都度発動し直していては、攻撃に転じる余裕などない。



「おい、どうした?んなもんか?テメェらにはもっと期待してたんだけどよぉ?つまらねぇ。」


「勝手に戦いを挑んでおいて、何を言ってるのよ!」


「黙れよ女。もう二人揃って死ね。」



 その言葉とともに、彼の武器の形状が一変した。

 太く、長く、そして荒々しく、まるで押し寄せる波のように僕たちを覆い隠す。


 あまりの密度に、背後の景色は消え去っていた。



「潰れろ、雑魚が。」


「……」





 だめだ......捌ききれない。

 このままではルークも私も助からない。


 そう思い隣のルークを見ると、彼は満面の笑みを浮かべていた。



「なるほど!!線ではなく面で攻めてくるか。面白い!型にハマった術や剣技ばかりを使っていると、どうしても盲点になりがちだ。」


「あぁ?」



 ルークは、剣殺の猛攻をすべて捌いていた。

 それも一人でだ。彼の動きは、決して速いわけでも、強力なわけでもない。


 私でも目で追える動きだった。

 しかし、今の私では到底再現できない動き……圧倒的な戦闘経験の差。


 これは強さではなく、上手さだ。



「何のカラクリだゴラ?さっきまでと別人じゃねぇか。」


「シンプルだよ。一つの防御魔法でその攻撃は防げない。なら、重ねがけをすればいい。それと剣技は、まぁ......久々の殺し合いで、段々鈍りが取れてきたって感じかな?」



 嘘だ。彼の攻撃は、ただ重ねがけするだけで防げるような代物ではなかった。

 ただ剣技に関しては本当そうだ......明らかにキレがいつもと違う。


 今強くなっているというより、スイッチが入ったという感覚に近い。



「なるほどテメェ、俺の攻撃を小型の爆発魔法で弾き返しやがったな。しかも爆風で蛇骨の軌道を乱し、それを計算して斬撃の密度が薄い場所に移動しやがったか。」


「……バレるのが早いね。伊達に最上位神じゃない。」



 爆破魔法を防御に使った?

 理論上は可能だが、相手の攻撃を見切った上で感覚でそれを実行するなんて可能なのだろうか?



「俺もよぉ、滾ってきたぜぇ!!」


「こっちもボルテージが上がってきたよ。やっぱり定期的にギリギリの戦いはしないと訛るね。」



 ルークの動きはすべて目で追える。能力的な差はそれほどない……

 しかし、戦闘技術の差があまりに大きすぎる。


 彼は相手の攻撃を捌くために、

 回避、瞬間移動魔法、爆破魔法、幻影魔法、剣技、数十種類の防御魔法、そして特殊技能を次々に駆使していた。


 これが、真のオールラウンダーの力……

 彼はすべての技術を高水準で融合し、応用していたのだ。



「ギャハハ!!みみっちい小細工も、ここまで多彩だと芸術品だなぁおい!!ますます気に入ったぜ!!」


「どうも!あなたも、その武器一つで全て捌き切ってるけどね!」



 押してる......


 ルークの魔法が煌めき、剣殺と交差するたびに、爆発音や金属音が空間に響き渡る。

 周囲の街並みは破壊され、もはや原型を留めていなかった。


 私はそれに見惚れてしまっていた。



「しっかりしなさい私! 私にできることをしなくちゃ……」



 ルークは互角に戦っているが、それだけでは勝てない。

 今の彼は、明らかに長期戦が不可能な戦い方をしている。


 あと五分もすれば、彼の魔力は底を突くはずだ。



「今ルークの感覚は極限まで研ぎ澄まされてる……簡易でもいい、根源共鳴さえできれば絶対に勝てる。」



 私は心を決め、ルークを援護するための作戦を練り始めた。









 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 40話ー➁をここまで読んでくださりありがとうございます!


 命の駆け引きをするとき......ルークの真の実力が垣間見える?

 訛っていた彼の真価を引き出したのは、圧倒的な暴君だった??

 そしてルシアの作戦とは?


 二人の進化を見ることができる第40話!是非ご覧ください!


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!


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 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!




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