31話ー➃ 不審すぎる異変状態






 僕とルシアは転移ゲートを潜った。


 青と緑の惑星が見える。

 様々な強化術をかけた影響で、この距離でも人々の暮らしぶりが見える。


 異変を知る由もない守るべき臣民達だ。

 きっと全能の神がいるとするなら......こんな気分なのだろう。



「ルシア。直行するよ。作戦通り森の外縁部から徐々に、渦巻きのような経路で中心に近づいていく。その間アファルティア様達との通信魔法は常に繋ぎっぱなし。絶対に採取したり足を着いて地面を歩いたりしない事。超高速で進まない事。会話は全てソロモン様の通信神法具で行うこと。分かってるね?」


「えぇ。全て大丈夫よ。行きましょう。ここに留まり続けるのも離れているとはいえ、リスクを高めるわ。」



 そうして僕らはゆっくりと「ゾイロル樹海」へと侵入していった。

 森の中は想像より異様な光景だった。


 まず生き物が見当たらない。そしてなにより風がないのだ。


 さらに言えば無音。自分達の音も完全に消えている事もあいまって、本当に音が何1つしないのだ。

 そして僕らは通信神法具で話を始めた。



「嘘だろ……こんなに異変があって、何で2ヶ月も誰も気がつけなかったんだ……」


「そうね……常識的に考えてありえないわ。それにこの息が詰まるような不気味さ。この森に何かいるわ。間違いなくとんでもない何かが……」



 しばらくゆっくりと滑空しながら、周りを観察した。

 植物は一部を除き全て狂化状態となっている。


 ものによっては有毒物質を吐き出しているものまで存在する。なのに音は無い。


 更に生き物は姿がないだけでなく血痕や足跡、糞に至るまで何一つない。

 ここに生き物が居たという痕跡自体、感じることができない。



「おかしい……動物が居たという痕跡がない……それなのに有害物質を出す植物があったりもする。隠したいのそうでないのかどっちなんだ……」


「……ルークあれを見て。あそこからを見て。」



 ルシアが指を指した先には魔物の死体が大量に転がっている場所があった。

 全てに一撃で殺したような風穴が空いており、どれも放置されている様子だ。


 狂化して有害物質を吐き出す植物は変わらないが......先程とは明らかにやり口が違う。



「2つの何かが縄張りでも争っているのか?いやそれだと有害物質を出す植物だけ、共通しているのは不自然……」


「協力関係にあって、区域で担当を分けしたみたいね。どちらにせよ知性体の可能性が上がったわ。」


 協力しているという前提が正しければ、確実に知性を持った生命体という事になる。

 魔獣や知性のない生命なら、見つかった時点で終わりだった。


 しかし知性体なら、何らかの情報を引き出せる可能性もある。

 もちろん見つからないのがベストではあるが……



「よしルシア。もう少し奥の方に入ってみよう。」


「分かったわ。くれぐれも気をつけましょう。」



 僕らは更に森の中心へと調査を進めていった。


 森の中心へと行けば行くほど、有害物質も濃くなるようだ。

 区域によるが......殺害されている動物も増えている。



「段々やばい所に近づいてきた感じがするね。だけど狂化ウイルスの存在を見るに、ヴァラルが関わっている事は分かった。映像もあるし、そろそろ引き返すのが身のためかもしれない。」



「ルーク……あなた……」




 ルシアが震えそうな声で問いかけてくる。




「どうしたの?ルシア。」


「足……どこ?」


「は?」




 その瞬間、背筋が凍りついた。

 後ろに何か得体の知れない怪物がいる。


 今まで会ったどんな化け物よりも遥かに……強い……



 神生の終わりが......肉の体をしてそこに立っていた。








 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 31話ー➃をここまで読んでくださりありがとうございます!


 ついに現れた『十神柱』さえ遥かに超越する異次元の何か。

 そして既にルークの足は......


 圧倒的な不穏に包まれる二人の運命は!?


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!


 何かあればお気軽にコメントを!


 遂に32話スタート!32話は地獄のようなトラウマ回になるかも??

 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!


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