第32話 神生の分岐点

32話ー① エドルモ





 ......無理だ、死ぬ……





 どうやっても逃げられない。


 今来れる十神柱の3人で束になっても、1分も持たないほどの敵だと本能で感じる。

 後ろから溢れ出す邪悪。背中を貫くような死の気配。



 ......動いても死ぬ。



「うぬらは何者か?十柱の者ではないな?話す事と振り向くことを許す。珍に述べてみよ。」



 2本足に2本の腕。人型と言えば人型なのだ。

 しかしその容姿は虫。


 胴体などサイズは人ほどなのだが、明らかに皮膚などの硬度が違う。

 それはまさに、光を鈍く反射する虫の装甲。


 トンボのような羽。手の指は6本で尾の先には、蜂の針のような凶器が付いている。


 不用意な発言したら間違いなく死ぬ。

 ルシアには目配せで僕が話すと合図を送った。



「僕らは十柱神ではありません。最上位神です。」


「珍は十神柱が来ようものなら殺せと頼まれこの場おる。うぬらの選びうる道は2つ。


「......」


「戦って死ぬか。珍の慈悲で戦わずして去るか。」



 まだ発言してはいけない。今発言は許可されていない。



「発言し珍の問に答える事を許可する。述べよ。珍は今気分が良い。でなければ慈悲などやらぬ。」


「戦わず去ります。」



 絶対に死ぬと思った。しかし見逃すと言っている。

 嘘か本当かも分からないが、どちらにせよ関係ない。


 こいつには例え、根源共鳴をしようとも歯が立たない。



「よかろう。王である珍が矮小なる存在の逃走を許可する。立ち去るが良い。」


「はい。かしこまり……ました。」



 僕らは急いでその場を立ち去った。

 足は幸いただ切断されただけだった為、回復魔法なしでも再生ができた。


 するとルシアが口を開く



「助……かった…?」


「どうかな……何せもう1人いる可能性が高いからね。」



 幸運なんて次元じゃない。奇跡だ。

 世界に愛されているのか?と錯覚を起こす次元の強運。



「ルシア。飛びながらでいい手を繋いでこっちに。」


「そうね……ありがとう私冷静じゃなかったわ。」



 別に逢い引きの為に手を繋いでいる訳じゃない。

 何か異変を感じたら次の瞬間、根源共鳴をする為だ。


 ついでに通信神法具で、根源共鳴をするための詠唱を唱えておく。

 敵の前では詠唱など出来ない。


 鍛錬によって根源共鳴の直前の状態を、数分維持する術を身につけた。

 また今は隠蔽をしている。理由はもう一人敵がいる可能性が高いからだ。


 根源共鳴をするとエネルギーの余波で自分達の場所を晒す事になる。

 逆効果だと思い、素の状態で逃げている。


 そうしてそのまま森の外に向かって飛び続けた。



「あと30秒で森を抜ける。森を抜けても油断しないように!」


「分かってるわ!!」



 あと少し.....もう目の前。


 そう感じた瞬間......



 ......おぞましいほどの殺気を感じた。



 今まで感じた事の無い殺気。

 吐き気をもよおすような不思議な気配もする。


 ただ最も強くイメージしたのは死ではなく嫌悪感だ。

 これは話し合いの余地はないと思い、強く根源共鳴を意識した。



「ルシア!」


「えぇ!」



 ついに......生き地獄の蓋を開く。









 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 32話ー①をここまで読んでくださりありがとうございます!


 よく分からない理由で助かった2人……

 しかし本当の地獄はここから先だった。


 もし面白い、続きが気になる!と思った方は【♡応援】や【星レビュー】をしてくれると.....超嬉しいです!!


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 ここから先は地獄です。

 更新は明日の『『22時過ぎ』』です!


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