第41話 劫火と骨刃

41話ー① 超暴力の狂乱獣





 閃光と凶骨が複雑に交錯し、剣殺は先程とは桁違いの力を見せていた。

 しかし、僕たちは互角以上に戦い、確実に優位な状況を保っている。


 根源共鳴の持続時間も以前より格段に延びており、時間的な余裕さえ感じられる。



「アヒャヒャヒャ!!楽しぃぜ!この窮地!!この劣勢!!!最高だなぁおい!!」


「神術創造グラティス、極光豪雨・剣!!」



 ルシアが全方位に展開した光の剣が、一斉に射出される。

 今の僕たちは、先ほどと違い詠唱をするだけの余裕がある。


 剣一つ一つに麻痺や爆発など多彩な効果が付与され、その軌道と速度は全く予測できない。

 ある剣は加速と停止を繰り返し、ある剣は隠蔽によりその姿を隠している。


 ......ルシアの戦術は実に巧妙だ。僕の嫁ながら嫌らしい攻撃だ。



「ナイスアシスト!!ルシア」


「結構キツイわ!」


「クソが!洒落になんねぇ!!」



 剣殺は次々に迫りくる光剣を防ぎきれず、かなりの傷を負っていた。

 彼の強みである手数も、僕たちの連携には及ばないようだ。


 このまま押し切れば勝てる……

 しかし、何かがおかしい......胸の奥に、微かな違和感が残る。



「やるじゃねぇか!!使いたかねぇが、しゃーねぇ。」


【領域発動!!】


「領域!?鳴神剣聖の使っていたあれか!?」


「ルーク......これは厄介よ?」



 領域は高度な身体操作の技術......

 彼の反射神経と組み合わさることで、攻撃のすべてを打ち払う絶対防御の領域となりうる。



「まだこんなもんじゃねぇよ。『過剰肉体改変』狂乱獣!!」



 剣殺の体が次第に獣のように変異していく。


 骨がむき出しになった頭部、厚く鎧う鱗......

 鋼鉄の尾、巨大な鉤爪、そして背中から生える脊髄骨の刃。


 彼はもはや人型の知性体とは言い難い、まさに化け物へと姿を変えた。



「……完全に化け物ね。なのに理性は保たれている……」


「あれで領域を使ってくるのか……さすがは最上位神だ。」


「まだまだだ!!『眷属召喚』アイツらを殺せ。」



 彼の叫びと共に、至るところから獣のような眷属たちが現れ、僕たちに襲いかかる。



「よし、ルシア。気合を入れていこう!」


「当然よ。勝つわ!」



 流石にこうなると僕一人で前衛を全て引き受けるのは危険だ。

 ここからは、いつものように二人で連携して戦う。


 僕たちは示し合わせて天武を発動した。



「喑光天武!!暗光の殲滅砲!!」



 強烈な激光が広範囲に放たれ、眷属たちを一掃する。

 その威力は言うまでもなく......発動速度、放射速度、連射速度、すべてが常軌を逸している。



「はっ!眷属を瞬殺しやがったか!!だがな、こんなもんいくらでも呼べるんだよ。何しても無駄だぜ?」


「閃光天武。神術創造グラティス!!魔操奪取・召喚。」



 以前のルシアなら、オリジナルの魔法を作り出すことが精一杯だった。

 しかし今の彼女は、神術すらも一部オリジナルで創造できるようになった。



「眷属の操作権、奪わせてもらったわ!!」


「んだと!?」



 先程まで剣殺の味方だった眷属たちが、今度は剣殺に襲いかかる。

 さらに、剣殺が操る魔法の制御も一部奪われたようで、眷属魔法を解除できなくなっている。



「僕も混ぜてもらおうか。斬光の剣!!」


「!? 流石にいてぇなゴラ!!」


「その腕はもらったよ。降伏するならこれ以上は……!?」



 剣殺は回避せず剣殺は構わず反撃してきた。結果後手に回り、腕を落とし損ねる。

 不意を突かれた僕は、防御神術で防ぎきれず、右腕を折られてしまう。


 そして、明らかにおかしな点に気づく。先程よりも攻撃が重くなっているのだ。



「ルーク!!」


「大丈夫だよ。再生できる。」


「教えてやんよ。鬼門を発動した俺はな!戦いが長引けば長引くほど、ダメージを受けりゃ受けるほど力が増す!!上限はねぇ!!」



 なるほど……違和感の正体はこれか。



「とはいえ、回復魔法で体を癒せば効果は消えるんだな?傷だらけで戦うことが前提の技.......いくら強くても当たらなければ意味はない。」


「はっ、だからよ!俺は精神力と経験差で粘り勝ちしてやるよ、三下が。」



 事実、全力で攻めているにも関わらず、決定的な一撃を与えられていない。

 攻撃力が増し続ける彼に、一発逆転される可能性も高まっている。



「長引くと厄介だということは認めるよ。だから......次で決める!」


「いいな!テメェら、本当にいいなぁぁ!!!滾ってきたぜ!!小細工はなしだ!正面から叩き潰す!!」



 剣殺は伸ばしていた肋骨を全て、等身大の大きさに縮めた。



「来いやぁぁぁ!!!」


 リーチを全て捨て、暴力的な反射神経で……ただ全速力で振り回す!!!  ←バイト心情



「頼むよ、ルシア。」


「任せて、彼は私が止める。」



 新たなる新奥義を炸裂させる......それで確実に仕留めてやる。










 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 41話ー①をここまで読んでくださりありがとうございます!


 【根源共鳴】によって終始、剣殺を圧倒し続けるルークとルシア。

 しかし鬼門によって長引けば長引くほどに、逆転されるリスクが上昇??


 次回、新たなる二人の『新奥義』と剣殺の『最強技』が交差。

 第41話ー➁も是非ご覧ください!!



 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると超嬉しいです!!


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 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!



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