第40話 暴力乱神『剣殺』

40話ー① イカれた最上位神







 僕らは鳴神剣聖を訪ね、『第9惑星キニステュシア』へと足を運んでいた。

 この第9惑星は、一言で言えば強さを求める戦闘者たちの惑星だ。


 戦術武器、兵器の質・量どれをとっても他惑星の追随を一切許さない。

 そして他惑星で見られるような、一般的な臣民はほぼ存在しない。



「......相変わらずヤベェ惑星だ。」



 もはや戦闘民族の集まりといっても過言ではない。

 強さを追い求める神々の中には、第9惑星に移り住む者までいるほどだ。


 この惑星の建物はセキュリティと強度を最優先に設計されている。

 街の外観は殺伐としているが、それでもどこか統一感と機能美を持っているのだ。



「……ここが第9惑星なのね。」


「どんだけ引きこもってんの……どこも来たことないじゃんか。」


「ぅっ」


「とにかく気は抜かないようにね。」



 この惑星では観光地や首都、一部のエリアを除いて「市街地での戦闘行為」が許可されている。

 そして雷華様が住んでいるのは、まさに戦闘が許可された地域なのだ。



「鳴神剣聖様も、とんでもない場所に住んでるわね……」


「常在戦場。だからこその強さなんだろうね。雷華様が本気を出せば、十神柱でも不用意には飛び込めないらしいよ?」



 総合力では劣るものの、雷華様の抜刀術は十神柱にも匹敵しうるということだ。



「結局、根源共鳴でも及ばなかったものね……でも今戦ったら結果は変わるんじゃない?あれから激的に強くなってるわ。」


「……あの人まだ更に奥の手を隠してる。少し前の僕以上に慎重なんだ。危機が迫らない限り、決して奥の手を明かさない。」



 僕との戦いでも、明らかに周囲に実力を誤認させるような戦い方をしていた。

 でなければ、最後の身のこなしに説明がつかない。


 模擬戦闘直後は、経験から来る反射だと思った。

 しかし後から録画を見直すと、それでは説明がつかなかった。



「ルークはどうしてそれが分かるのよ……」


「うーん。元同類の直感ってやつかな?」


「ムカつく......」


「いや理不尽!?」



 そんな会話をしながら進んでいると、やがて鳴神剣聖の自宅の周辺にたどり着いた。

 しかし、そこで僕たちは足を止めざるを得なくなった。



「おい。」



 声の主は、薄い茶髪で薄いサングラスをかけたヤンキーだった。

 彼は何かの毛皮でできた襟をまとい、ドクロの刻印がされた服を着ている。


 いや趣味悪すぎ。そうそうにヤベェ奴に絡まれてしまった。



「テメェら、新しく最上位神になった夫婦だろ?」


「人違いよ?」


「観光地にいたら迷っちゃってね……」



 僕たちは咄嗟に幻影魔法で顔を変えた。

 相手からそれほどまでに、強烈な敵意を感じたのだ。


 本当は神術を使いたかったが......この一瞬で発動するには魔法が限界だった。

 そもそも顔を変えずに、この惑星に降り立ったこと自体......僕の判断ミスだ。



「そんなチンケな魔法、見破れねぇと思ってんのか?あ?」



 ガチのヤバいやつじゃん!?

 何なんだよぉぉ!!運悪すぎだろ!?


 僕らは動きには出さなかったが、即座に戦闘態勢に入った。

 ここは戦闘が許可されているとはいえ、市街地の近くだ。


 こんな場所で大きな揉め事を起こしてしまえば、僕たちの印象は最悪になってしまうだろう。



「揉め事はやめましょう?誰だか知りませんけど、あなたとここでやり合う気はないんです。」


「知るかボケ。俺がやりてぇんだよ。んじゃバトルエリア展開。」



 すると、周囲の景色がみるみる左右反転し、あっという間に鏡写しの世界へと変貌した。



「な!?なんだこの魔法!?なんて魔法かな!」


「ルーク!感心してる場合じゃないわ、構えて!」



 未知の魔法に興奮したが、すぐに我に戻り臨戦態勢を整えた。



「なんだてめぇら、知らねぇのか?この惑星には、最上位神以上しか展開できねぇ限定の仕掛けがあんだよ。市街地で暴れてるゴミを押し込むためのな!こうやって悪用もできるってこった!」


「最上位……神?まさかあなたが?ルーク、心当たりは?」


「この惑星といい、見た目といい間違いない……最上位神序列7位、剣殺のバイドだ。素行が最悪っていう噂を耳にしたことがある。」


「は!俺を知ってるたぁ、話が早ぇ!んじゃ。」



 彼の手に現れた武器は、剣とも鞭とも言い難い代物だった。

 その見た目はまるで何かの猛獣の背骨を引き抜いたかのような、鋭利で恐ろしい風貌をしている。



「殺し合いだ。」



 そして最上位神とのマジの殺し合いが始まってしまった......









 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 40話ー①をここまで読んでくださりありがとうございます!


 魔法の禁止どころか戦闘行為が許可されている『第9惑星キニステュシア』

 そこで絡まれたのは素行最悪の最上位神 剣殺のバイド?

 突然始まった最上位神との殺し合いを主人公はどう搔い潜るのか!?


 訓練の成果が垣間見える第40話!!


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!


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 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!



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