第四章 追憶の天上神界編
第39話 果ての灰
39話ー① GO〜GO〜霊薬!
僕らは『第1惑星アイリーン』から第11惑星ルーモスペスの自領に帰ってきていた。
今日は購入した霊薬を取り込むので、普段以上の緊張感に包まれている。
「おにぃ。私から。飲む。」
「分かった。4人で経過を観察する。何かあっても大丈夫だ。」
強力な霊薬は取り込み方を誤ると魔力が逆流したり、自我が飛んで暴走状態になる場合もある。
もちろん何もせずに、ただ飲めばそんな事態はないのだが......
薬の効果を最大限取り込む措置を行うと、今度は暴走の危険性が出てくるのだ。
だから僕らの中で、最も毒物耐性の高いエリーに最初に飲んで貰う。
もしエリーで暴走状態となるのなら、僕らは霊薬接種の方法を変えなくてはならない。
「調節。完了。『霊薬 最古の森の雫』出して。」
エリーは寝転んだ状態になり、腹の手前で掌印を組んだ。
人によって肉体の調節を行いやすい体勢は違う。
座禅を組む人もいれば片足立ちの人、突っ立ってるだけの人など様々だ。
エリーに関しては寝転んだ状態がベストらしい。
「摂取。開始。」
遂に国宝超えの霊薬が飲み込まれ、エリーの体内の魔力が超高速で流動を始めた。
凄まじい熱が放出され、エリーの魔力が視認できるほど濃くなっていく。
更には血管が浮き上がり、筋肉が弾ける音がする。
骨がビキビキと音を立てて組代わり、エリーは少し辛そうな顔をしている。
「お、おいルーク。これ大丈夫なのかよ……周り燃えてんじゃねぇか。」
「あぁ。経過的にはむしろ順調だ。ここまで副反応が大きいのは見たことないけど。」
普通の丸薬程度では、魔力だけで周囲に影響を及ぼすほどにならない。
体温だって少し上がる程度で、超高温の熱風を放出する事もない。
「それだけ霊薬の効果が大きいって事よ。結界を張って良かったわ。」
「これあたしら大丈夫か?暴走したらルシアっちよろっしょ。」
そんな話をしていると、段々とエリーの様子が落ち着いてきた。
徐々に魔力の流動速度も熱も下がってきている。
そして……
「んん。上手くいった。嬉しい。」
「エリーちゃん。感覚はどう?」
どうやら上手くいったようだ。
「さっきより、聞こえる。魔力量、身体機能。全部上がってる。30%弱。」
「30%!?随分上手く取り込んだね……それとも僕らが思ってるより凄い物なのか?」
「多分。後者。御する難しさ。想像以上。」
国宝級の霊薬でも、7〜10%程度の効果だと言われている。
それを凌駕するとなると......ますますあの店主は何者なのだろう?
さらに言えば、霊薬で跳ね上がる能力は当然1項目ではない。
全ての機能が30%上昇したという事は、飲む前とは別の領域にいる事を意味する。
......たった薬1つだけでだ......
「今なら。おにぃとおねぇ。勝てる。」
「否定できない……」
「薬漬けになる人の気持ちも分かるわね……」
そうして次はルシアが霊薬を摂取することになった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★
どうもこんにちわ。G.なぎさです!
39話ー①をここまで読んでくださりありがとうございます!
今回はただの霊薬摂取回?しかし最初の想定よりも薬の効能が大きく……
『灰』について少しだけ分かる第39話。
是非ご覧下さい!
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更新は明日の『『22時過ぎ』』です!
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